骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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さて冒険者モモン&ナーベVSカジット・デイル・バダンテールの戦いが始まる!

実力差がハロと超天元突破グレンラガン並みにあるうえで二対一って無理ゲー超えて詰みゲーじゃないかな?


第022話 「エ・ランテルでの攻防戦:後編」

 「さすがは殿。凄いでござる」

 

 モモンとナーベは依頼の道中で配下に加えたハムスケと共にアンデットで溢れる墓地を歩いていた。

 常人では両手持ちでやっと持てる大剣を片手で振り回し中央を突き進む。その光景を見た人間がいれば彼にどれだけのアンデットを差し向けても無意味だと理解しただろう。

 彼こそ数々の英雄譚に並べられる現代の英雄と称えただろう。

 だが敵も味方もその光景を見る者は少なく、ただ進んでいた。

 

 「まったく馬陸(ヤスデ)がよくもこれだけの数だけそろえたものです」

 「たしかにな。だが数だけ居ても意味は無い」

 

 その言葉の通りだった。この世界の住人であれば苦労するだろうがモモンの前ではただのカカシでしかなかった。

 どんな英雄でも物量で押せば疲弊し被害を無視して最後には倒せる物だが疲労も感じない身体を持つ者に対してこの戦法はまったくの無意味であった。

 右手に持った大剣を振りアンデットをなぎ払うと次に左の大剣でまたなぎ払う。

 

 「しかしさすがに面倒だな」

 

 墓地に入ってからこの単純作業に飽きがきてしまったのだ。正直面倒くさいのだ。

 

 「ではナザリックから軍を呼びましょう」

 「この町に来た理由を忘れたか?」

 

 モモンが町に来た理由は冒険者として名声を高める事が第一である。それに対してナザリックの軍などを呼んでしまっては名声など高めるどころかそれらを見られてしまった場合とても面倒な事になってしまう。

 深くため息をついた。

 数日前まで居たぼっちとシズがこの場に居たらもっと楽だったなぁと思いつつ目の前の現実を見る。何を思っても減る事の無いアンデットがモモンを目指して向かってくる。

 アンデットは生命に対して反応する。ゆえにナーベとハムスケに後ろを歩かせ引き付けているのだが引きすぎであった…

 

 「時間も差し迫っている事ことだ。仕方ない道を切り開く為こちらも動こう」

 

 左右の大剣をそれぞれ何も無い地面に向けた。

 

 「中位アンデット作製。ジャック・ザ・リッパー。コープス・コレクター」 

 

 呼び出された二本のナイフを持った細身のジャック・ザ・リッパーと包帯と釘で身を包んだ巨漢コープス・コレクターが現れた。

 

 以前カルネ村にて召喚したデスナイトも中位アンデットである。

 この中位アンデットはモモン…いや、アインズやぼっち、守護者などからすれば余裕で倒せる相手であるがこの世界では違う。デスナイトは一国の軍隊が戦っても勝てない伝説級のモンスターとなってしまうのだ。それと同等のモンスターが二体。墓地に居るアンデットの未来が決定した瞬間であった。

 一体は高い笑い声を発しながら敵を切り進み、もう一体は地響きを立てつつ敵を殴り殺す。まさに無双であった。

 

 「ハムスケはここに居ろ。行くぞナーベ」

 

 モモンは自分が呼んだ二体のアンデットにこの場を任せ、短い返事をしたナーベと共に先へ進んでいく。

 

 「殿!?拙者も!拙者も連れて行って欲しいでござるよ!!殿ぉ~」

 

 ハムスケの悲痛な叫びを無視して先へ進んでいく…

 

 

 

 二人が進んだ先には黒いローブで身を包み呪文を唱える魔術師らしき集団がいた。彼らの中に一人だけ服装の違う老人が居た。その者がニニャが言っていたマジックキャスターなのだろう。

 こちらに気付いた者が老人に知らせる。老人の名前を言いながら…

 

 (はい、馬鹿確定)

 「やあ、良い夜だなカジット」

 

 名前を呼ばれたカジットは知らせた者を睨みつけた。

 

 「つまらない儀式をするには勿体無くないか?」

 

 言葉に反応して集団の前に現れるカジット。多少スキルを使い調べるがレベルは低い。プレイヤーの線は確実に消えた。

 

 「ふん。儀式に適した夜かどうかはワシが決めるのよ。それよりお主は何者だ?」

 「依頼を受けた冒険者でね。ある少年を探しているんだ。名前は言わなくても分かるだろう?」

 

 その言葉にカジットは何の反応も示さなかったが周りの者は動揺を隠せていなかった。

 

 「それとお前達の仲間に短刀を使う剣士が居ると聞いたが伏せておくつもりか?」

 「ん?あやつの事まで知っておるとわな…そんな事まで話すと思うか?」

 

 もったいぶったようにカジットは話すがすでに辺りの索敵もしている為、居ない事も知っている。理由までは知らないが…

 

 「ふむ、それもそうだな。ではナーベ、殺れ」

 「ハッ!」

 

 短くモモンに頭を下げるとカジットに向き直る。

 モモンの言葉にカジット達は馬鹿にしたように笑っていた。

 対するナーベも短く笑い、口を開いた。両手に雷を発せながら

 

 「ツイン・マキシマイズ・マジック《エレクトロ・スフィア》」

 「何!?」

 

 驚きの声が上がったと同時に二つの光輝く弾がカジット達に向かって行き光で包んだ。

 光が消えるとそこに残っているのは無傷のカジットとカジットを除いた者達の亡骸だった。

 たった一人だけ残ったカジットの表情には余裕が見てとれた。

 

 「ふははははは。馬鹿が」

 「芋虫のように簡単に潰れればいいものを」

 「第三位階を使いこなす馬鹿とは」

 「馬鹿?ダニたる人間ごときがこの私を?」

 「わしの計画を愚かにも邪魔する者を馬鹿と言って何が間違っている。しかも強者を強者と理解すら出来ずに死地に飛び込むのだからな」

 

 ここにぼっちが居たら「見事なブーメラン」と思って爆笑していただろう…

 

 「この至高の宝珠の力を見るが良い!」

 

 持っていた玉が紫色の光を放ちだした。睨みつけるナーベであったが頭上に気配を感じて見上げた。

 骨で出来た竜《スケリトル・ドラゴン》がそこに居た。

 スケリトル・ドラゴンは何の迷いも無くナーベの後方に勢い良く砂煙を立てながら着地した。

 ナーベの目が見開かれた。

 

 「アインズ様!?」

 

 そうだ。そこには数歩下がって腕を組んでいたモモンが立っていた場所だ。まさか至高の御方がやられることは無いだろうが避けないとも思わなかった。現在アインズの指示で高位の魔法が使えなかった為駆けつけれなかったのだ。

 

 「げははははは!魔法に絶対の耐性を持つスケリトル・ドラゴン。マジックキャスターにとっては手も足も出ない強敵であろうよ。それに戦士であった男もあっけなく死んだ。これでお主の勝ち目は無くなったわ」

 

 耳につく笑い声を上げ続けるカジットに最大限の睨みを効かせる前にスケリトル・ドラゴンが動いた。いや、吹き飛ばされたのだ。

 

 「な、な、な、なんだとぉ!?」

 「さすがでございます」

 

 驚きの叫びと賞賛の声が砂煙の中から現れたモモンに向けられた。

 

 「カジットよ、先ほどの言葉すべてかえそう。まったく強者を強者と理解できない者は馬鹿としか言いようが無いな。なぁ、ナーベ?」

 「はい、仰るとおりでございます」

 「ところでナーベよ。今の私はモモンだ。」

 「はっ!?申し訳ございませんでした」

 「お、お主何者だ!?オリハルコン?いやアダマンタイトクラスの冒険者か!」

 

 慌てていたカジットを無視して二人で会話していると多少は落ち着いたのか怒鳴ってきた。

 ナーベの顔が凶悪になっていく。

 

 「いや我々はカッパーの冒険者だ。まだな…それよりカジットよ。お前は二つの間違いをしている事に気付いているのか?」

 「なに?ワシの間違いだと」

 「一つは強者を強者と理解すら出来ていないのはお前だということだ」

 「なにを馬鹿な…わしが貴様らより劣っているだと?」

 「二つ目はスケリトル・ドラゴンは魔法に対して絶対的な耐性など持ってはいない」

 

 カジットは話の最中であったがスケリトル・ドラゴンを突っ込ませた。モモンの前に立つナーベ。

 

 「ナーベラル・ガンマよ。やるがいい」

 「ハッ!これより冒険者ナーベではなく、ナーベラル・ガンマとして行動を開始致します。ツイン・マキシマイズ・マジック《チェイン・ドラゴン・ライトニング》」

 

 二つの龍を模った電流がスケリトル・ドラゴンに向かっていった。

 

 「馬鹿な!スケリトル・ドラゴンには魔法への絶対耐性が…」

 「だからそれが間違っていると言っている。正確には第六位階までの魔法を無効化するのであって第七位階以上なら無効化できないと言うことだ」

 

 その言葉通り電流にスケリトル・ドラゴンが貫かれ無数の骨と散る。

 貫通した電流は空中でひとつに合わさり今度はカジットへと向かっていった。

 

 「なぜだ…このワシが五年かけて作った努力の結晶が…すべてがこのわずかな時間で崩壊すると言うのか!?」

 

 最後の声を飲み込みカジットが光の中に消されて行った。

 

 「終わったな…ンフィーレアを回収して帰るぞ」

 「はい。モモンさ―――ん」

 

 間の抜けた返事につまずきそうになりつつもンフィーレアの元へと向かっていった。ちなみに忘れかけていたがハムスケは必死に召喚された二体のアンデットの後ろに隠れて合流した。

 

 

 

 宿屋に帰るまでが大変だった。

 失明させられていたンフィーレアの治療。今回の事件の首謀者や全容を冒険者組合長に報告。新たな英雄を称える人々への対応。それに対して殺気立つナーベの静止などなど

 宿屋で一息つくことが出来たのは昼になってからだった。

 モモンはしみじみこの身体がアンデットで良かったと思った。出なければ疲労で倒れるところだろう。

 首にかけられている昨日と違うプレートに手を伸ばす。

 

 「オリハルコンくらいにはなると思ったがこんなものか」

 

 プレートは今回の件でミスリルになっていた。モモンはこんなものかと言うがカッパーがシルバーなど多くを飛び越してミスリルまでなっているのだ。これは小さなことではない。でも、満足はいかないのだろう。特にナーベが…

 

 「ミスリルとは…無礼極まります」

 「いいのだナーベ。今頃生き残った墓地の兵達が私の戦いを町中でふれ回り、我が名声を高めているだろう。計画通りだ」

 

 正直に言うと計画以上だった。漆黒の剣の面々との依頼内で起こった戦闘に賢王と称される魔獣の入手、墓地での活躍とモモンの名声は一気に上がっていた。その上カジットが操っていたスケリトル・ドラゴンは二体居て一体は消滅させたがもう一体は無傷のまま入手したのだ。土産が出来たと思った程度だが… 

 

 「それであの二人はどうするのですか?」

 「リィジーはすべてを払うと言っていたから孫を連れてカルネ村へ行ってもらう。私…いや、ナザリックの為にポーションを作らせるつもりだ」

 

 そしてエ・ランテル最高の薬師であるリィジー・バレアレとの契約である。ンフィーレアを救出に行く前の契約にてリィジーの全権利をアインズが握ったのだ。ポーションは第11階層で生産しているがこの世界の技術とユグドラシルの技術でどのようなものが出来るのか、ようは実験であった。 

 

 「そうだ。アルベドに連絡をせねばならなかったな」

 

 ふと思い出しアルベドをメッセージにて呼び出す。

 

 『アインズ様。シャルティア・ブラッドフォールンならびにCZ2128・Δ《シズ・デルタ》が反旗を翻しました』

 「………………はぁ?」 

 

 何を言っているのか理解できずにアインズは聞き返す事しか出来なかった…

 




チェリオ「感想を見ていると何かぼっちさんが黒く見えてきた…」
モミ  「私は要注意人物になってるんだけど…」
チェリオ「間違ってないでしょ?」
モミ  「……うん…」

前回教えていただいた誤字
・アンデットかしている
・魔法の後
・止めを誘うと

ステラ 「これを見るともう間違い探しですね?」
ハイネ 「確かにいろいろありましたからねぇ…」
モミ  「やめて!もうチェリオのライフはゼロよ!」
チェリオ「勝手にゼロにするな!まだまだあるよ!!てか何でそんなにネタを知ってんだよ!」
モミ  「…………禁則事項です♪」


 三巻に起こる出来事が終了後特別編を書こうと思います。が、何かこうゆう物を書いて欲しいみたいなリクエストありますか?例えば八巻にあった男子勢・女子勢別々の入浴みたいなの。
 出来れば戦闘なしが良いかな…苦手なもので…






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