ISinゲッターロボアーク   作:梵葉豪豪豪

2 / 3
第2話 シャルが

 

【挿絵表示】

D2-C

 

 中国軍の兵士である凰 鈴音(ファン・リンイン15さい)は一夏と幼馴染である。いつ知り合ったんだ? と箒は首を傾げたが、二人は小学校時代からの仲であり箒の実家の剣道場にて面識はあった。箒が一夏一筋なばかりに一夏の交友関係にまで意識が及んでいなかっただけであった。酷い。

 

 さてその鈴ちゃんさんと一夏に箒は訊いてみた。二人はどんな間柄なのかと。

 

「ん~。酢豚を食べさせてあげると約束したわね」

 

「……あぁ、日本で言う味噌汁食べさせる的な」

 

 箒は納得できないが一応納得しかける。が、一夏がフォローする。

 

「あの時鈴の酢豚食った後二人で何か興奮してなー」

 

「おいまさかそれって……」

 

「興奮して二人して龍神会の事務所にゴミ箱ぶち撒けてきた」

 

「よしお前らちょっとそこに直れ。社会的常識というものを教えてやる」

 

 尚、当時面子を潰されたヤの字の皆様は下手人を半殺しにすべく街中を探し回った。しかし弟思いのある姉によって全殺しに遭ったという。

 

 

 演習である。この演習の最終日だった筈である。平和に撃ち合い斬り合い殴り合いをやっていた筈である。

 

「何でよりによってこんな時なんだぁ!」

 

 箒はついそう叫んでしまう。人型の昆虫らしき集団が陸自の駐屯地を襲ってきたのだ。ご丁寧に正門から侵入して、既に死傷者も出ている。その連中に隣町が占拠されていたと知るのは後の話である。

 

 幸いここには世界中からIS(イヤハヤ・シット)部隊が参集している。戦力は充分だ。寧ろいるから狙われたのかもしれないと思う人もいた。主に山田一尉が。だがこういう奴らをぶち殺すための兵器である。躊躇う理由はない。

 

「イヤッハ! 手前ェらぶち撒けろォ!」

 

 ISを装着した兵士の一人が、60mmの機関銃に銃座を直付けした得物で昆虫軍団をミンチにしていく。兵士の中には榴弾砲を撃ちまくる者もいる。強力な重火器が充実しているが、敵は敵でビーム兵器を携行していたようで、一進一退の様相を呈していた。

 一方で、そもそも飛び道具を持たない一夏は、ゲッタートマホークを振り回してとにかく敵を切り刻んでいく。飛び散る昆虫野郎の体液がひたすら臭い。

 接近しすぎたせいか、斬られて断末魔の昆虫野郎がビームを撃ち放った。それは一夏の腹に直撃したが、ISの頑丈な装甲が拡散させる。傍目には一夏が爆発しているように見えた。

 

 

「おい嫁えェェ! えぇいゲッタァァァビィィィーーーーム!」

 

 ドイツ軍の隊長であり一夏とも知り合いである(あくまで知り合いである)ラウラ・ボーデヴィッヒ少尉(22さい)がビームをぶっ放した。ただし眼帯を着けた左目からだ。ドイツが開発した超小型ビーム砲を内蔵した義眼を仕込んである。尚ゲッタービームという呼称は本人の自称である。惜しむらくはIS(インフィニット・シカカ)ではない武装という点であろうか。そんなビームを薙ぎ払って敵を一気に蒸発させた。しかし勝者のラウラは目を抑えて転がりまくる。

 

「嫁ー! クラリッサー! メチャクチャ眩しー!」

 

 これに呆れるのは嫁呼ばわりの一夏……ではなく副官のクラリッサ曹長だった。

 

「だーから試射はやりましょうって言ったんです!」

 

 

「はー、ぜー、はー、やっぱりこれってIS狙ってるんでしょうかね!?」

 

 障壁に隠れた山田一尉は隣の流千冬に聞いてみる。なんとなく言ってみただけである。答えを期待した訳じゃない。

 

「さぁなぁ。だが難敵には違いない」

 

 千冬は余裕じみた表情を浮かべたまま、リボルバー型の拳銃に給弾ベルトを接続する。これでサブマシンガン並みに連射が可能になる。早乙女研究所、というかマッドサイエンティスト敷島博士謹製のバカ銃である。かつて父親も使っていたので千冬のお気に入りだ。

 障壁から飛び出した千冬は、地面を転がりながら拳銃を連射する。昆虫野郎は蜂の巣まみれと化した。尚彼女はISを着込んでいないので敵の攻撃に当たったらアウトだ。当たらなければ問題ない。

 

「先輩! それ危ないですよぅわを!」

 

 山田一尉の顔面横をビームが掠め飛んだ。IS(イントゥ・サティスファクション)を着込んでいなかったら危なかった。

 

「そうぼやくな……そろそろ来るぞ!」

 

「えぇ!? 何が!?」

 

「本隊だ!」

 

 叫んだ千冬の視線の先は上空である。雲の間から圧倒する何か巨大な物体が降りてきた。かろうじて中国武将的なフォルムである点は伺えた。

 

「何中国馬鹿にしてんの!?」

 

 と凰が叫ぶのも無理は無い。

 

 

「何てことですの!」

 

 セシリアが中国的な何かに向けてブルー・ティアーズを一斉射したが、まるで歯が立たない。

 

「ならば斬り刻んでやるわよ!」

 

「まぁそうだな!」

 

「その話乗った!」

 

 凰・一夏・箒がそれぞれ得物を抱えて敵の足元に突進した。凰は青龍刀、一夏はゲッタートマホーク、箒は日本刀という出で立ちだ。尚、箒がIS部隊に配属された理由は、彼女が剣術の心得があったからにある。陸自のIS「打鉄(うちがね)」は日本刀が標準装備なのだ。

 

「「「いっせーのせ!」」」

 

 3人が一斉に脚に向かって撃ち込む。めり込んだはいいが巨大なため皮一枚といったところだ。

 

「硬ってぇーなちくしょう!」

 

 一夏がボヤくが3人とも第二撃を忘れない。しかし結果は同じことであった。

 

 

 その頃千冬は腕組をして上空を眺めていた。

 

「そろそろ頃合いだ。あいつが来る」

 

「えーともしかしてそれって……」

 

 見上げた山田一尉が見たものは、3機の戦闘機であった。明らかにこちらに急降下している。

 

「これってー!」

 

 内の1機が背面飛行をし、更に駐屯地の地面を超低空でこちらに向かって飛んで来くる。

 

「きゃー!」

 

「ぅわー!」

 

 たまたま直線上にいたセシリアとラウラは戦闘機に巻き込まれて吹き飛んだが、さしあたっては無事である。ISが無かったら危なかった。

 

 千冬が手をかざす。次の瞬間戦闘機がすれ違い、彼女の姿が見えなくなった。戦闘機にしがみついたのだ。

 

 

 コクピットに搭乗した千冬は早速、全天(オールビュー)モニターで巨大昆虫兵器を補足する。そこに別の戦闘機のパイロットから通信が入った。

 

『千冬、強化服無しでこの先大丈夫?』

 

「案ずるな。私を誰だと思ってる。流竜馬の娘だぞ。体は親譲りに不死身だ」

 

『ははは相変わらずだね』

 

 パイロットは苦笑いで済ます。モニター越しに見える千冬の表情はそれはもう無敵の笑みとしか言いようが無い。もっとも今はそれを気にしている状況ではない。

 

「速攻で行くぞ! チェンジゲッターアーク!」

 

 3機の戦闘機が一直線上に連なり、重なり合った。合体だ。各部を展開し、巨大な人型へと変わっていく。

 ゲッターアーク。それがこの巨大ロボットに付けられた名称である。口腔に牙を持つ、現時点で日本最強のロボットだ。

 

「ゲッタートマホォォーク!」

 

 絵の両側に巨大な両刃の付いた斧、ゲッタートマホークを振りかざしたゲッターアークは、全く躊躇なく問答無用で自分の3倍ある敵に飛び込み、両断した。一瞬である。

 

 

「ぅおすっげー! さすが千冬姉ぇー!」

 

「千冬さん一発じゃないの」

 

「姉さんニッポンのロボットは偉大デス」

 

 一夏・凰・箒がひたすら感心している横で、セシリアは呆れ、ラウラは頷いていた。

 

「全く日本ときたら…」

 

「うむさすが教官だ」

 

 言っておくがまだ敵は殲滅し終わっていない。しかしもはや勝ったも同然の勢いである。

 

 

『千冬、地上の皆は喜んでいるみたいね』

 

「それが我々への評価だ。ありがたく受け取っておけ」

 

『そうですね……』

 

 ゲッター3号機に乗るパイロットの、強化服から覗く肌の色は緑だった。そして鱗があった。それはかつて日本を襲ったハチュウ人類に似た肌である。

 

 彼女の名はシャルロット。ハチュウ人類と人間とのハーフである。

 

 




・IS
 イヤハヤ・シットでいいやもう。豪ちゃんネタだけども。

・まや
 何か山田一尉という言葉の響きが気に入った。

・拳銃
 原作にも登場した、竜馬が使ってたものから更に改造されたドワオ銃。

・龍神会
 號にも同じことをやられてるが気にしちゃいけない。


 次回は早乙女研究所と束の痴態。

 挿絵募集してます。いや自分で描くべきか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。