それはそれとして、今回はこの作品でやりたかった話の一つです。ISで巨大ロボット物やんなって意見は粛々と受けます。
その朝、篠ノ之束(独神)は死にかけていた。
自室のベッドから這いずり回り、ついでに巨乳を揺らしていた。寝る時にブラなんて締め付ける物着けていられない。
まるで映画の撮影で飲まされた牛乳が腐っていた時のランス・ヘンリクセンのような表情となって床を這っていた。目が回る吐きそう。早い話が二日酔いである。あと床に吐いた記憶のないゲロが固まっている。畜生クイーンエイドリアンめ。
昨夜飲み会でウイスキーのロックを調子こいて何杯も飲んだのが効いたらしい。後悔先に立たずと言う。一緒に飲んだ心の友(ゴリラ)は自分より遥かに飲んだ筈なのに全く平気だったことが恐ろしい。いやよく思い出すと、ちーちゃん(ゴリラ)が手にしたのは殆どがビールでチェイサー(という建前のビール)も山程飲んでいた。
屈強な精神力で体を捻じ伏せ立ち上がり、何とか顔を洗って歯を磨きうっかりコーヒーでうがいしかけたところで警報が鳴り響いた。
早乙女研究所に警報が鳴り響く。浅間山に謎のロボット軍団が向かってきているのだ。何の痕跡もなく突然空間に穴が開き出現したのだ。更に外見があまりにチャイナっぽく、かの中国から無関係である旨が外交レベルで念押しされる程である。中国本当に関係ないからねマジで! と一夏のお友達に含まれる中国生まれの白いY豚ちゃんも念押ししている。
そんな中、広大な整備デッキには戦闘機たるゲットマシンが計18機、レールに運ばれて集結していた。3機が合体して、計6機のゲッターロボが稼働することになる。どれ一つとして同じ型の物はない。多くの部品で共通化は図られているが基本はワンオフの機体である。
「へっへっへ、今日も命知らずな奴らが地獄で死にに集まってきたぜ」
と整備長が不敵ににやつく。直訳すれば「おはようございます。今日も一日頑張りましょう」となる。パイロットの死亡率が高いのは一応事実である。
その中の1機、ゲッター3と称される機体がせり上がってきた。乗り込むのは、厚い強化服に身を包んだシャルロットだ。
「おおーいシャルー!」
万歳してアピールしてきたのは一夏だった。シャルロット、通称シャルは笑顔で手を振って返す。直後コクピットに潜り込んだためシャルからは見えなかったが、一夏は「シャルちゃんを見守る会」の面々から三方向のドロップキックを食らっていた。
実のところシャルロットは人類とハチュウ人類とのハーフである。爬虫類の肌があからさまに人間とは違うと嫌でも判らせる。10数年前、日本と恐竜帝国は秘密裏に和平条約を結び、技術交流を行っている。そして恐竜帝国から友好の証としてパイロットを1名、早乙女研究所に派遣された。シャルロットである。過去に数度日本と世界を荒らされた側としては、理屈では理解できても納得はできるものではない。しかも人類とハチュウ人類とは交配できない、帝国で人体実験し失敗していると、そう研究所では密かに知られている。出生があまりに謎で、腫れ物扱いだった。
しかし流千冬(ゴリラ)は彼女にガンガン攻めて(物理的な意)仲良くなり、釣られて他の女性パイロットの面々(ゴリラーズ)もシャルロットと仲良くなり、周囲も悪からず思うようになった。元々彼女の他人を悪し様にしない人?の良さがもたらしたものでもある。そもそも同性の比較対象が……という意見は聞かなかったことにする。
翻って一夏とは寧ろ一悶着はあった。一口に言えば間違えて女性用シャワールームに侵入した一夏が、シャワーで濡れたシャルロットを見てしまったのである。そんな一夏が一言
「綺麗だ……」
と嘘偽りなく私心もなく口にした。そのためか、シャルロットは青春的な意味で意識するようになった。尚ピーピングトム一夏は、話を聞きつけた女性パイロットの皆様(ゴリウー)から一人ずつシャイニング☆ウィザードを賜った。
そしてシャルロットを乗せたゲッター3は戦場へと飛び立った。
一方、研究所の司令室では各ゲットマシンの発進を確認、更に前方に迫りつつあるロボット軍団との衝突コースを観測した。これまでの戦闘で敵の生態は昆虫的な人型であるとまでは判っている。だが今必要なのは相手は人類の敵であることと、いかに殺せるかである。
司令室には神隼人所長を始めオペレーター、基地の武装一切を統括する科学者集団が詰めている。その科学者集団には敷島博士(キ以下略)を筆頭に多数の科学者というかジジイ集団、そして篠ノ之束がいる。唯一の若手である束の場違い感は半端ない。
二本のケーブルを鷲掴みにした敷島博士は、そのケーブルを頭に刺した。片方が脳と基地を直結する伝送ケーブル、片方がアドレナリンを直接脳に流し込むケーブルである。
「アドレナリンちゅうにゅう!」
あぎゃあぎゃ煩いながらも、ミサイルを山程撃ち出していく。一方の束はさすがに自分の頭を切開する気はないので、ウサミミ型カチューシャを介して脳波を拾って基地と通信し、自分の担当のミサイルと機銃を操作する。そんな本人もロングスカートをはためかせハイテンションで腕を振り回して叫んでいた。尚神所長はそういう場には慣れている。
各々好き勝手に飛んでいく多数のゲットマシンの周囲に、大量のミサイルが通り過ぎ、先行して敵ロボット軍団にぶち当たり続けた。盛大に爆炎の花を咲かせている。その中に突っ込めというのである。敷島博士がまるでクジャクが羽根を広げたようじゃー! と死ぬ程喜んでいる音声が、ゲッター1を駆る千冬に届いている。「死ねばいいのにクソジジイ!」と叫んだ千冬を許して欲しい。
「シャル! アークに合体して突っ込むぞ!」
「うん言うと思ったよ全く! こ~んな弾幕を縫ってやれって!?」
「隣のミサイルなんて当たんなきゃいいんだ当たんなきゃ!」
一応ミサイルは味方機には近接信管は作動しない。しかし直撃すればゲットマシンと言えど吹っ飛ぶ。そんなミサイル群は今彼女らの周囲をバンバン抜けていく。
千冬のゲッター1、無人のゲッター2、シャルロットのゲッター3が一直線に並ぶ。尚ゲッター2は束謹製のAIによる自動操縦である。パイロットが正式に決まるまでの一時的な措置だ。
「ゆくぞ!
チェン
ジ
ゲッ
ター
アーク!」
コクピット内のオールビューモニターでは、どの視界もミサイルと噴煙と爆炎の流れで埋め尽くされていく。その中を3機は一直線に爆炎の花火へと直進し、弾幕の衣を纏い、数珠繋ぎとなり、一つの塊となる。だが黙って見過ごしてもらえる訳もない。敵ロボット3機が刀やら槍やらを振り回し迫ってくる。しかし2機はミサイルに阻まれ爆散、ゲッターもその爆発に巻き込まれた。
「やったか!?」
そう叫ぶ残った敵ロボット。
……の眼前に、悪魔の羽根を頭にあしらった凶悪な顔が、現れた。その名はゲッターアーク。伝説の悪魔勇者アモンにあやかった、悪魔の機体である。
敵の胸を鷲掴みにしたゲッターアークは、共々一直線に加速して落ちていく。山の中腹に激突したが、それでも止まらず盛大に山を削り、頂上まで高速で敵を引きずっていく。頂上に至る頃には敵ロボットは強引に削り落とされ解体され、ゲッターアークが引き上げた手に残ったのはパイロットの虫野郎だった。しかし何かを喚く虫野郎には全く情を抱くことなく、あっけなく握り潰した。さながら緑の血の水鉄砲だ。
山頂に仁王立ちしたゲッターアークを狙い、更にロボット軍団が降り注いでくる。仇敵を見たと言わんばかりに、憎しみに塗れたかのように叫び迫ってくる。
ゲッターアークの肩から展開される、巨大な斧、ゲッタートマホーク。サイズ違いの両刃のそれが宙に舞う。巨大な円を描き、有象無象のロボット共を何の障害もなく真っ二つにしていった。
最も近くにまでいた敵の背が切り裂かれる。腕が飛び出し、縦に両断し、現れたのは悪魔だった。二の腕に装備された4本の長大な刃によって切り裂いたのだ。同時に牙の生えた口腔の中には、敵ロボットに乗っていた数体の虫野郎が折り重なっていた。仕事を果たし帰ってきたトマホークを掴み取り、そして全く無慈悲に虫を噛み潰す。汚い血の花が咲いた。
その威殺す双眸は空を睨み付ける。
流竜馬の血、降臨。
(続く)