魔法少女リリカルなのは~ご近所の魔法使い~   作:イッツウ

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主人公のお師さんはマジ便利キャラ。

今回フェイトのママさん初登場ですが、かなりのキャラ崩壊あります。

苦手な方は今の内に引き返してください。


閑話・黒幕会議

 

 日の高い昼時。とあるビルの屋上に二人の人影がある。

 片方は日の光で輝く金の髪の少女、フェイト・テスタロッサ。もう片方は野性味溢れる雰囲気をもつ女性、アルフ。

 フェイトは魔法陣を展開させ呪文を詠唱する。その口から紡がれる言葉は途切れず、かなりの長い詠唱だ。そして最後の詠唱を紡ぐ。

 

「開け、誘いの扉。時の庭園、テスタロッサの主のもとへ」

 

 二人の姿は光に包まれる。光が静まる頃には二人の姿はなかった。

 

 

 

 そこに再び一人の女性が現れる。

 白の髪と黒の瞳。格好は黒のシャツにGパンという女性にしては少々ラフな格好。ご存知、鈴の師匠であり保護者でもある『秋月蓮』である。

 

「今のがフェイト・テスタロッサか……なるほど」

 

 蓮は少しの間、考えに耽る。

 

「さて、それじゃあ案内してもらおうか」

 

 おもむろに靴のつま先で地面をカツン!と一度鳴らす。乾いた音が響き渡った直後、一瞬にして蓮を中心として魔法陣が展開される。なのはやすずかのミッド式とは違う。かと言ってアリサのベルカ式とも違う。六角形に紋様を刻んだ陣。

 

「追跡完了。行くか」

 

 蓮はもう一度、地面を鳴らすと魔法陣が一際強く輝き、彼女を飲み込む。そして光の治まった後にはフェイトの時と同様、彼女の姿はなかった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 薄暗い大広間の中、その女性の平手がフェイトに打ちつけられる。

 

「あぅっ!!」

「あれだけ時間をかけて集めたのはたったの3つ。あなたは何をやってたの?」

「ごめん…なさい」

 

「謝る暇があるのならすぐに残りのジュエルシードを見つけてきなさい。母さんを失望させないで。必要ならこの城から何体かの人形を連れて行きなさい」

 

「……はい」

 

 その言葉を最後にフェイトは静かに部屋を去る。沈黙の訪れる部屋の中、妙齢の女性――フェイトの母・プレシアは静かに嘆息する。

 本来ならこの程度のことはあのフェイトでもこなせると思っていた。しかしいざ成果を聞いてみればたったの3つだけ。しかも他にもジュエルシードを集めている輩がいるという。全員が魔導師でありながらその数は5。

 プレシアにとって想定外だ。管理外世界でありながら魔導師が存在し数もいる。さらにその魔導師はジュエルシードを破壊したとフェイトの報告もあった。つまりは最低でも1人は高ランクという事実。プレシアにとっては悪い方に状況が転がっている。

 しかしプレシアには引き返すという選択肢は無い。それは自身の望みのために。残り少ない時間を無駄にはできなかった。

 

「……そう。もう引き返せないのよ」

「何が引き返せないって?」

「誰!?」

 

 いきなり返ってきた返答にプレシアは驚愕した。

 

 侵入者はどうやってこの座標をどうやって知ったのか?

 

 侵入者用のセキュリティが反応してないのは何故か?

 

 侵入者は何者なのか?

 

 様々な疑問が一瞬にしてプレシアの思考を埋め尽くすがそれらを後にし、声の聞こえた正面の通路を睨みつける。

 薄暗い通路から現れたのは見た目20代前半の女性。

 格好はとてもこの場に相応しいとは言えない格好で、光を透かすような白の髪。その女性――蓮はプレシアの正面、大広間の中央まで臆面もなく堂々と歩み足を止める。

 プレシアはその蓮をみて一瞬怪訝な表情を浮かべたが、すぐに新たな驚愕へと変える。

 ありえないと、信じられないといった思考が頭の中を駆け巡る。

 

(まさか……まさかまさかまさか…)

 

 だがプレシアにとって目の前の人物は見間違える筈がない。

 

 何故なら――

 

「久しぶりだな、プレシア嬢」

「カレン……師…匠…?」

「今は秋月蓮だ、プレシア」

 

 僅かな時間とはいえ、かつて自身が教えを乞うた人物なのだから。

 

 

 

 

 

「本当に久しぶりだな。最後に会ったのはお前がまだ10代だった頃か? いやはや月日が経つのは早いな」

「な、何故師匠が此処に? それにそのお姿、何故あの頃のままで?」

 

 今のプレシアをフェイトが見ると驚くであろう。いつもの尊大とした様子は無く、ただ1人の人間として本当に驚き戸惑う姿。珍しいなんてものじゃない。

 

「姿は……仕様だ」

「仕様って……いえ、『魔女』と呼ばれた師匠なら納得できそうです」

「『悪魔の女』…ね」

 

 かつては大魔導師と呼ばれたプレシアにとってもこの師匠――蓮は魔導師として並び立つ事はおろか、格どころではなく次元の違う存在だった。

 それだけの実力がありながら決して表舞台に立つ事は無く、裏の世界でも知る人ぞ知るという人だ。短い期間だったとはいえ、この人の師事がなければ大魔導師と呼ばれなかったかもしれない。それほどだった。

 プレシアはそう記憶してあった。

 

「それにしてもさっきのお前の娘なんだが…本当におまえが腹を痛めて生んだ子なのか?」

「っ!?」

「やっぱりな」

「な、何故ですか?」

「おまえとあの子の魔力の質に違和感を感じた。それに私もあの子と似たような子を知ってるからな」

 

 そう言ってプレシアを見据える蓮。その口にはいつの間に取り出したのか例の煙草が銜えられていた。ただ火をつけてないところを見ると、一応は喫煙者のマナーとして気遣ってるようだ。しかしプレシアに刺さる鋭い視線は揺るぐことはない。

 そんな蓮の前に、プレシアは逆らう事ができずにいる。

 

「さて、お互い積もる話もあるだろう? 積もりに積もった話、洗いざらい吐き出してみようか」

「…はい」

 

 

 

 

 

「そうか。そんなことが…」

「はい……だから私はもう引き返すわけにはいかないのです」

「好きにすればいいさ」

「えっ?」

「私は今回の件には深く関わっていない。だからお前の行動にあれこれ言わないさ。今回、此処に来たのもこの件におまえが関わっているか確かめたかっただけだからだ」

 

 その言葉にプレシアは内心で安堵の溜息を吐く。なぜならば蓮がこの件に関われば間違いなくプレシアにとっては不利どころか、高い確率で負け戦になるからだ。

 この自身の持ち得る戦力、全て廻しても勝てるのか? 

 それほどの実力者なのだ。

 

「だいぶ長居したな、そろそろ御暇するとしよう。」

「そうですか」

「それとな…」

「?」

「さっき言ったフェイトと似たような子は私の今の弟子だ。そいつはこの件に関わっている内の一人だ」

「お弟子さんがいたのですか!?」

 

 プレシアにとっては驚愕の事実だ。蓮は弟子をとることなど無いに等しい人物だったからだ。短期間とはいえ、自分がこの人から師事を受けられたのも奇跡に近いと今でも思っている。

 そんなプレシアの驚愕を気にせず、蓮は言葉を続ける。

 

「そいつも純粋に生まれた子ではない。でも私は師匠として、そして保護者として大切な奴の一人だ」

「……何が言いたいんですか?」

「不器用な愛情ばかり向けるなってことだ。生まれはどうあれ親なんだろ?」

「……」

「じゃあまた会おう。それと体は大事にしとけよ」

 

 そう言葉を残し、蓮は靴を鳴らして転送魔法を起動させ大広間から消える。再び沈黙の訪れた大広間の椅子にプレシアは深く身を沈める。疲れたように右手で顔を覆い、大きく息を吐く。

 プレシアは内心ずっと我慢していたことがあった。

 それは自身の望みに蓮の手を借りられないかと口にする事。

 しかしここまでやってしまった自分がどの顔をさげてそのような事を口にできようか。

 

 プレシア自身は気付いていないが、この時に間違いなく存在したのはプレシア・テスタロッサの良心。

 

「それにしても…相変わらず師匠に隠し事は通用しない」

 

 右手をどけたプレシアの顔にある顔が浮かんでいた。

 いつもの険のある表情ではない。

 かつての師に出会った事によって1人の人間に戻ったプレシア・テスタロッサとしての――

 

 ――柔らかく微笑んだ表情。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「本当に……あのバカは…」

 

 どこかのビルの屋上、呆れたように呟いた蓮の言葉は煙草の煙と共に風に運ばれていった。

 

 




賛否両論あるであろうプレシアさんのキャラ。
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