IS 燃えたぎる紅蓮の男   作:レイハさん

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遅れた、ごめん、モチベがあがらなかったんですごめんなさい!!(大体FGOのせい



二話 幼なじみ

 さて、俺のクラスの全員分の自己紹介が終わり、今は休み時間だ。

 さっき出席簿で殴られた頭がやけに痛むが、まぁいずれ収まるだろう。

 

 俺が痛む頭をさすっていると、織斑が立って俺の席まで歩いてくる。

 歩くと言っても席はすぐ近くなので歩く必要は殆どないがね

 

 「よう、俺は織斑 一夏って言うんだ、お前は神無月……でよかったよな?」

 

 「ああ、さっきの自己紹介の時の印象でお前の事は覚えやすかったぞ」

 

 何せ、あんなデカい音たてて出席簿で殴られていたのだ。そりゃあ目立つさ、俺も人の事を言える訳ではないけど

 

 「ははっ、それを言うならお前もだろ。学園で二人だけの男だ、仲良くしようぜ神無月」

 

 「そうだな、仲良くしようぜ一夏、後、俺の事は志門って呼んでくれよ」

 

 「おっ、いいのか? 俺もそっちの方が呼びやすいから願ったり叶ったりだ」

 

 世界初の男性操縦者というからどんな奴かと思ったが、案外普通に話せる奴じゃねぇか。

 上手くやっていけるか少し不安ではあったが、一夏となら上手くやっていけるだろう。

 

 「んじゃ、俺の事も一夏で……ってもう呼んでるか」

 

 「ハハハハ!! お前となら楽しくやっていけそうだぜ、よろしくな一夏!」

 

 「あぁ、此方こそよろしくな志門」

 

 俺と一夏は互いに力強く握手を交わした。

 

 

 

 

 「すまない、神無月、一夏を少し借りていってもいいか?」

 

 俺と一夏が雑談をしていた時、長い髪をポニーテールで纏めた女子がそう言って会話に割り込んできた。

 

 「おう、お前は確か篠ノ之…だったよな、別にいいぞ対した話しをしていた訳じゃあねぇからな」

 

 別に今話せなくとも後で話す機会などいくらでもあるからな、今は篠ノ之に譲るとしよう。

 

 「ありがとう、神無月…一夏いくぞ」

 

 「お、おお…悪いな志門」

 

 篠ノ之は俺に頭を下げて、そのまま一夏を引っ張って行った。

 

 「うーん、話す相手がいなくなっちまった…」

 

 俺は一夏が教室から姿を消してから、そう呟く。

 まだ休み時間は五分以上ある、その間椅子に座ってじっとしているのも性に合わないので、新しく話す相手を探そうと、席から立ち上がる─

 

 「お久しぶりですね、志門」

 

 ─が、やけに聞き慣れた声が聞こえて来たので後ろを振り返る。

 振り返るとそこには、俺の年齢が8歳頃から一緒だった幼なじみとも言える存在である〈相原 雫〉がそこにいた。

 セミロングより少し短めの綺麗な黒髪を揺らすその姿は少し大人びたものの、殆ど変わってはいなかったため、直ぐに雫だと気づく事ができた。

 

 「え? 誰だ……って雫じゃねぇか!」

 

 俺は数年ぶりに幼なじみの姿を見て、感極まって雫に飛びつく。

 

 「久しぶりだなぁ雫!!」

 

 「うわわっ! 危ないですよ志門!!」

 

 雫が静止の声を上げるが、俺はそれを無視して雫に抱きつく。

 驚いたのか雫はバタバタと手を動かすが、次第に手の動きは落ち着き、抱きつく俺を受け入れてくれた。

 

 「うわ…神無月君って大胆……」

 

 「あの子誰なんだろ……ちょっと羨ましいなぁ…」

 

 俺が雫に抱きついていると、周りからヒソヒソと話し声が聞こえる。

 俺は周りが何を言っているのかは全く聞こえないが、雫は何か聞き取れたのか顔を真っ赤にして、また手をバタバタと動かす。

 

 「し、志門! は、離れて下さい!」

 

 「えー…何だよ雫、嫌なのか?」

 

 「い、嫌という訳ではありませんが…それでもこういう場所でそういう事をされるのは……は、恥ずかしいんです…」

 

 俺に抱きつかれたまま雫は頬を赤く染め、うつむく。

 昔の雫はこういう事を嫌がることはなかったが、成長した今はそういう風に感じるんだなぁ。

 俺は幼なじみの成長に時の流れを感じる。

 

 「んー、でも後五秒はこのままなー…」

 

 俺も流石に人が嫌がる事をし続ける程、最低な奴ではない。

 だが、まだ少しだけこうしていたかったので、我がままを言わせてもらう。

 

 「うぅ……」

 

 雫は顔を赤くしたままだが、俺の我がままを受け入れてくれた。

 

 ◆   ◆

 

 雫はあの後、俺と少しだけ話をして自分の教室に帰っていった。

 もう少し話していたかったなぁ…。

 

 「(そういえば雫、大分綺麗になってよな…)」

 

 俺は昔と違って大人になっていた幼なじみの姿を思いだして頬を緩める。

 髪は相変わらずサラサラしてたし、いい匂いもした、体も柔らかかったし、全体的に少しだけ丸みを帯びてきたと言える。

 しかし、それらよりも注目するところがあった、それは…

 

 「(…胸だよ! 胸!)」

 

 そう、胸だ、おっぱいとも言う。

 昔はまだ成長期が来ていなかった事もあり、あまり女性らしさを感じさせることはなかったが、成長した今、胸は大きく膨らんでおり、久しぶりに会ったときに思わず目を奪われた。

 

 さっき抱きついた時はそこまで気にしていなかったが、後々意識すると、凄いふにふにと柔らかい感触があったのを思い出し、もっとしっかり堪能しておけば良かったと後悔する。

 

 「(顔も昔よりも綺麗で可愛かったし……もうちっとだけ見ていたかったなぁ…チクショー…)」

 

 志門は授業中だと言うのに、先生の話しを全く聞かずにその事ばかり考える。

 この顔を織斑先生が見ていたなら、志門の頭には出席簿という鉄槌が下されていただろう。

 

 「織斑君、分からない所があれば何でも聞いて下さいね、何たって私は先生ですから!」

 

 俺は山田先生の声が聞こえてハッと我に帰る。

 周りは真面目に授業に取り組んでおり、志門が少しスケベな事を考えていたのは気づかれていないようだ。

 

 俺は一夏の方をを見ると、一夏何か意を決したような顔をして、山田先生の方を見つめていた。

 

 「先生!」

 

 「はい! 織斑君!」

 

 「殆ど全部分かりません!!」

 

 一夏は何の恥ずかしげもなく、迷いもなく、堂々とそう言い放った。

 

 「え…全部…ですか…?」

 

 山田先生は一夏の言葉が予想外だったのか目を丸くして、驚いたような声を上げた。

 

 「えっと…今の段階で、他に分からない所がある人はいませんか……?」

 

 山田先生は周りを見渡して確認を取るようにそう言う。

 俺は分からない所か全く授業を聞いていなかったので、素直に手を上げる。

 まぁ、授業を聞いていても理解できていたとは思えないが…。

 

 「うえぇっ! 神無月君もですか? 他の人は………いませんね……」

 

 どうやら、俺と一夏以外分からない奴はいないらしい。

 先生の驚きようから見て、知っていて当たり前のような物なのだろう。

 

 「はぁ、織斑、神無月…貴様ら入学前の参考書は読んだか?」

 

 「あのぶ厚い奴ですか?」

 

 「そうだ、必読と書いてあっただろう?」

 

 「あれなら古い電話帳と間違えて捨てました」

 

 ──パァンッ!!

 

 「っつ~……!!」

 

 一夏が素直に答えると、織斑先生の出席簿が一夏の頭に振り下ろされる。

 

 「はぁ……で、貴様はどうした…? 神無月…」

 

 流石に今のを見てわざわざ叩かれるような事は言わないが、別に俺は一夏のように捨てた訳ではなく、ただ読んでも全然覚えていなかっただけなので、素直に答えることにした。

 

 「俺バカなんで読んだけど覚えてません!!」

 

 ─パァンッ!!

 

 素直に答えると、織斑先生の出席簿が俺の頭にも振り下ろされた、何故だ。

 

 「おおお……いてぇぇ……!!」

 

 俺は朝と同じ痛みを再び受け、痛む頭を抑える。

 ていうか、あれ絶対出席簿なんてもんじゃない、織斑 千冬専用兵器だ。そうだそうに決まってる。

 

 「………」

 

 そんな馬鹿げた事を考えていたが、織斑先生の目が鋭くなったので、直ぐに考えるのを止める。

 あのまま、余計な事を考え続けていたら再度鉄槌が下されていたことだろう。

 

 「…織斑お前は再度発行してやるから覚えてこい、神無月はもう一度読み直してこい、期限は一週間以内だ」

 

 「「い、一週間!!?」」

 

 「そうだ、何か文句でもあるのか?」

 

 流石に短すぎると抗議しようとしたが、そんな事をすればまた出席簿が振り下ろされるだろうと察した俺達二人は、何も言える事はなく、ただただそれを受け入れることしか出来なかった。

 

 ◆   ◆

 

 「なぁ一夏……」

 

 「何だよ志門……」

 

 「俺……詰んだかも……」

 

 折角の高校生活が始まった途端にこれだ、しかもあのぶ厚い参考書を一週間で全て覚えなければならないのだ。

 普通に勉強ができるであろう一夏ならば死ぬ気でやれば何とかなるだろうが、俺のように根っからのバカはどれだけやっても覚えられる気がしない。

 しかし、覚えてこなければ当然のごとくあの出席簿という鉄槌が下されるであろう。

 

 「お前だけじゃねえ……俺だってあんなの一週間じゃ無理だ……」

 

 「そうだよなぁ………」

 

 「「はぁ……」」

 

 俺と一夏はただ愚痴を言い合い机に突っ伏し、同じようにため息を吐く。

 

 「ちょっとよろしくて」

 

 俺と一夏が少し絶望していると、上から少し気取ったような声が聞こえた。

 

 「んあ?」

 

 「誰だ?」

 

 俺達は気の抜けた返事をしながら同時に上を見上げる。

 俺の格好は机に突っ伏したまま顔を上に向けているだけという失礼な格好だが、今は気が重いのだ、これくらいは許してほしい。

 

 「まぁ、何ですのそのお返事は、それにあなた、私に話しかけて貰えるだけでも光栄だと言うのに、もう少ししっかりした態度で返事をしてくださる?」

 

 しかし、目の前の金髪ロールの少女は俺達の返事、俺の格好が気にくわなかったのか、少し苛立った声上げる。

 確かにこの格好は失礼だな、いかに疲れたからといって初対面の一通り話すのだ、せめて背筋くらいは伸ばしておこう。

 俺は少し気だるげに体を起き上がらせる。

 

 「あ、あなたも教官を倒したと言うの!?」

 

 俺が肩や首などを揉んでマッサージしているうちに、金髪ロールと一夏の会話はヒートアップしており、近くでこの会話を聞いているとなかなか耳が痛い。

 まぁ、ヒートアップしているのは金髪ロールだけだが、そこは置いておこう。

 

 「っ! また来ますわ! 逃げないで下さいね!!」

 

 チャイムが鳴ったため金髪ロールはそう捨て台詞を吐きながら自分の席へと戻って行った。

 クラスは一緒なのだから逃げるも何もないと思うのは言わない方が良いのだろうか?

 


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