キュウビside
洋館から出て一時間後に我らは第五の封印・清永寺に辿り着いた。空は既に暗く、観光客は一人もいない。だが目の前に封印を守護する陰陽師がおった。
「括目せよ!陽の力を直接体に取り込む我が花開院家・井戸呂流陰陽師術!! “陽力”投与即神剤力だ!!」
随分と威勢の良い奴だ。あの程度で体を強化したくらいで勝てるとでも思っておるのか?そう思っていたらいつの間にか奴が我に向かっておった。
「まずは貴様かr―――!!」
目の前に来た瞬間に愛刀で首を斬り落とした。付いた血を手拭いで拭きながら近くにいる部下に命じる。
「落ちた奴の死体から肝を取り出しておけ」
「畏まりました!」
寺の中にいた陰陽師共も片付けて地下に向かうと中心に一本の太い杭があった。鏖地蔵が言うにコレは妖怪の手では抜けないものらしい。故に人間の体である羽衣狐しか抜けない。
杭を抜くと穴からなんとも心地よい妖気が溢れ出した。本当に良い感じだ。
「解いたならさっさと次の封印場所に行くぞ」
「いえいえキュウビ様。この妖気が『百鬼夜行の通り道』を埋めるまで待たなければなりません。そのためどんなに早くても三日は必要です」
「三日だと!?そんなにも待っておられるか!!」
声を上げながら我は再び穴を見つめる。先程と同じように霧のように出てくる妖気をもっと溢れ出すには・・・むっ、霧のように?そうか奴なら・・・!
「エキビョウ、いるか!」
我が呼ぶと近くで霧が集まり、エキビョウが姿を現した。
「・・・呼ンダカ?」
「お前の力でこの妖気をもっと出させることはできないか?」
「ヤッテミヨウ」
再び霧になるとエキビョウは刀になって穴の中に入る。少し経つと先程より大量の妖気が溢れ出た。周りにいた部下共が驚きの声を上げる。
「これなら三日もかからないだろ?」
鏖地蔵の方を向くと奴は深々と頭を下げる。そして『百鬼夜行の通り道』に妖気が埋まるのにかかった日数はわずか一日だった。次の第四の封印・西本願寺では、羽衣狐の部下・がしゃどくろと言う巨大骸骨が一緒に封印されておった。そいつは我を見た途端に羽衣狐と間違えて抱き着いてきおった。まぁ、雷でお仕置き(?)をしてやったがな・・・。
二日目は奴も引き連れながら第三の封印・鹿金寺へ向かっている。その名の通りに寺全体が金色でできてライトによってとても煌びやかものである。初めて見る我の部下共はやや興奮しながら騒いでおる。我も飛んでいる妖怪の上から狂骨とともに見つめている。
「うわぁ~羽衣狐様!キュウビ様!とても光って綺麗ですよ!!」
「誠に美しい物よ!羽衣狐、お前は知っていたのか?」
「だいぶ前から知っておる。しかし姉上がこれ程興味を持つとは思わなかったが・・・」
「我のいた世界ではあのような物は見たことがないからな。本当に美しい物よ・・・人間共には勿体無い」
「そうですよね!人さえいなければこの都は美しいです!!」
狂骨が笑顔で話しかけてくる。まったくこの娘はとても役に立って可愛い奴だ。
初めて会った時もすぐに打ち解け合うことができ、羽衣狐の側近であるにもかかわらずに我の身支度も手伝ってくれるしな。
「フフ、京を制覇した暁にはアレを更に美しくして姉上に差し出そう」
羽衣狐の言葉に我は笑顔で頷く。その時、我らの足元から金色の光が包み込むように出てきた。我らの側にいた部下は消滅し、後方にいた連中と引き離された。羽衣狐は自身の尾で、我は雷を操って結界を作って防いだ。
「孤立したな・・・悪しき狐共よ」
尾の隙間から見てみると池の上を三人の陰陽師がおった。成程この光は奴らの仕業か・・・。
「お前達はもうここから出られず、誰も助けに来ない。我々の造り出した最強の結界に囚われたのだ。今宵今晩この場所で・・・再び闇に沈め古狐よ!!」
「・・・随分威勢の良い奴らよ」
「しかも金色の墓標とは洒落ておる。だがそこにはいるのは陰陽師・・・貴様らよ!!」
羽衣狐は全ての尾を構え、我は元の世界でなった『化け九十九尾』の姿に変化して邪魔者を消せることに喜びを感じながら愛刀を構える。さぁ、たっぷり楽しむとしよう!!
side end
京を守ろうとする者と京を侵略しようとする者との戦いが始まろうとする中、寺の中で気配を消しながらその戦いを見つめている者がいた。
「羽衣狐にキュウビよ。お前達の行い・・・彼女に変わって私が止めて見せる!!」
その者は手に笛らしき物を握りしめながら静かに言うのであった。
しばらく京妖怪達がメインになるので奴良組は出てきません。
最後に出てきましたが次回あの者が登場します。