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周りに小判屋形船を護衛に付け、宝船にて京都に向かって飛んでいるリクオ達だが、流石にそんなに早く着くわけではないので各々が自由にのんびり行動していた。
「おぉ、すげぇな!面白い物を持っているなじじいの奴。なぁテラ」
「はい。飛ぶ船なんて初めて見るし、乗っていてとても気持ちいいです」
宝船の甲板から周りや下の景色を見ながら話し合っているリクオとチビテラスに黒田坊が会議の時間だと知らせに来た。そのまま黒田坊について行って会議の行う部屋に入ると中には側近達の他に最高幹部の猩影や遠野妖怪、アマテラスがいた。二人が上座に座ると黒田坊が遠野妖怪達に奴良組組織について説明し出した。
「遠野勢よ。京に着いてからのお前達の役目は「ちょっと待て!」・・・?」
「何で俺達、遠野がてめーらの部下みてぇに扱われてんだよ?」
話の途中で突然淡島が文句を言い出した事に奴良組の側近達は首を傾け、アマテラスは内心悟ったが何も言わず静かに見つめた。
「お前達・・・リクオ様と盃交わしたのだろう?」
「盃ぃ!?ふざけんな!!遠野が盃を交わすかよ!!」
「じゃあ何故付いてきた?」
「おお!?そりゃあよーー!!えっと・・・つまりそれは・・・アレだ」
話の痛いところをつかれて淡島は言葉が出ずに口を濁らす。それを見かねてイタクが仕方なく溜め息をつきながら話し出した。
「リクオはまだ鬼發も鬼憑も中途半端だ。ついて行ってやんねーと心許ねーだろ」
「・・・そうか。それはありがたい事だ。だが、リクオ様に溜口はやめろ」
「はっ、奴良組が落ち目だってのも本当のようだな。お前らみてーなのが側近じゃリクオは強くなんねぇよ」
嫌な空気が流れて部屋の中が居心地悪い感じになる。その様子にリクオは呆れ、チビテラスは困った顔でハラハラしながら見つめる。その時、影犬と焔が部屋に入ってきた。
「失礼します!リクオ様至急外n・・・何かありましたか?」
「いや、ナイスタイミングだ影犬。それでどうした?」
「間もなく京都に着きます。全員戦いの準備をして外に出てください」
二人は元々京妖怪なのでここの地形に詳しい事より誰も文句を言わずに甲板に出る。
すると突然翼の羽搏く音が響いて周りが大量の妖怪達に埋め尽くされる。その大群にはキュウビの配下の妖怪も含まれて、そしてリーダーらしき妖怪が話し出す。
「どこの船だ!?月も沈んだ夜明け前。命知らずが迷い込んだか?」
「おぉ!?」
「囲まれていやがったのか!?」
「って言うか鴆さんいつの間にいたのですか!?」
いつの間にか側にいた鴆にチビテラスは驚く。しかしリーダー妖怪はそんな事を無視して話し続ける。
「我こそは京妖怪・白蔵主!」
堂々と白蔵主は自分の名を名乗る。巨大な三又の槍を持ち、僧衣を身に纏って二本の角みたいなものがある髑髏に似た顔をした狐の妖怪だ。
「ここは鞍馬山上空より東に約四里の地点である。我等は羽衣狐様とキュウビ様より今日の空の守護を仰せ付かれし者、誰のものか分からん船をここから通す訳にはいかん!どこの手の者だ!!名を名乗れ!!」
「!!来るぞ!!全員態勢を整えろ!!」
黒田坊が号令をかけて船に乗る皆が武器を構える。しかし京妖怪達はただ見つめるだけで攻撃してこなかった。攻撃して来ないことにざわつき始めた時に白蔵主が言う。
「名を名乗れ。敵であっても“名乗るまで”は手は出さん。それとも何だ、お前達は羽衣狐様達の配下になりたくて来たのか?」
「バーカ!!誰がそんな為に来るかよ!!」
誰も名乗り出ないことに白蔵主は自分の思った結論を言う。しかし納豆小僧がそれに反論して畏の代紋を指さしながら奴良組であることを言う。
「「「「「こいつらが、四百年前の羽衣狐様を討った!!塵にしてくれる!!!」」」」」
それを見て四百年間の恨みを晴らそうと京妖怪達は一斉に攻撃しようとしたが、白蔵主が甲板に槍を叩きつけて止めた。彼は双方の大将が名乗り上げた後で戦う作法に拘り、武人としての礼儀から仲間の不意打ちを止めたのだ。
「し、しかし白蔵主様!!」
「黙れ!それにあの船にはキュウビ様が言っていた大神もおるのだ。奴を生きて連れて来るように言われていたのを忘れたか!!」
白蔵主の恐ろしい程の気迫とキュウビの命令を思い出されて不満に思っていた京妖怪達も黙る。
「奴の言うことに合わせる必要はない・・・しかし強いな。体中から畏が溢れている」
「差し詰め『京の門番』ってとこね。ねぇ、こっちが名乗り出るのを待っているわよ」
「作戦かもしれないな・・・」
「いいえ、白蔵主さんは武人としての礼儀を重んじている奴なので作戦ではありません」
何かの作戦だと黒田坊は言うが、以前彼と親しかった焔が作戦ではないと答える。
「そうか・・・」
「リクオ様!?」
前に進むリクオを見て止めようとした首無をアマテラスが手で制する。
「やらしてあげなさい首無君」
「だから強くならねぇんだよ。お前らみたいな真面目な側近ばかりでな」
そう言われて首無も決心したようにやめる。そしてリクオは獲物に手をかけて白蔵主と対峙する。それに反応して白蔵主も槍を構えて一触即発の空気が流れる。
「一つ聞こう。何故名乗り出た」
「あ?」
「名乗れとは言ったが・・・これまで拙僧の力を見て名乗り出てきた者は、己の力も分からぬ馬鹿者だけだ。奴良組の大将は力の差も分からなんだか」
そう言って今までにないくらい膨大な量の畏が白蔵主の体から溢れ出す。
全身で畏を感じ取ったリクオだが、特に怯むこともせずに言う。
「あんたも馬鹿じゃねーか。何も言わずに船を落とせばいいものを・・・。それにテラと義母さんを狙っているってなら、絶対に許さねぇからな」
「ほぅ、親孝行な者よ。それ程大切ならば―――しっかり守ってみるがいいクソガキ!!」
近くにあった小判屋形船に槍を突き刺すと白蔵主はそのままリクオ目掛けて叩き付ける。
「正々堂々とやっていても“卑怯だ”と思われるほどの力・・・それがこの白蔵主の“槍(だきに)”だ!」
上空にジャンプして避けたため、体勢が整えていないリクオの頭目掛けて槍を突き刺す。
「「「「「リ、リクオ様―――――!!?」」」」」
それを見てチビテラスと側近達は悲鳴を上げる。しかしアマテラスだけは静かに見つめている。イタクも同様である。
「呑まれれば一突きになる。この槍の名こそ茶枳尼よ。さぁ、次は大神よ貴様ら・・・!?」
「成る程な、これが“畏”を纏った者同士の戦いか」
少し離れた手すりの上に何事もないように立つリクオ。さらに着物の裾が少し幻のように揺らめいている。それを見て白蔵主は取り乱しながら聞く。
「どういう事だ!?お主・・・一体何をしたのだぁ!?」
「何だかオレぁ今、あんたの事怖くねーな」
挑発するように言うリクオに白蔵主は一気に詰め寄って槍を振るう。
「畏を断ち切った方が勝つ。そしたら・・・そんな“畏”なんてよ・・・」
「き、貴様アアアアァァァーーー!!?
リクオを恐れたことによって白蔵主の槍は粉々になって砕けた。