死んだ人間を見下ろいていた。
アイテムボックスに収納してあったものだろう。
その傍に所持していたアイテムが積み重なっている。
配下の一人にアイテム回収を命じる。
「スルシャーナ様・・・」
スレイン法国の人間だろう。
「汝らが捕えている吸血鬼をここへ。」
人壁が割れ、老婆とシャルティアが歩み出てくる。
横に居るのが、シャルティアを洗脳した者だろう。
「その者、洗脳を解除せよ」
シャルティアから何かが抜けるような気配があり、その瞳に力が戻ってくる。
洗脳されている間の記憶がシャルティアに押し寄せてきた。
堪らず跪き、頭を垂れる。
「アインズ様っ申し訳ありませんっ」
たとえ操られていたとしても、至高の御方に敵対した自分が許せなかった。
「よい。よいのだ。シャルティアよ。頭を上げ、我が傍へ」
シャルティアが、アインズの横やや後ろへと控えた。
ようやくシャルティアが戻ってきたことに安堵するが、今この場で、周囲に人間の目がある場所で抱きしめるわけにはいかない。
これからが、今回の計画の肝心な部分なのだから。
スレイン法国の代表だろう。
アインズを前に、片膝をつき忠誠の礼を取る。それに合わせて、後ろの人間が次々と跪いていく。
その光景は、予定されていたかのように綺麗なものであった。
「神よ!!我ら人間を見捨てず、戻ってきてくださったのですね!」
「そうだ。私がお前たちの神である。永き時を超え、我はここに帰ってきた!」
両手を広げ、その背後には黒いオーラが広がっているように見える。
「神よ」
「神よ」
「なんとも慈悲深きお言葉・・・」
「やはり大罪を犯せし者たちによって放逐されたなど偽りの伝承でしかなかったのですね!」
「お前たちが仕える、神たる私はここにいる――――
我を信じよ、我を崇めよ、我を称えよ。
さすれば汝らに繁栄の時を与えん。」
「おおぉ、神よ。御言葉に従います」
スレイン法国の民、その全てが待ち望んできた神が現れたのだ。その言葉がなんと甘い響きを放つのだろう。
今この場にいるスレイン法国の者は、誰一人として例外無くアインズの言葉に耳を傾けている。
我は名を変えた。今後、我の事はアインズ・ウール・ゴウン神と呼ぶがよい。
我は、ここに宣言する。今ここに、アインズ・ウール・ゴウン宗教国の樹立を。
汝らは、我が新しき国の民となるのだ。そして広めよ。我が教えを。
我を喜ばせられるように、全力を尽くせ。さすれば汝らの上にも奇跡は舞い降りよう
「はは! 我らが神よ! お言葉賜りました」
これ以上ないほど深々と頭を下げた者どもを一瞥すると、アインズは立ち去る。
シャルティアを連れ、黒い渦の中へその姿を隠した。
その後
スレイン法国、いや、名をアインズ・ウール・ゴウン宗教国の動きは素早かった。
王国は、あの大惨事があったためか、何にでも良いから縋り付きたいと思っていたのだろう。
あっという間に、アインズ・ウール・ゴウン宗教国へ取り込まれていく。
反論しようとした者は、アインズ・ウール・ゴウン神が遣わせた、デミ・ウルゴス教祖の言葉を受け瞬く間に惹きこまれていく。
帝国も、ジルクニフが精いっぱい抵抗しようと手を打った。
しかし、あの戦争の場に居合わせた帝国の騎士達は圧倒的な力を見せつけられ絶望の淵にいたのだ。
その絶望は徐々に帝国を蝕んでいった。
さらに帝国で最も魔法詠唱者として最高位にいる、
フールーダがアインズ・ウール・ゴウン宗教国の素晴らしさを説いていた。
多少の時間はかかったが、元スレイン法国と、リ・エスティーゼ王国、バハルス帝国は一つの国となり
アインズ・ウール・ゴウン宗教国は繁栄していく。
そこには、いつしか聖母となって祭られているシャルティア・ブラッドフォールンの姿があった。
なかなか思うように書けない物です。
もっと長くなるかと思ったのに、かなり短く終わってしまった。