骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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久しぶりの特別編…
連日投稿チェリオです。
皆さん連休を楽しんでいますか?チェリオは家で楽しんでます。(外出する気なし)


特別編13:ぼっちの怖い物

 今日は階層守護者が集まって会議をする日である。各階層の状況や現在受けている任務の進行状況を話し合う。

 現在、会議室の席は8つ埋まっている。階層守護者のシャルティア、コキュートス、アウラ、マーレ、デミウルゴスそして守護者統括のアルベド。

 後は第11階層守護者のシュバリエ・モミ…の代理で居るシュバリエ・ステラである。誰も来るとは期待してないのだが今日ぐらいは来いよ!と怒鳴りたい。今日の会議にはアインズ様がお越しになっているのだ。

 

 「…ん~」

 

 一人小さく唸る者にも皆は軽い怒りを覚えている。

 

 「お、お姉ちゃん…(ぼそぼそ)」

 「先ほどから上の空だが何かあったのかねアウラ?」

 「え?えと…なに?」

 

 マーレが注意しようと声をかける前にデミウルゴスが注意する。されたアウラはというと心ここに在らずの状態から一気に戻ってきたのだが、まったく話を聞いていなかった為に聞き返すことしか出来なかった。

 

 「まったく重要な会議と言うのに上の空とは…真面目にするでありんすよ。チビスケ」

 「アインズ様が居られるというのにその態度はどういうことでしょうね?」

 「う…すみません」

 

 攻められ悄気たアウラは申し訳無さそうにアインズに頭を下げる。

 

 「構わない。それより何か心配事でもあったのか?」

 「え?」

 「上の空になるような事があったのだろう?」

 「いや…そのぉ…」

 「アインズ様ガ聞カレテイルノダ。答エヌノハ無礼デアルゾ」

 「主君の問いには瞬時に答えるものだ」

 

 言うかどうか悩む素振りを見せた後、ようやく口を開いた。それでも口は重そうだが…

 

 「会議とは関係ないんですけど…えーと…ぼっち様のことなんです」

 「マスターの?」

 「うん…ぼっち様に苦手なものってあるのかなぁ~ってちょっと気になってしまいまして」

 「ハハハ、そんな事が気になっていたのか。ぼっちさんの苦手なものか………ん?私も知らないな」

 

 今度はアウラではなくアインズが唸りつつ考え始めた。皆もアインズに習うように考え込み始めた。まるでそれが議題になったような。

 

 「恐怖公とかどうでありんしょうか」

 「確かにあれは苦手の者が多いわね」

 「しかしぼっち様はニグンなる物を迎えに行った際には普通に歩かれていましたよ」

 

 正直嫌々で行くのも嫌でしたけどね。

 

 「私の姉との初対面はどうだったのかしら?姉さんから聞いた話では至高の御方々をとても驚かせてしまったと聞いたことがあるのですけど」

 「中には攻撃しかけたと言う事もあったが…ぼっちさんは微動だにする事無くニグレドを見据えていたな」

 

 驚きすぎて声も出せず指一つ動けなかっただけなのだが…

 何にしても思い当たる節が無くなり再び唸り始めた。

 

 「あ!」

 「!?ど、どうかなされたのですかアインズ様」

 「思い出したのでな。ぼっちさんの苦手なものを」

 「ボッチ様ニモ苦手ナモノガ」

 「ぷにっと萌えさんとの会話で確か…『饅頭が怖い』と言ってたな」

 「ま、まんじゅうってあの饅頭ですか?」

 「あの饅頭なのだろうな」

 「饅頭ですか…しかし怖いと言うのは…どういうことなのでしょう?」

 「饅頭なのだから『怖い』と言うのは『苦手』ということなのではないかね」

 「今すぐこの世界より饅頭を排除しに参りましょう!!」

 「落ち着けステラよ!コキュートス」

 「ハッ」

 

 剣を片手に飛び出そうとするステラをコキュートスが押さえる。

 ぼっちの苦手な物を認識したアインズはにやりと笑った。イタズラをしてやろうと…

 

 「アウラよ。ぼっちさんの為に饅頭を作るのだ」

 「え!?でもぼっちさんは…」

 「苦手だからこそだ。お前が作った饅頭で克服させるのだ」

 「はい!このアウラ、ぼっち様の為に一生懸命作ります」

 

 駆け出すアウラを見送り、隠れて見物しようとアインズは動き出す。

 

 

 

 アウラは調理場にて格闘していた。横には縄で縛られたモミが居る。

 

 「さて、やりますか!!」

 「…何故こんな事に」

 

 モミは不満そうにアウラを見つめている。しかし当の本人は『え?何言ってんの』と当たり前と言わんばかりの顔を向けてくる。

 

 「だってあたし料理わからないし」

 「それが教えてもらう態度か!」

 「それで材料は何がいるの?」

 「…スルーですか……で?」

 「ん?」

 「『ん?』じゃなくて何すんの?」

 「饅頭を作るの」

 「まんっ、っていきなりできるの?」

 「やるの!」

 

 観念したモミはとりあえず指示を出すことにした。とりあえず紅白饅頭を作ろうとアウラも言われた通りにしようとするのだが…

 

 「茹で上がった小豆を漉す」

 「こう?」

 「いやいやちょっと待って。何洗ってんの!?」

 「でも漉すって」

 「ごめん。言葉が足らなかった。ヘラで潰しながらね」

 

 「赤色はっと…」

 「待って!本気で待って!!」

 「なによ。赤色にするんでしょう?」

 「うん。するけどその手に持った唐辛子とトマトは置こうか」

 「だったらこれ?」

 「キャロライナ・リーパーは駄目!しゃれにならないから!!普通に食紅使おうね」

 

 「餡子を丸めてっと」

 「デカイ、デカイ。もう少し小さくしようよ」

 「う~ん…手本見せてもらっても良い?」

 「だったら外して…」

 「駄目!逃げちゃうでしょ」

 「…私にどうしろと?」

 

 「次に餡子を生地で包んで」

 「こうだよね」

 「…それじゃあ餃子だよ。丸める、丸める」

 「まーるく…」

 

 最終的には饅頭モドキが出来上がってしまった。やっと開放されたモミは今まで動かせなかった腕を思いっきり伸ばす。アウラはモドキを見つめてがっかりした顔をしていた。

 

 「これじゃあぼっち様に渡せない…」

 「…ぼっち様に?なんで」

 「ぼっち様が饅頭が苦手だから克服してもらう為にって」

 

 アウラの言葉に首を傾げる。知る限りでは苦手な食べ物なんてなかった筈なんだけど。てかこの前一緒に饅頭食べてたし。私とだけど…

 

 「『苦手』って言ったの?」

 「ううん。『怖い』って言われたらしいんだけど」

 「饅頭が怖い…あ、察し。それって…」

 「・・・何してる?」

 

 調理場に居た二人を気になったぼっちが近づいてきた。『よっ…』と片手をあげて挨拶するモミに対してアウラは嬉しそうに笑顔を向けたがすぐに曇らせる。視線を合わせて話しかける。

 

 「・・・どうした?」

 「その…ぼっち様にお饅頭を…でも、失敗しちゃいまして」

 

 言われて気がついた饅頭を見ると確かに形が歪であった。それを何も言わずに一つを口の中に放り込む。『あ!』と、驚きの声を漏らしたアウラの前でゆっくり味わい飲み込んだ。

 にっこりと笑って頭を撫でる。

 

 「・・・美味しい」

 「え?…本当ですか!!」

 「・・・(コクン)」

 

 頷いたぼっちに喜びのあまり抱きついてしまったアウラは赤面して謝罪する。ぼっちは何を言うでもなく再び頭を撫でて去って行った。

 

 

 

 

 

 隠れていたアインズに気付いたぼっちは近づく。対してアインズは驚いたような感じの表情で口を開く。

 

 「ぼっちさんて饅頭苦手なのでは?」

 「・・・?」

 「え!いや、前にぷにっと萌えさんとの会話で饅頭が怖いって…」

 

 最初は理解できなかったがぷにっと萌えさんの名が出たことで理解して手をポンっと叩く。もう気になって仕方なかったのかストレートに聞いてみることに。

 

 「ぼっちさんは何が苦手なんですか?」

 「・・・ここらで熱いお茶が怖い」

 




 饅頭怖いを思い出してから何となく書きたかった。イチャコラ少ないことに後悔、反省は無い。矛盾している気が…
 さてぼっちさんも動き出した王都で名だたる者が集まる。
 次回『王都に集った者達』
 お楽しみに

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