骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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 やっと守護者達が書けた…
 カルネ村はまだ遠い…


第006話 「モモンガ様が去った後の闘技場」

 至高なる御方々の気配が消えると、静けさと各守護者だけが残っていた。

 ようやく一人二人と立ち上がり始めた。

 

 「す、すごく怖かったね、お姉ちゃん」

 「ほんと。あたし押しつぶされるかと思った」

 「マサカコレホドトハ」

 「あれが支配者としての器をお見せになられたモモンガ様なのね」

 「ですね」

 「我々ノ忠義ニ答エテ下サッタトイウコトカ」

 

 それぞれが先程の感想をぽつりぽつりと言い始めた。

 

 「あたしたちと居た時は全然オーラ発していなかったしね。すっごくモモンガ様、優しかったんだよ。のどが渇いたかって飲み物まで出してくれて」

 

 ぴくりと声を発したアウラ以外の守護者が反応する。特にアルベドが……

 

 「それでは皆様、私はこれにて失礼させていただきます。モモンガ様とぼっち様をお探しせねばなりませんので」

 

 執事として御傍に仕えなければならない事を理由にさっさとこの場をあとにした。デミウルゴスはその行動が取れたセバスを羨んだ。

 溜め息をついてアルベドは何か不可解なものを見たかのような顔をしていた。

 マーレだ。

 それもとてつもなくデレデレした締まりのない顔をしていた。

 

 「マーレは何かあったのかしら」

 

 話を振られたアウラがマーレを見てむっとしている。アウラの代わりにコキュートスが口を開いた。

 

 「先程、ボッチ様ニ撫デラレタノガトテモ嬉シカッタノダロウ」

 「ぼっち様に?」

 

 アルベドはしかめっ面をした。玉座の間に詰めていて至高の御方々の近くに居た為いろんな話を聞く機会があったのだがぼっち様の話はほとんどなかった。あっても

 

 タッチ・ミー様と引けをとらないワールド・チャンピオンの腕前を持つこと

 索敵から奇襲などの隠密行動から単独潜入まで行うナザリック一の偵察者

 何が起ころうとも動じることのない精神力を持ち、冷静な判断力と残忍さを持って敵を殲滅する殺戮者。

 そして何より愛しのモモンガ様の命を救った英雄

 

 話に出てきたのもこの4つほどで他にはそれほど話題に出ることも入ることもなかった。だからあまり他人と関わるのが苦手、もしくは拒絶されているというイメージが強かった。そのうえでここに来るまでの道中にデミウルゴスに聞いた話も含めるとあまり信じられなかった。

 

 「そ、そうなんですよ。えへへへへ」

 「羨ましいでありんす…」

 「なーにが羨ましいよ!あんたは二人っきりでお茶までしたんでしょうが」

 

 二人っきりでお茶!?二人っきりで……わ、私もモモンガ様と……妄想に捕らわれたアルベドを他所に双子と吸血鬼はいがみ合っていた。

 

 「そうでありんすよ。そのうえぼっち様に魅力的と言われんした…」

 「えー。あんたも十分羨ましがられる対象じゃない!」

 「そうでありんすけどあそこまで撫でられているのを見たら羨ましがるなと言うほうが無理でありんしょう?」

 「うぅ、確かにそうかも…」

 「えへへへへへへ」

 

 何時までも続きそうな会話にコキュートスがため息をつき、デミウルゴスに近づいた。デミウルゴスも彼の意思に気付いたのだろう。

 

 「アルベド?アルベド!命令せずに妄想の中に捕らわれるのは後にしてもらえないかい」

 

 はっと、デミウルゴスの言葉で我に返った。

 

 「そうね。では―――」

 

 

 

 

 ぼっちは守護者達を思い出していた。

 あの一糸乱れぬ動きにまるでこの日の為に用意したかの言葉達。鳥肌もんだった。なによりあの好評価の数々……

 まさかモモンガさんがあんな質問するとは…普通はしないでしょうに。目の前に上司が居るのにどう思うって聞かれても当たり障りない言葉が返ってくるだけですよ。

 まあ、彼らの場合は本気で言ってましたけれども…たぶん…

 守護者たちのモモンガさんの評価は良いとしましょう。ですけど次になに俺の評価を聞こうとしてるんでせうか!?恥かしくって液体化までして逃げちゃったじゃないですか…

 

 「・・・その必要はありません・・・」

 

 なにその一言は。もっとなんかあったでしょうに。ボキャブラリーは少ないけれども。今ほど俺の口を恨んだ日は無いですよ。

 ぼっちは溜め息をつきながら目の前の少女を眺めた。

 彼女は戦闘メイドのシズ。

 セバスは現在仕事が立て込んでいるため護衛のためとお世話のためにとプレアデスの中から選ぶように言われたのだ。

 モモンガさんはナーベラルを共として連れて行った。俺はそのときひらめき、シズを選択した。なぜなら彼女は俺と同じで口数が少ない。ならば少ない同士で何か通じるものがあるのではないか。とね。

 失敗した…当たり前だ。口数が少ない+口数が少ない+二人っきり=喋らない空間の出来上がり。帰りたい……オラの部屋なのに帰りたい…

 

 「どうか……いたしました?」

 「・・・いや・・・なんでもない」

 

 なにこの空間、俺にどうしろというんですか?ちょっとぼっちだけどぼっちになりたい。

 腰をかけていた椅子より立ち上がり部屋を出ようとする。まあ、シズもついて来るのだが…

 

 「・・・隠密で動くが・・・」

 

 シズがはっとした。さすが同志よ。この一言で察するとは俺は信じてた。君は俺の受信機になってくれるって。

 

 「八肢の暗殺蟲を呼んできます」

 

 ですよねえ。思いました。隠密で行くって言ったら隠密系を呼ぶの分かってたよ…

 

 「・・・失礼・・・」

 「?……!?」

 

 シズの腰に手を回し持ち上げた。今から呼ぶのも面倒だ。ならばまだ静かなシズのほうが良いと判断した。

 ステルス系スキルでいつもは使わない範囲系を使った。

 範囲系は自分以外の者も範囲に入ることで同じ効果を得るということだが範囲に敵も入ってしまうとばれてしまうというあまり使われないスキル。それらを駆使しつつ走り出す。

 第九階層から第一階層までを誰にもばれることなく走破していった。脇に頬を紅く染め、キラキラと目を輝かしているシズを抱えたまま…

 

 共を連れていたとはいえ近衛を連れずに部屋を抜けたことに気付いたセバスに待ち受けられているのを知らずにモモンガさんの「ダークウォリアーと呼べ」の発言に心の中で大笑いしていた




 ぼっちがいろいろした事でアルベドVSシャルティアの喧嘩回避にコキュートスの妄想世界へ突入阻止。
 …したほうが面白かったかな?
 

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