作者の貧弱すぎる発想力にはなるたけツッコないであげてください。
生暖かい眼で流してあげてください。
『なのは』
私たちがアースラにお邪魔になって暫くが経ちました。そこで過ごす日々はいつもと同じくジュエルシードを封印する日々。
今までのように闇雲に探すのではなく、アースラの探査もあるので体力の消費が少なくて済んでる。今日だって大きな鳥を退治してジュエルシードを無事に確保できた。
学校や家のみんなにはこちらの事情を知っている蓮さんのフォローもあって、うまく誤魔化すことができてるけどちょっと後ろめたいかな。
私たちの集めたジュエルシードは5つ。そしてフェイトちゃんの方はすずかちゃんの家と公園で奪われたから最低2つ以上。そして壊したのが2つ。だから残りは最高でも12個。まだまだ道のりは長いみたい。
そんな私たちはただいま休憩時間をアースラの食堂で過ごしてる。いつものメンバーに加えて今日はクロノ君とリンディさんも交えてなので賑やかなの。
「ハグッハグッ! ん~! おいしい!」
「ほんとね。餡子は甘さ控えめってのがいいわ」
「お店で出せますよ、鈴君」
「今更だけど鈴の家事能力って凄いね」
「本当にこれは君が作ったのかい?」
「最近の子どもって凄いのね」
「御好評で何より。作った身としてはうれしいぞ――って、こら! お茶に砂糖を入れるな! 日本人としてそれは見過ごせん!」
食べているのは私の大好物、鈴君お手製のたい焼き。なぜか食堂にあった金型で作ってみんなに振舞ってます。鈴君はあとでこの艦のクルーにも振舞うつもりみたい。
「なのはさん凄いわねぇ~。もうそれで3つ目でしょ?」
「なのはちゃんはたい焼きだけは別腹みたいだから」
「たい焼き大好物だもんね」
「昔、なのはにあげた時からだよな?」
「うん。今でも覚えてるよ」
「それ以来、ウチにちょくちょく遊びに来るようになって」
「懐かしいね」
「あら、おもしろそうね♪ 良かったら聞かせて、あなた達のそのエピソード」
リンディさんが思いっきり身を乗り出して尋ねてくる。ちょっと怖い。
「ええと、鈴君と初めて会った時なんだけど…」
そして私はかつての……あの全てが変わったと感じた日、鈴君との出会いの日を語る。
◆ ◆ ◆
当時の私は1人。
家族が居なかったワケじゃない。お母さんも居たし、優しいお兄ちゃんにお姉ちゃんもいた。だけどお父さんが居なかった。亡くなったとかそんな不謹慎なことじゃなくて、大怪我を負って病院に入院していて家に居なかったの。
ウチは喫茶店を経営しているから、お母さんはお店を経営しながらお父さんの看護もこなして必死に頑張ってた。そんな両親を支えてたのがお兄ちゃんとお姉ちゃんの2人。
結果、3人ともが家を空けることが多くなって、必然と私は1人になる事が多くなる。
幼すぎた私は誰の手伝いもできなくて、せめて『イイコ』でいて手のかからない子になるのが唯一できること。
だけど理解はできても心が納得できなかった私はある日、1人で外に出た。お母さんからは危ないからと外出はダメと言われていたけど、家の静かな空間は孤独感を否応無く突きつけ、耐えられなくなったの。
この時、私は『ワルイコ』になった。
そして歩いて、歩いて、歩いた先は公園。なんでそこに辿り着いたのかはわからない。ただ人の居る場所だったら何処でもよかったんだと思う。一人ぼっちを紛らわせたのなら。
けどそれも無駄だった。確かに公園には人は居たけど、親子の散歩だったり知らない子が友達と遊んでいたりと私を気にかけるような人はいなかった。むしろ仲の良さそうな親子連れの人たちをありありと見せつけられて、羨ましくなって余計に一人ぼっちだってわかった。
もう歩くのにも疲れたからベンチに座って、ただ公園の風景を眺める。
周りに人は居る。だけど私は1人。
私は世界に1人だけ切り離されたような気分になった。そう考えると、とても悲しくなって涙が零れそうになる。
これは『ワルイコ』になった私への罰だ。
ごめんなさい、お母さん。言いつけを守れなくて。
明日からまた『イイコ』に戻るから。
だから――
「こんにちは」
不意に声を聞こえた。顔を上げたら、左腕に小さな紙袋を抱えた男の子が立っていた。最初は自分が話しかけられたと思わなかったから自分を指差したら男の子は頷いた。
「ちょっといいかな?」
「えぇと…」
どう答えようかと思ったけど、結局はうんと頷く。その返答を聞いた男の子は私の隣に座る。ちょっと動きがどこかぎこちなかったけど怪我でもしてるのかな?
「突然なんだけど…君、お腹空いてない?」
「えっ?」
「いやね、あそこの屋台でたい焼きを買ったんだけど買いすぎちゃってさ。もし良かったら一緒に食べてくれないかな? 捨てるわけにもいかないし返すのも気がひけちゃうし、持って帰っても冷めちゃうしね」
そう言って男の子は紙袋をこちらに見せてくる。焼きたてなのか、湯気と一緒にいい匂いが袋の口から漂ってきてその匂いを嗅いだらお腹が小さく鳴った。
その音が聞こえたからか、男の子はクスクス笑ってて私はすごく恥ずかしくなった。今の私は顔がすごく真っ赤になってると思う。うぅぅ……正直な自分のお腹が恨めしいよぅ。
「気にしなくていいよ。遠慮なく食べて」
「…いただきます」
もう聞かれたんだしいいや、とどこか開き直って男の子からたい焼きを貰い口に運ぶ。私が食べたのを見て男の子もたい焼きを齧った。
「…おいしい」
「ほんとだ。あの屋台のおっちゃん、いい仕事してるなぁ」
それからは夢中になってたい焼きを食べた。男の子はまだ1つ目のたい焼きを見ながらブツブツと呟いている。「焼き加減が…」とか「そもそも生地が…」とか聞こえたような気がしたけど、私は一心不乱にたい焼きを堪能していた。
この時の私は忘れていたけど、間違いなく1人じゃなかった。
「じゃあ、なのはってあの家の子?」
「うん、そうだけど…鈴君は知ってるの?」
「だってウチはその近所だし」
「え、そうなの!?」
「うん。で、そんな子が何で一人でここに?」
「…それは」
話そうかどうか迷ったのは一瞬だけ。なぜか鈴君には素直に話してもいいという感情が私の中には生まれていた。多分、鈴君の雰囲気に安心しきっていたからだと思う。
「なるほど、そんな事情がね…」
「うん…で、でも大丈夫だよ。普段はちゃんとお留守番できるから!」
「ふむ……なのは」
「はい?」
「今からウチにおいで。夕飯にご招待しよう」
「…はい? はい?」
「よし決定。拒否は認められません。大丈夫、家は近いんだから問題は無い」
「…え~と、そうなのか…なぁ?」
「そうなのだー。というわけで帰りましょう」
強引に決定しちゃった後、私と鈴君は公園を後にする。それにしても鈴君の動き…
「どこか怪我でもしてるの?」
「うん? あ~…まだこの体と完全に結合してないだけ」
「?」
何だかよくわからない答えを返されたの。
◆ ◆ ◆
「ただいま戻りましたー」
「お、お邪魔します…」
鈴君の好意に甘えて、私は夕食をご馳走になることなった。一応、電話でお母さんに連絡をして了承も貰った。その際、お母さんの声が喜んでいるようにも聞こえた。
そしてリビングの扉をくぐると、まるで御伽噺のような人と出会いました。
まず目を引いたのは光を透かすような白い髪。お年寄りの白髪のようなものではなく、もっと自然に近い水晶のように綺麗な髪。
次にその瞳。髪が水晶ならこっちは黒水晶。白と黒のコントラストが余計にこの人の神秘性を高める。顔も整っていてスタイルも抜群。同性でも見惚れるような雰囲気の女性です。かく言う私も見惚れてた。
鈴君が事前に言っていた親代わりの人なんだろう。そんな女性は――
「良し! 最速レコード更新。さすが私だ」
マリオカート(SFC版)に熱中していて色々台無しでした。
「ほう、高町さんのところの子か」
「は、はい! 初めまして。高町なのはといいます!」
「うん、初めまして。私は鈴の保護者の秋月蓮だ。あとそんなに緊張しなくていいぞ」
「い、いえ、そんな…」
「ふふ、正直な子だな」
蓮さんの小さな微笑みはやっぱり見惚れるような魅力を感じます。とてもさっきまでコントローラー片手にガッツポーズを決めていた人とは思えない。
「先生、なのは、夕食はパスタでいい?」
「ああ、かまわないぞ」
「あれ? 鈴君が作るんですか?」
「そうだ。鈴の作る料理はなかなかだぞ」
もしかして、蓮さんは家事のできない人なのかな?
「できるぞ。鈴曰く”雑”だが」
「心を読まれた!」
「顔に書いてた」
「あうぅ…」
「おいしい…」
「お気に召したようでなにより」
今日は何かとおいしいものに縁がある日みたい。しかも作ったのは同い年の男の子。凄いなぁって素直に思う。
それに比べて今の私は……
「また暗い顔してる」
「ふぇ?」
ふぅと鈴君は小さな溜め息を吐いて、食事を中断して蓮さんに視線を移した。蓮さんはそれに対して「好きにしろ」と言ってたけど。
「今日、寂しさは紛れた?」
「えっ? う、うん…」
これは本当。鈴君と出会ってまだ1日も経っていないけど、少なくとも一緒に居るときは寂しいと感じたときは無かった。
「だったら明日も遊ぶか」
「えっ?」
「明日だけじゃないぞ。明後日も、明々後日も、その次の週もだ」
「えっ? えぇっ?」
「俺は家族としての寂しさを紛らわす事はできない。だから……『友達』としてなのはの寂しさを紛らわす」
まぁ自己満足だよなって呟いた鈴君だったけど、私は鈴君が友達と言ってくれたことがとっても衝撃的だった。
『友達』――この単語に私はとても新鮮だったかもしれない。物心ついた時から1人だった私には程遠い言葉。
だけどいざ受け入れてみるとすごく心地よくて安心する。
「ふぇ…」
「ふぇ?」
「ふえぇぇぇん!」
「ちょっ!? なんで泣く! 何処に泣く要素があった!?」
「な~かした~♪ な~かした~♪」
「シャラップッ!!」
初めて知った。人って嬉しくても涙を流せるんだって。
◆ ◆ ◆
「それから鈴君の家に毎日のようにお邪魔するようになっちゃったんです」
「まぁまぁまぁ♪ 若いっていいわねぇ」
「うわぁ…俺ってそんなクサイ台詞吐いてたのか…」
でも私はその鈴君のおかげで寂しさを感じることもなくなって、昔の日々を楽しめた。それについては鈴君や蓮さんにはいくら感謝しても足りないぐらい。
もちろん今も私と鈴君は友達だ。
でも最近の私はその友達だけじゃ満足できなくなってきている。
今まで私に向けていた鈴君の優しさが他の2人に向けられるのが嫌。
二人に向ける笑顔を独占したい。
鈴君を私のものにしたい。
それは私がアリサちゃんとすずかちゃんと友達になった時に生まれた感情。この黒い感情は今までもあったけど、最近になってだんだんと大きくなってきている。
そして大樹のジュエルシードを封印したあの日……アリサちゃんが眠ってる鈴君にキスをしたあの日――
私はアリサちゃんに憎悪の感情を抱いてしまった。
すぐに思い直しはしたけど、一度自覚してしまうと後から後から黒い感情は際限なく湧き出てくる。
その度に私はそんなことは無いとまるで暗示をかけるように否定する。そして鈴君に構ってもらうことで誤魔化している。必死に目を背けている。
「私、まだ『ワルイコ』なのかなぁ…」
私の心の天秤はどう傾くのか?
それは私自身もわからない。
◆ ◆ ◆
※全く関係ない余談でNG話
「エース?」
「そう! なのはちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんがもし管理局に入れば間違いなくそう呼ばれるだけの実力があるのよ!」
「実際、彼女たちほどの魔力量を保持する魔導師は稀有だからね。正直スカウトしたいぐらいなんだよ。いや、時期をみてスカウトするだろうね」
「実力派美少女3人が組んで事件を華々しく解決! うん、画になるねぇ」
「ふ~ん」
リンディさんから分けてもらった緑茶を啜りながら、その画を想像してみる。
3人がバリアジャケットを纏い、各々のデバイスをビシッ!と構えてカメラの前で一言。
「「「これがエースの実力である^^」」」
\キャーナノハサーン!/
\キャーアリササーン!/
\キャースズカサーン!/
「ブウゥゥゥッ!!」
「あっつぅぅ!!」
飲んでる緑茶噴出してしまった。
このお話だけ文章の構成がおかしいです。
けれど……今はこれが精一杯。