骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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前回デミデミ回から今回はシャルティア回です。


第004話 「二人の吸血鬼」

 現在、俺は第二階層に来ていた。

 モモンガさんのお話によればゲームの世界に閉じ込められたのではなく異世界に来てしまったらしい。

 はははは。さすがモモンガさんそこまで考えきったとは。考えが停止した俺とは天と地ほどの差がありますたね。けれども最後のは無いでしょう…

 

 「いやあ、一緒に居てくれたのがぼっちさんで良かったですよ。こんな話されたら私でも疑いますからね」

 はははと、笑うが正直びびってるんですけど……だって笑うたびに下あごがカタカタって動くんですもん。

 「そういえば何か感情が高ぶったときに何かに抑圧されたような感覚ありませんでした?」

 「・・・いや、無いが・・・」

 「ぼっちさんは冷静沈着で助かりますよ」

 

 ちげーよ!俺は落ち着いているのでも冷静沈着なんでもないですって。心の中はばっくんばっくんしていますよ。そして見た目に対して声や反応がいちいち可愛いですね!頭がパンクしそうです。

 まあ、それよりも今だ。デミウルゴスのとき以上の大問題だ。

 

 モモンガさんは口少ない俺の話を聞き、デミウルゴスも大丈夫だと(?)判断してシャルティアの現状を確認してきてほしいと頼まれたのだ。

 アウラとマーレはモモンガさんが確認に行くらしい。

 あの人がロリコンやショタコンの類ではないことを祈ろう。

 と話が逸れたな。シャルティアに会う為に第二階層死蝋玄室に来たのだ。ここまでは良かったのだ。ドアをノックすることなくドアを開けてしまうまでは……

 

 「ぼ、ぼ、ぼ、ぼっち様あ!?」

 

 いきなり名前を呼ばれてびっくりして目を合わせたまま二人とも膠着した。

 いきなり男性が女性の家に押し入ったら誰でもびっくりするよねえ。

 謝る前に異変に気付いた。シャルティアは驚いたというわけではなく何か見られたくない物でも見られたって感じの反応だったことに。

 

 あたりを見渡す。

 どっかのラッキースケベ見たいに風呂場に突入したわけではないので着替え中ということは無かった。

 ふと台の上に置いてあった茶色の布に目がいった。

 楕円形で滑らかな軌道を描き真ん中だけ膨らんでいる。そしてそのまま視線をシャルティアに向けるとその布を胸に押し当てていた。はい、オレオワタヨー。

 

 「え、ちょ、わっ」

 

 すごいパニックになっているのが分かる。こういう時って逆にこっちが冷静になってくる。ならば落ち着いている間に最大限の謝辞をするべきだ!

 

 「・・・すまないな・・・」

 

 ごめんなさい。頭の中では多数の謝辞が飛び交っているのに口からはこんな一言しか出てこなかったよ。とほほ……

 

 「すまないだなんて、不用意にここで着替えていた私が悪いんでありんす」

 

 いやいやそんなこと無いですよ。ノックせずに入ったら普通の女の子は怒るんじゃない。インなんたらさんみたいに噛み付くことは無いだろうけど。

 

 「い、今お茶の準備しますので席についてお待ちになってて欲しいんでありんす」

 

 お構いなく。あとそんなに急いで片付けなくてもいいですよ。ってこんなこといったらセクハラか。憲兵さーんこっちでーす。

 

 席について今一度あたりを見渡す。

 死蝋玄室っていうより女の子の部屋って感じだよな。まあ、奥のほうの部屋が死蝋玄室なんだからここはシャルティアの部屋って感じなんだろうな。

 

 シャルティアを見ていたらペロロンチーノさんを思い出した。

 吸血鬼少女を創ると聞いたとき金髪巨乳のどじっこ婦警も創ってくれないかって結構熱弁したっけなあ。脳内でだが……当然のように却下されたが……もちろん俺が…

 

 「お待たせしたでありんす」

 

 紅茶のカップにポット、それからスコーンにジャムをトレイに乗っけてシャルティアが戻ってきた。

 デミウルゴスもそうだったけどぜんぜん姿勢が崩れてないなあ。

 紅茶ってそうやって注ぐんだ。どこかの特命の警部みたいに高いところからコップに注ぐわけではないんだ。

 カップが目の前に置かれた。シャルティアは手をつけることなくこっちを見ていた。

 やめてー見ないでー。ぼっちにその視線はつらいのです。やめるのです。

 

 「・・・いただこう」

 

 ゆっくりとカップを持ち上げ少し紅茶を口に含んだ。

 お願いだからそんな目でみちゃらめー。香りを嗅ぐ仕草なんてしましたけどいい匂いってぐらいしか分からないし味は緊張して分からないですから。あとこの沈黙何とかしてください。

 ちなみに今白い面をつけているけどこの面は口の辺りだけ外せる仕組みになっている。って、そっちの説明は別にいいとして何か話題を出さないと…

 

 「・・・ダージリン・・・か」

 「はい。その通りでありんす。さすがはぼっち様」

 

 よかった正解だったか。見てて良かった戦車道。あの子の名前が紅茶と同じだったの覚えてて良かった。さっきから良かったしか言ってないような……でも、一番良かったのはシャルティアが嬉しそうに話しかけてくることもある。

 これで話題に困ることは無いだろう。話の内容はあまり分からないのだが…

 分かったのはオレンジ・ペコが紅茶の名前ではなく等級表示の名らしいことか。ダージリンを言って二重の意味で正解だったな。

 あとぼそっと「味も分からぬチビスケ」って言ったけどそれ誰のことかなぁ?かなぁ?俺もかわらないですよ。

 

 適当に頷いていたのに気付かれたのかシャルティアの動きが止まった。ばれたのか?選択肢は1から3まであやまるっと。ですよねー

 

 「さっきからずっと私が喋ってばかりで退屈ではありんせんでしたか?」

 

 そんなこと御座いませんよ!大変助かりましたよ。ずっと喋ってくれているおかげで気まずい空気にならずにすみましたんで

 

 「そんなことはなかったぞ」

 

 この一文にさっきの思いを込めて、シャルティアの頭をなでる。

 て何故に俺は撫でてるんだー!?こいつ、動くぞ!?やっちまった。これはセクハラなのでは……シャルティアも俯いて動かない。気まずい。紅茶はいつの間にか空になってる…よし戦術的撤退だ。

 

 立ち上がったのに反応してシャルティアも立ち上がった。何か言わないと…

 

 「あんな物つけなくても魅力的だぞ・・・」

 

 なに言ってんのオレエエエエエエ!やっと埋めた大穴をなにダイナマイト使って掘り返してんの!?ほら見ろ、シャルティアが顔真っ赤にして怒ってんじゃないか。

 

 ゆっくりと外へ出た。扉を閉めて隠密スキル最大でナザリックを走り出した……

 

 

 

 

 

 シャルティアは未だに喜びで身体を動かせずにいた。

 急に御越しになったぼっち様には驚き、見苦しいところを見せてしまったが、それを気にかける様子もない寛大なお心に触れ、短くとも二人だけのティータイムというのは心躍るものがあった。

 後であのチビスケに自慢してやろうと思っていた。

 紅茶の知識もあり、私が話したことを微笑みながら聞いてくれた。あまりに嬉しくて喋り続けてしまい不快にしてしまったかと焦るが笑って許してくれた。なんとお優しい方なのだろう。

 その上、あ、あ、頭を撫でられ…

 

 「あんな物つけなくても魅力的だぞ・・・」

 

 そんなことを言われてしまっては幸せすぎて死んでしまいそうでありんす。

 ふと時間を見て闘技場に向かうことにした。

 用意したパッドはそのままで下着は……替えなければと奥に消えていった




4話目にしてやっと女性陣登場
モモンガさんの出番がやっと来る…

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