あれ?
0:00を示した筈なのに、リアルの感触であるヘッドディスプレイが感じられない?
というか、この匂い、香りは何だ?
強制ログアウトと思って目をつぶっていたんだが、目を開けてみると周り一帯が
これって、もしかして森?
森林?????
本や、映像記録でしか見たことのない世界が広がっていた。
え?
いままで嗅いだことがない、
生命が息吹く香りを嗅いだ。これが森林の香りなんだろうか?
そう表現することができる香りを嗅いだ。
「え~っと、ここどこ?」
強制ログアウトのせいで、幻想を見ているのか?
と思ったが、身体が違うと感じている。
この感じリアルの感じと寸分違わない。
「あ、もしかしてユグドラシルはサービス終了となったけど、ユグドラシルⅡとか新しいゲームになった?」
俺自身言って疑問に思ったのだが、電脳法で嗅覚と味覚の再現って許可されてないんじゃなかったっけ?
いつのまにか、法律が変わって嗅覚だけ許可されたとか?
味覚を確かめるためには、何か口にしないといけないけど食料なんてサービス終了時に買い集めなんてしなかったから
持ってないしなぁ。
まさかその辺の木に噛り付きたくは無い。
あれ、いつもなら表示されてるHPやMPその他のコンソールが表示されてない?
??
???
????
と、疑問だらけだったんだけど、いきなり声をかけられる。
「ご主人さま、どうかしたっすか?」
ナニコノシロイケノカタマリ
耳が2本
ほほがぷっくり
白い毛がもこもこ
もしかして、スピアニードル?
しかも、ご主人さまって?
ユグドラシル最後の瞬間にテイムした子?
いやいあ。
ありえんだろ。
でも、ご主人さまって
最後の瞬間に名前を付けたから、その名前で反応したらそうなんだけど・・・・
「もしかして、シロモフ?」
「?なにを、言っていってるすか?ご主人さまに名前をつけてもらった『シロモフ』っす」
そういわれた瞬間、シロモフに抱き付いてしまった。
そうして分かったことが一つ。
触感が、毛のふさふさもふもふを伝えてくれた。
ああ、何この幸せ・・・・
ずっとこのままこうしていたい・・・・
10分ほど経過して、シロモフから抗議の声が上がった。
「ご主人さま~。撫でてくれるのは気持ちいいっすけど、お腹すいたっす~」
はっ
我に返ったが、どういうことだ?
お腹がすいた???って、NPCに相当するテイムモンスターがそれを直接言うか?
じ~っと見てみると、毛の一本一本が確かに再現されている。
というか、シロモフの口が動いている上に、俺の口もしっかり動いている上に
しっかりとした触覚まであるっ??
少し冷静になれ・・・・
触覚があり、嗅覚がある。
これは、俺が知っている(とはいっても、素人の範囲で)法律では厳しく定められていたはず。だよね?
そして、NPCに相当するはずのモンスターがしゃべっている?
「あ~、シロモフ君?」
「なんっすか?ご主人さま?」
やっぱり喋ってる・・・・
いやいや、まず、お腹すいたっす~
って言ってたんだからエサを上げないと、せっかくテイム状態?にいる、シロモフがどこかに行ってしまうっ
それだけは絶対に避けなければならない。
この『ふさふさもふもふ』だけは絶対に手放してはならないっ
今までなら、テイムモンスター用のエサは買えばいいだけだったから問題なかったんだが、
現在地が分からないので街なり村に買いに行けない。
どこかに人が集まってるところないかな?
あ、でも金がない・・・・・
ポケットには何も入ってないし
あ、でも『シロモフ』がいるってことはやっぱりユグドラシルなのか?
コンソール開かないといし、
そういえば持ち物ってどうなってるんだ?
あ、なんとなく分かった。
四次元ポケットっぽくアイテムボックスが開く。
見慣れたアイテムが全部あるかな?
何を放り込んであるかイマイチ覚えてないけど、大抵のものはありそうだった。
あまりにごちゃごちゃしているので、今度整理するとしよう。
無限の背負い袋-の中身はだいたい分かるし回復アイテムとか、その辺は当面問題ないだろう。
とりあえずエサを
『スキル:ペットのエサ作成』
ドックフードのような固形状のペレットがいくつも出現した。
「ご主人さま、食べてもいいっすか???」どうやらおあずけが出来るようだ。
「よし、食べていいよ。、お前のために作ったんだ。食えるだけ食え」
その小さい?手にもって、一個づつカリカリと食べている姿をみるとハムスターみたいだなぁと思って食べる姿を見ていた。
抜けていった感じがMPの消費だとすると、べじたぶるのエサは当面問題ないかな?
当時は、エサ代節約のためスキルを使うのが当たり前って言われたけど、やっぱりちゃんとした自然食(買ったエサ)
を与えたいよなぁ。
どこかにペットショップがあればいいんだけど。
というか、シロモフ見てて忘れてたけど、ここどこだろ?
スキルが使用できたから、ユグドラシルのサービスが延期になったとか?
でも、そうしたら五感の件で疑問が・・・・・・
まぁいっか
目の前には『ふさふさもふもふ』の代名詞、シロモフいるのだから。
当面は、この世界を楽しむとしようと心に決めたのだった。
でも、俺も腹が減ってきたぞ?
シロモフは、俺のMPが持つ限りは当面良いとして自分自身の食事はどうしよう。
この森林の飲食可能な植物でも生えていればいいんだけど、毒とかあったら怖いしなぁ。
まさか、ペットのエサスキルのこれ・・・食べれるのかな。
というのも、リアルでは自生している植物なんて絶対に食べることなんて出来なかった。
だって、大地の汚れを吸っている植物を人間が食べれば確実に食中毒、度が過ぎれば死ぬのだから。
そう思って、自分の体を見回してみる。
人間のそれだよなぁ?
でも、元の世界の俺の身体はあおびょうたんというか、色白く死にかけ、という体だった。
でも、こうしてみる限りユグドラシルで作成した通りのアバターっぽい?
顔は鏡が無いから見れないけど、中肉中背というよりは、スリムマッチョ?っぽい自分が理想とする身体だった。
まぁユグドラシルのアバターが俺が作った物だったんだけどさ。
そういえばエサの作成って、なんとなく使ったけど、どうやったんだろ?
意識をしっかりと認識すると分かる。
俺のMPの量、スキル使用回数、テイムの仕方等、ユグドラシルで経験したことがはっきりと技術の行使の仕方まで分かるのだ。
理由はわからないけど、まぁいいや。
考えてもわからないことは、考えないようにしよう。
とりあえず、現状で得られる情報が無い以上、何を優先するか優先順位をはっきりさせて、行動して行こう。
当然ながら
1、シロモフを永遠にそばに置く
2、空腹をどうにかする
3、・・・思い浮かばない
これが夢なら朝になれば覚めるだろ・・・・うし、いや、どう考えても現実だ。
向こうの腐りきった自然環境に比べれば、当然こっちで生きていきたい。
夢なら永遠に覚めないでくれ・・・・・・・・・
シロモフ可愛すぎるっ
考えをまとめているうちに、シロモフがペレットを食べ終わったようだ。
「ご主人さま~ごちそうさまっす」
シロモフの頭を撫でつつ、よしよししてやる。。
甘えたように懐いてくるのだが、俺自身の食糧の確保も必要だ。
無駄と思いつつも「シロモフ、ここってどこかわかるか?」
「ご主人さまがここに連れて来たんじゃないっすか?」
ああ、当然知らないよなぁ
『シロモフ』の耳がぴこぴこ動いてる
「でも、あっちの方から、金属がぶつかる音がするっす。」
およっ、俺には聞こえないけど、さすが動物。聴覚が違うのかな?
「食後ですまないが案内してくれないか?」
「まかせるっす!背にのるっす」
え・・・・・・・・・・
でかいけど、兎っぽいのにのるって・・・・・・・・・・・いいのか?
「お前に乗るつもりはないから、案内してくれればいいんだが」
「ご主人さまなんだから、遠慮せず背にのるっす」
ちょっと恥ずかしいけど、このふわふわもふもふが感じられて、眠ってしまいそうだった。
主人公は兎の背に乗ることに疑問は感じません。