骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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さてこれでやっと二巻、三巻に突入できる…長かった…

1月13日 『店名変更』と『話せる理由』を追記


第019話 「いざ町へ」

 「急がなきゃ…」

 

 漆黒の剣の魔法詠唱者であるニニャは急いでいた。

 今日は漆黒の剣のメンバーでゴブリンやオークを退治する仕事に出る予定だったのだ。

 ニニャにしては珍しく寝坊してしまったのだ。

 今、走り抜けようとしている路地を曲がれば冒険者組合はすぐそこだった。

 

 「たっ!?」

 「・・・」

 

 曲がった矢先に誰かとぶつかってしまった。

 「すみません」と謝ろうとしたが口が動かなかった。

 貴族だ。

 しわ一つない黒いスーツに赤いコートにシルクハット。顔につけている白い面だって高価な物だと分かる。身嗜みでこれだけの事をするのだ。貴族だと判断するには十分だった。

 姉を貴族に連れ去られた過去を持つニニャとしては謝りたくなかった。

 

 「貴様!ぶつかっておきながら詫びの一つもないとは!!」

 「…無礼極まりない…」

 

 貴族の護衛だと思われる頬に大きな傷がある男とポーカーフェイスで感情が分からないアイパッチで片目を隠したメイドが怒りをあらわにしていた。特に怒鳴る男よりメイドの少女のほうが怖かった。

 貴族はすっと二人の前に手を出して静止させた。

 

 「お怪我は御座いませんか。お嬢さん」

 

 周囲の目が貴族に集まった。

 貴族とは傲慢で庶民の事などなんとも思ってない者ばかりと思われているし実際にそういう輩のほうが多いのだ。

 だが、目の前の貴族は違った。土が付く事をまったく気にせず片膝を地面に付き、手を差し出していた。何よりも白い面から除かせる片目が優しげな光に満ちていた。

 ただ言葉を失いつつその手をとった。

 貴族は優しく引っ張り、尻餅をついていたニニャを立たせた。

 

 「あ、あの…すみませんでした。急いでいたもので…」

 「いえいえこちらこそ申し訳ありません」

 

 やはりだ。貴族なのに貴族らしくない。優しすぎるのだ…

 

 「あ、お急ぎの中、申し訳ないのですが冒険者組合はどちらでしょうか?」

 「…冒険者組合でしたらこれから向かうので…ついて来られますか?」

 「おお、それはありがたい。ぜひ、お願いいたします」

 

 それから100Mも無い距離を歩き、組合前に立った。

 

 「ここだったのですね。どうやら行き過ぎていたようで」

 

 二人の従者が申し訳なさそうに謝っている。貴族は気にかけることもなく許していた。

 

 「では、仲間が待っていますので…」

 「そうですか。連れて来て頂いたのですから御礼をせねば」

 

 そう言い貴族は一本のナイフを取り出した。

 

 「あのコレは?」

 「コレはナイフ・バットと言う投げナイフです。お守り代わりにどうぞお持ちください」

 「こんな高そうな物…本当によろしいんですか?」

 「ええ、構いませんよ。もし投げる時があるならば目標をつけて投げてくださいね」

 「ありがとう御座います。…すべての貴族が貴方みたいな人だったら良いんですが…」

 

 ニニャは別れ際に振り返り

 

 「お名前はなんと言われるんですか?」

 「アルカード・ブラウニーと申します。以後お見知りおきを」

 

 仲間と合流し彼の事を話していると一つ気が付いた。

 

 (あの人なんで女だと分かったんだろう…)

 

 

 

 ぼっちは満足そうに冒険者組合のロビーの一角に座っていた。

 今回は本当は町に行かない予定だったのだ。だが、

 

 「やはりぼっちさんに偵察をお願いしてもいいですか?出来れば拠点を確保できれば良いのですが…」

 

 その時は多少偵察をすればいいかなと思っていたらいつの間にか俺が情報収集&資金源入手の拠点を作ることに…

 まあデミウルゴスのアドバイスを聞いたからもうちょっと楽になったが、あのときの含みのある笑いはなんだったんだろう?

 

 町に来て良かった。

 誰と喋る事になるか分からないしあんな大勢の前に出て何をしろと…ぼっち人ごみ嫌い。ぼっち人ごみ怖い。

 と思っていたのだがさっきの少女と同じように喋れたのだ。いつものが嘘のようだった。

 今の俺は輝いている。

 事実輝いているのだ。誰にも見えてないけれどな。

 ぼっちには一分間60回も精神が安定させられているのだ。一応シズに確認を取ったが光ってないと言われたので間違いないだろう。

 コミュ症を自負しているぼっちがすらすらと喋れているのはその精神の安定化のおかげである。と言うのもぼっちが話すのは話す事による恐怖心などの感情的なものである。

 いつもは平均と判断され安定化されないが今回は馴れない環境で精神が乱れに乱れている為安定化が発生し、感情的なものまで和らげられ話せるようになったのである。

 

 この町、エ・ランテルに入ったのは三日前である。

 まず大きな屋敷を買った。その時の金は現在組合員と話しているニグンが提供した資金であった。持っていた物ではなく法国の自宅にあったお金をぼっちとシズが侵入してとって来たのだ。

 本人の許可は取ったのでこれは窃盗ではない。大事な事なので二回言おう。窃盗ではない。

 一日目は屋敷を買ってその手入れに費やし、二日目は地図の作成であった。まあ、ぼっちの一人作業であったが…

 そして三日目の今日は換金である。

 前にニグンの上位天使を一発で消し飛ばした飛びナイフ。《ナイフ・バット》である。

 ナイフ・バットはスキルではなく《クリエイト・ヴァンパイヤ・アイテム》と言う魔法によるアイテムなのだ。

 短刀でもナイフでも良いから刃が付いてる短い物ならばなんでもナイフ・バットに出来るのだ。

 狙いをつけるだけでホーミングしていくナイフ・バットも欠点がある。持てる数が決まっているのだ。上級天使を倒したのは中級で10本、上級は8本、特上は3本。現在ニグンが売っているのは下級で12本である。それぞれの本数を超えると使用不可になってしまうのだ。(能力がなくなるわけではない)

 これで値段を聞いて下級を軸に資金集めを行うのである。

 

 「ぼ…失礼しましたアルカード様」

 

 横で黙って座っていたシズが話しかけてきた。

 

 「どうしました?」

 「さっきの…無礼働いた…後で殺す?」

 

 そうとう怒ってくれているのだろう。そんなに怒らなくても…汚れたズボンだったら喜んでメイド達洗ってくれるよ?取り合いになるぐらい…

 

 「放っておきなさい。いいね」

 「…はい……」

 

 話しながら頭を撫でると甘えた子猫みたいな表情をしてくるシズ。最近撫でるのに慣れてきた気がする。この前デミウルゴスを撫でた気が…

 

 「アルカード様」

 

 嬉しそうにお金が入った袋を持ってニグンが戻って来た。

 

 「どうだったニグン?」

 「はい。言われた通りにアルカード様の店のこと商品のことを話しておきました」

 「よくやりましたね」

 「そんな私は貴方様に仕える虫けら。御気にならずに使い潰してくれるが本望でございます」

 

 うーわー…なぜにこうナザリックには忠臣ばっかりなんだろう?良い意味でも悪い意味でも…

 

 「で、いくらになりましたか?」

 「大変貴重なアイテムですので20金貨となりました」

 「そうですか…では、目的は果たせました。行きましょうか…」

 

 正直この世界の金貨の価値が分からないので放置で…まあ、あとでモモンガさんが大喜びしていたから良いか…

 建物から出て行くとき全身フルプレートの戦士と美しい冒険者と挨拶もなくすれ違った。

 

 「これからは予定通りに…」

 「ええ、ニグンには店を任せます。私とシズはセバスと合流後、シャルティアの仕事へ向かう」

 「畏まりましたアルカード様。このニグン、身命を賭してでも任務を全うしてご覧に入れます」

 「では、また会いましょう」

 

 そう言ってニグンと分かれてシズと共に向かった。

 この時ぼっちはニニャに特殊なナイフ・バットを渡してしまった事に気付かずにいた。

 

 

 

 「ンーフフフ。こーれでカジっちゃん動くかな」

 

 路地裏で一人の女が笑う。

 表情から猫を連想させる女性はキラキラ光る物を胸元へしまいながら歩いていた。

 目的地はエ・ランテル共同墓地。

 秘密結社《ズーラーヌーン》のカジット・デイル・バダンテールがいるのである。

 

 「こんな路地裏を女性の一人歩きは危ないですよ?」

 「!?っ誰だ!」

 

 気配も物音一つ立てないで背後に立った貴族を睨みつつクレマンティーヌは距離を取る。

 同時にスティレットを抜き警戒する。

 怖い。

 これまで死地や地獄を見て来た。だが、これほど怖いと思ったことは今まで一度となかっただろう。

 自分が気付かないほどの実力者…警戒しない訳がない。

 スレイン法国の最秘法の一つ《叡者の額冠》

 彼女はそれを奪ってここに居るのだこいつは追手の類かもしれない。

 

 跳んだ。

 地面すれすれまで身体を落とし地面の上を滑るように跳び、一直線に貴族を狙っていった。

 貴族は避ける事などしなかった。

 消えた。

 そう思った時には横から押さえられていた。

 

 「な、なにが…」

 

 信じられなかった。今自分の身に起きた事が…なにがどうなってこうなった…理解できない。

 そんなクレマンティーヌに対し貴族は

 

 「なかなかいい動きでしたよ。それにその目…なかなか引き付けられるものがありますね」

 

 何事もなかったように優しげに話してきた上に立たせてくれた。

 一枚のカードが渡された。表にアルカード・ブラウニーと書かれ裏には武器・アイテム店『ヘルシング』と言う店名と地図が書かれていた。

 

 「…何よコレ?」

 「何かありましたらお越しください。貴方の事を少なからず気に入りましたので…では失礼いたします」

 

 貴族…ぼっちはそのままシズを連れてクレマンティーヌを通り過ぎ、セバスとの合流地点を目指す。

 この行動が最悪の事態に繋がるとは思いもよらなかっただろう…

 




チェリオ「感想を書いて下さった方々にまずお礼申し上げます。質問?と言うか気になるところに返答しようと思います。感想の返信でも書いていますが」
モミ  「…では『生産用と言えますな。迎撃用である他の階層とは比較にならないでしょう』…確かに迎撃要員は三名以外生産要因で面積の90%が生産地だもんね…」
チェリオ「ちょっと待て。防衛要員は君を入れて4人じゃなかったか?それにハイネは生産兼任だぞ?」
モミ  「………」
チェリオ「おーい…」
モミ  「それよりまた誤字があったらしいね」
チェリオ「う!?」
モミ  「アインズ様がアンイズ様って…ぷぷっ」
チェリオ「まことにすみませんでした…」
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