魔法少女リリカルなのは~ご近所の魔法使い~   作:イッツウ

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無印編はここまで。

時間がかかりすぎましたね。


23・ご近所の魔法使いによる終わり方

『鈴』

 

 

 秋月家から数件離れた場所にその借家はある。広大ではないが真新しく、小さな庭もあり、家族が住むには十分すぎる家だ。

 その家の玄関に俺は立っていた。

 右手にはA4サイズのファイル。左腕には少々大きめの鍋という関連性がまったく見受けられない出で立ちだ。通報されそうな姿だが最近では当たり前のようになったので全然気にしない。

 ともかくいつものようにこの家の呼び鈴を鳴らす。

 

『は~い』

 

 扉が開いたその先に居たのは――

 

「ウッス、フェイト。いつものように定期健診だ。あとこの鍋はお裾分け。今晩のおかずにでもしてくれ」

「ありがとう鈴。さぁ、入って」

 

 あの日、消えたはずのフェイト・テスタロッサ。

 

 

 

 フェイトの後について短い廊下を歩き、途中居間で寝ていたアルフを横目に目的の部屋へと辿り着く。先に入ったフェイトに続いて、俺も入室する。

 

「母さん、鈴が来てくれたよ」

「こんちわ、プレシアさん。毎度のように定期健診で~す」

「ああ、あなたね。いらっしゃい」

 

 ベッドに上体を起こし、本を読んでいたのはフェイトと同じく、あの日消えたはずだったプレシア・テスタロッサだった。

 彼女は俺の姿を確認すると、おぼつかない動作で本を片付けてこちらへ向き直る。その容姿はとても若い(・・)が、動きはまるで老人のように緩慢だ。

 その間に俺もいつものようにファイルからカルテを取り出し、準備する。プレシアさんが受診の準備が終えると俺も健診を始める。

 診察の間、あの日消えた2人が何故ここに居るかの経緯をお見せしよう。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 あのジュエルシード事件が完全に終わった翌日、先生が朝早くからこんな事を言い出したのだ。

 

「釣りに行くぞ」

 

 開口一番でこれだったから俺はひどく困惑したものだ。そんな俺を気にせずに先生は俺の首根っこを掴んで転移で移動する。その移動先は時の庭園だった。

 現在、この庭園は時空管理局の管轄下にあり、おいそれと入っていい場所ではない。俺としてもこの場所はフェイトを亡くした場所であるからあまり近づきたくない――思い出したくもない場所であった。

 

「せ、先生。こんな所で何をするんですか?」

「フェイト嬢とプレシア嬢、そしてアリシア嬢の救出(サルベージ)だ」

「…はぁ?」 

「私が魔法で実行に移す。おまえは私のサポートに徹しろ」

「ちょ、ちょっと待って下さい! サルベージって…2人は虚数空間に落ちたんですよ? 魔法のキャンセルされるこの場所でサルベージって不可能ですよ」

「2人にはあらかじめ目印(マーカー)を植えつけている。それで座標特定をする。アリシア嬢についても同様だ。それに鈴――」

 

「――私が”ただの”優秀な魔導師ではないのを知っているだろう?」

 

 その言葉を聞いた俺は閉口せざるをえなかった。俺は先生の全てを把握しているわけではないが、この人の力の非常識さを知っているからこそだ。

 ならば俺は疑いを捨てる事にしよう。

 

 結果から言えば成功した。地面には横たわっている2人の姿、傍にはアリシアの遺体が収納された生体ポッドが置かれている。2人は多少衰弱しているようだがまだ息がある。

 

「よし、管理局にばれる前に逃げるぞ」

「へっ?」

「当たり前だろう? 今の私達は不法侵入者なんだからな」

「い、言われてみればそうだった…」

 

 というワケで先生の転移で再び自宅へ戻る。

 

 そしてそれだけで終わらないのが彼女の非常識たる所以でもある。

 

 

 

「プレシアを移し替えるぞ」

 

 朝と同じような感じで言われて俺の思考は完全停止。もうどうにでもなぁれ。

 やる事はプレシアさんの治療みたいなものだ。ただし病を治すわけではない。プレシアさんの病魔を無かった事にするんだってさ。

 

 『移し替える』

 

 『無かった事にする』

 

 この2つで俺はこれから先生のする事にある可能性を考えた。だからずばり聞いてみる。

 

「俺と同じ事をするんですね? 魂の移し替え」

「正解だ」

 

 病の巣くっている体から健康的な肉体への魂の移植。

 正直、力技もいいところである。でもそれができてしまうのも先生だからこそである。

 

 その後、庭の倉庫から地下に築いている先生の研究室へと移動する。そこに足を踏み入れた俺は驚驚いた。生体ポッドの中には知っている女性の姿があったのだから。

 

「プレシアさん…ですか? けどなんか若くなってませんか?」

 

「ああ、おまえの時のデータを参考に新たに造り上げた肉体だ。おまえの時と違って色々と改良を施して造ったから問題なく適応するはずだ。肉体年齢は20代辺りに設定している。わざわざ老衰の体を造る事もあるまい。これも術式はこちらで行う。お前はまたサポートを頼む」

 

 言うや否や、早速準備に取り掛かる先生。もう俺は驚愕も疑いも捨てて無心に先生の準備を手伝う。まずはプレシアさんをここまで移送する事にしよう。

 あ、フェイトは異常なしだったから現在は客室に寝かせているぞ。

 

 

 

 これまた成功。

 さすがに先生のスペックの高さには驚愕を通り越して呆れるしかない。ただこんな規格外な魔法も魔力の消費が激しく、先生は回復のため長い眠りを要した。

 そして最初に目覚めたフェイトだ。

 自分は虚数空間に落ちたはずだと、もの凄く混乱していた。俺はそんな混乱する彼女を宥め、事情を説明するとフェイトは涙を流しながらひたすらに感謝の言葉を繰り返していた。

 それからフェイトはプレシアさんが目覚めるまでひたすら彼女の傍に寄り添い、目覚めるのを待つ。途中でアルフはどうなったかと聞いてきたので素直に答えた。

 

 フェイトを失った(と思っている)悲しみで廃人のように。管理局の取調べにも反応なし。

 彼女は使い魔で、フェイトの命令にただ従っていただけで大した情報も無し(という事になった)。

 虚数空間に落ちたせいでフェイトとの契約も切れた上に、本人はフェイト以外との契約も拒否。となればこのまま消える身。ならば余生くらいはとリンディさんやクロノの働きかけもあり、既に釈放。

 現在は犬を大量に飼っているアリサの家で余生を過ごす(つもり)。これは事件協力による心ばかりの報酬って事で許しがでたらしい。

 

「それってアルフは私の無事を知らないって事?」

「………………あ」

 

 

 

「もしもしアリサかっ! 大至急アルフに取り次いでくれ。緊急連絡だっ!!」 

「うわぁぁんっ! ごめんアルフ!」

 

 そっからはもうカオスだったよ。電話が切れた1分後には(何て速度だ)、ドカァンッと開閉にあるまじき轟音を立てた玄関から走ってきたアルフとフェイトが久々のご対面。

 さらにはフェイト第一主義のアルフが珍しい事にフェイトにビンタをお見舞い(さすがに怒ってるらしい)

 そこからいくつかの言葉を交わして、お互いが抱きしめ合ってわんわんと泣く。ちょっぴり煩かった。

 イイハナシダナーとか思いながら、業者に玄関の修理を頼むために電話をかけようとすると、さらに複数の足音が聞こえてきた。

 

「鈴、フェイトが居るってどういう事よっ!!」

「フェイトちゃんが生きてるって本当っ!!」

「鈴君、今度はフェイトちゃんに手を出す気っ!!」

 

 …今日は激動の一日なのか?

 諦めながらさり気に俺をプレイボーイ扱いしたなのはへアイアンクローの握力を強めるのであった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 とまぁ、こんな感じで再び2人は戻って来たのだ。

 先生とプレシアさんが目覚めたのはほとんど一緒。その日、プレシアさんは先生に説教をかまされ、反省するという事で一応の解決を。

 テスタロッサ親子は向こうでは死亡という扱いになっているので、先生はこちらの世界で2人の戸籍を偽造。2人は元々こちらの世界出身という扱いになった。現在のこの借家も先生のツテで格安で提供してもらっているものだ。

 そして問題のアリシアだが、既に魂はこの世に無いので先生でも甦らせるのは不可能。プレシアさんはその事実を驚くほど素直に受け止め、後日遺体を弔った。

 

 その日、プレシアさんは一晩中涙を流し続けたようだ。

 

「…うん、魂はちゃんと定着してますね。これならもう大丈夫でしょう。今後は外へ散歩などして体を慣らしていきましょうか」

「そう、なら良かったわ」

 

 カルテに項目を書き加えて診察の終了を告げる。

 魂を移植した後、慣れるまで体が思ったとおりに動かなくなる。経験者がやった方がいいだろうという事でプレシアさんの診断や経過報告を先生から任された。俺の経験した道を今度はプレシアさんが通る。先生の弟子2人が同じ経験をするとは何とも因果な事だな。

 健診も終わり、プレシアさんとちょっとした雑談を。

 

「本当、先生は何者なんでしょうね?」

「やはりあなたも師匠も全てを知っているワケではないのね」

「ええ。俺が全てを聞かないってのもありますが、先生もあまり話したがらないみたいですしね。プレシアさんの時はどうだったんですか?」

「似たようなものね。弟子入りを許された時も余計な詮索はしないって事を条件に組み込まれたもの。何よりもまず師匠の居所を掴むのにかなりの苦労をした覚えもあるわ」

「そうですか…」

「…けど、仕方ない事だと思うわ」

「あれだけの力を持ってますからね…」

 

 正しい事にも使えれば邪な事にも使える。それが力の在り方だが、先生の場合はそれが行き過ぎててもしかしたらその技術を欲しての戦争も在りうるとはプレシアさんの弁。なればこその秘匿なんだろう。

 俺はその事を考えて報酬に上乗せの形でリンディさん達には俺の魔法や先生の存在の秘匿を頼んだが…果たして何処まで守れるのやら。

 そして俺は思う。先生は全てをいつかは話すと言っていたが、果たして俺が本当に知ってもいい事なのか?

 

 先生の弟子としては未熟すぎる俺が。

 

 

 

 

 

 プレシアさんへの用事を終えた俺はそのまま帰る気にはならず、臨海公園まで来ていた。目的は無い。ただ柵にもたれかかり、色々と思い返す。

 どのくらいそうしていたかのか、不意に後ろから声をかけられた。

 

「あれ、もしかして鈴君?」

 

 その声は俺には聞き慣れたもの。なのはだ。  

 

「なのは…か。何してるんだ?」

「えへへ、たい焼き!」

 

 たい焼きの入った紙袋を示すなのは。なるほど、食べたくなってあの屋台に買いに来たってワケね。

 

「鈴君は何してたの?」

「何って、別に何も…」

「なるほど、何かに悩んでたんだね?」

 

 誤魔化そうとしたが瞬時に、しかも一発で見破られた。

 

「んな事ないぞ?」

「…鈴君」

「うん?」

「一緒に食べよ♪」

 

 

 

 なのはからたい焼きを1つ貰い、2人並んでベンチに座る。

 

「うん、やっぱりおいしい」 

「数日前に食べたばかりだろ?」

「それでもだよ」

 

 数日前というのは、なのは、アリサ、すずか、フェイトがこの公園に集まった時のことだ。やった事は簡単。改めての自己紹介と友達になろうと宣言し、誓いの杯ならぬ誓いのたい焼きを喰い交わした日だ。

 俺とアルフもその場に立ち会っていた。本来ならユーノも立ち会うべきだったんだが、里帰り中だったのでそれも叶わなかった。タイミングの悪い奴だ。 

 

 閑話休題。

 

「それで、何を悩んでたの?」

「だから悩んでなんか…」

「嘘、私の眼は誤魔化せないよ。なんて言ったって鈴君をずっと見てきたんだから。そのぐらいの変化はわかるよ。それとも私に話せない事?」

「んな事はないけど…」

「ほら、やっぱり悩んでた」

 

 …やられた。なのはも中々にしたたかな奴だ。これは話すしかないか。

 

「あの事件で、俺は何をやれたのかなぁってな」

「何をって?」

「今のフェイトの笑顔は俺じゃない、先生のアフターケアで手に入れたモノだ。ジュエルシードだって集めたのは事実上なのは達だ。俺はといえば肝心な時に何もできず。むしろいらない手を貸しただけのような気がする」

「……」

「あの巨大な傀儡兵にも遅れをとらなかったらなのはとアリサの諍いも無かった。そうすればその傷も無かっただろうし」

 

 なのはの右手に視線を移す。

 なのはの右手には大きな傷跡がある。手の甲を中心に放射状に広がった決して無視できない痛々しい、年頃の女の子がもつにしては致命的な傷跡だ。

 

「今回の事件は”何とかした”んじゃない。”何とかなった”だけだ。先生の言ったように為したいようにしたらこのザマだ。先生の弟子失格だな…」

「……」

 

 

「弱いよなぁ、俺って…」

 

 

 今回の事で痛烈に実感した。俺は魔法が使えるだけ(・・)だ。

 みんなは俺を強いというがそんな事はない。戦闘に関しては他のみんなよりも経験があったから。人としての強さもなのは達のほうが遥かに強い。スタートラインが同じだったならば俺は間違いなく大きく引き離されているだろう。

 

 改めて実感し消沈しているとふと隣のなのはの気配が動いた。そのまま立ち上がり俺の正面へ。途端に感じる優しい感触。

 

 なのはは俺の頭を優しく抱きしめていた。

 

「そんな事ないよ? 鈴君は自分が思っているほど弱くなんかない。少なくとも私は鈴君が弱いなんて思ったことないよ」

 

 なのはの声が響く。

 

「ジュエルシード集めの時は鈴君がみんなを支えていたからできた。私のこの傷は自分の弱さが原因。フェイトちゃんに関しては私達みんなが力及ばなかった。決して鈴君1人が気に病む事じゃないよ」

 

 なのはの優しさが心に届く。

 

「蓮さんも弟子だから完璧な人間になれって思ってなんかないよ。なんていったって家族なんだから」

 

 なのはの想いが俺を包みこむ。 

 

「もしそれでも自分は弱いって思ってるんだったら…みんなで強くなろう。みんなで笑えるように…」

 

 かつて俺やアリサが言った言葉。その言葉を最後になのはは静かになり、俺を抱きこむ腕の力を一層強くする。

 考えてみれば初めてだ。他のみんなが俺に愚痴や悩みを打ち明けることはあったが、俺が先生以外に弱みを見せることは。

 という事は俺自身なのはの言葉に思う所があったんだろう。我ながら単純の一言に尽きるな。

 

 ふと気がつけば、目元が熱くなっていた。

 

「…鈴君、もしかして泣いてる?」

「…見るんじゃないぞ。後、誰にも言うなよ?」

「…うん」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 結構な時間が経っていた。たい焼きも食べ終わり、話も終わった彼らにはこの公園に何時までも留まる理由はない。

 

「すまないな。情けない姿を見せて」

「気にしなくていいよ。むしろ珍しいモノを見れたから良かったかも」

「…さっさと忘れてください」

「やだ♪」

 

 鈴はその返事に顔を顰め、溜め息。どうやら諦めたらしい。

 

「…さて、俺は買い物をしてから帰るけど、なのははどうする?」

「う~ん…予定もないし一緒に行こうかな。いい?」

「いいぞ。んじゃ行くか」

「うん!」    

 

 なのはの元気な返事を受け、2人は歩き始める。なのはの強い要望で鈴は手を繋ぐ。慣れたはずなのに鈴の顔が少し赤いのは彼のちょっとした心境の変化故なのだろう。

 

 並んで歩く2人の姿はやがて見えなくなる。

 

 

 

 少年・少女が集い、出会った魔法。皆の未来に多大な影響を及ぼした大きな力。

 

 この先、その力をどのように振舞うかはわからない。正に使うのか…あるいは…

 

 しかしそのような漠然とした”未来”ではなく、笑いあう”今”を謳歌する。 

 

 

 これは、そんなご近所の魔法使い達のほんの一幕。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 ※おまけ劇場

 

 

1・若さとは…

 

 

 大きな姿見の前。上下、黒の下着姿のプレシア・テスタロッサ。

 

「……」

 

 鏡に顔を近づけて頬をゆっくりと撫でまわしている。どうやら肌の張り具合を確認しているようだ。

 

「……」

 

 腰に手を当てたり腕を伸ばしたりしてモデルのようにポーズをとってみる。 

 

「……」

 

 腕を組み、胸の谷間を強調しながら流し目。ちょっと悩ましげなポーズをとってみたり。

 

「……(グッ!)」

 

 小さく、ガッツポーズ。小声で「師匠、感謝します」と聞こえる。

 

 と―― 

 

「「…………」」

 

 ――扉の隙間からこちらを伺っていた娘&使い魔と目が合った。 

 

「……」

「「……」」

「……^^」

「「……;;」」

 

 局所的な雷がテスタロッサ家に落ちた。

 

 

 

2・したたか…

 

 夜の高町家。なのはの自室にて…

 

「言われたのは見るなって事だから撮影はOKだよね。レイジングハート、ばっちり撮れた?」

《イエス、マスター。最高画質を保証します》

「ふっふっふっ。ちょっぴり涙目鈴君のレア画像、これを逃す手はないでしょ♪」

《さすがですマスター。そのしたたか振りに敬意を表します》

「よーし! この調子で鈴君のレア画像、ゲットだ!」

《一生ついていきますマスター! 後、鈴殿の画像のメモリー保存の許可を!》

 

 なのはの自室の外、なのはの笑い声に心配になってこっそりと盗み聞きしていた高町家の人々は新たに決意を固める。

 両親・長女は必ず鈴をなのはの婿へと。

 長男は更なる殺意の波動に目覚め、後日ケリをつけようと。

 

 

 

3・『夜』の一族… 

 

「フフフ、クロス…冗談にしては度が過ぎてるんじゃない?」

《ほ、本当です主。我々デバイスネットワークの確かな情報です》

 

※デバイスネットワーク…レイハ・バルディッシュ・グローリー・クロスの雑談による情報共有。つまりデバイスの井戸端会議。

 

「じゃあ何かな? 鈴君とのキスを経験していないのは私だけ?」

《そうなりますね。ところで主、そろそろ力を緩めていただきたい。これ以上の圧力は私の内部の精密機器に深刻な影響を及ぼします》

「ふふふふふふふふふふふ……」

《あっ! 今、私から変な音が! 主、あるじぃぃぃぃぃぃっ!!》

 

 

 

「どうしよう。まさかなのはちゃんとアリサちゃんがそこまで行っていたなんて…」

 

 なぜこんな事になっているか?

 すずかが自室で雑誌を読んでいると、記事の1つにあったキスという単語を見て物思いに耽っていた時に不用意なクロスによる突然の申告を経て、今に至る。

 クロス? 

 そこにうち捨てられてますが何か?

 ちなみに件の少女と鈴とのキスに到るまでの経緯はぶっちゃけ女の子が憧れるようなソレではないがすずかはそれを知る由もなし。

 

「どうしよう…どうしよう…」

 

 何がどうしようなのかは本人のみぞ知る。ただ2人に先を越されたという事実が彼女を蝕む。

 部屋を暫くうろついていたすずかだったが、さっきの雑誌の記事の続きを見て思い立つ。 

 

「っ!? これね!」

 

 普段のお淑やかさを感じさせない速度で部屋を飛び出る。

 ちなみにその記事には『大人の女性特集』と書かれていた。女性の際どい下着の写真が写ってたり、女性の経験の体験談の記事だったりと明らかに小学生のすずかには早すぎる内容ではある。

 

 

 

「お姉ちゃんっ!!」

「わぁっ!? ビックリした! ど、どうしたのすずか? そんなに急いで…」

 

 すずかは力強い歩みで姉の前に立ち、言い放つ。

 

「私の勝負下着を見繕って! そして夜のテクニックも教えて!」

 

 すずかは他の2人を引き離すどころか、鈴を連れてのワープを試みるようだった。

 

 後に姉は語る。

 

「ええ。あの子から感じたわ。『夜の一族』では収まらない『夜の女王』としての資質を。いろんな意味で」

 

 ああ、『夜の』ってそういう……

 

 




当時は結構、行き当たりばったりで書いてて誤字とかには気付けなかったんですよね。

それでも書いてて楽しかったのは間違いないです。

次回、無印編でスポットの弱かったすずかのちょっとしたお話。
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