骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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今回の話でぼっちさん謹慎終了!!
しかし次回出番無!!


第031話 「セバスのとある休日」

 ナザリックの執事であるセバス・チャンは執務室へと繋がる通路を歩いていた。その手には大事そうに皮製のアタッシュケースを持っていた。

 今日はセバスとソリュシャンが再び王都に戻る前日、つまりは最後の休日である。

 アタッシュケースには仕事でぼっちに頼まれた品が入っているのだ。至高の御方は休めと言われるかも知れないが直々に受けたお仕事を他の者に任せるわけにもいかない。それにぼっちも明日から再びこのナザリックを離れられるのだ。

 執務室前で立ち止まり服装に不備が無いか確認しノックする。

 

 「ん?誰だ」

 「セバスでございます」

 「うむ、入れ」

 「ハッ!失礼致します」

 

 背筋を伸ばしたまま部屋に入ると話し込んでいたであろうアインズとぼっちが見えた。

 

 「どうしたセバス?今日は休みであったであろう。何かあったのか」

 「いえ、そういう訳ではございません。ぼっち様に頼まれた品をお持ちした次第でございます」

 

 そう告げると先ほどまで壁にもたれていたぼっちがセバスの隣まで一瞬で移動してきた。

 

 「・・・出来たのか!?」

 「はい。こちらでございます」

 

 アタッシュケースを開くと中から一丁の銃が現れた。前にぼっちが使っていたトーラスと同じリボルバー拳銃であるが大きさは倍以上あった。

 

 「ぼっち様専用13mm拳銃『ラグナロク』全長45cm重量20kg装弾数8発。今までの454スカール弾使用ではなく初の専用弾使用銃です」

 「・・・専用弾13mm魔法式KB弾か・・・」

 

 専用弾13mm魔法式KB弾。

 KBとはぼっちが作製できるナイフ・バット(Knife bat)の頭文字である。前に新たな可能性を持ったナイフ・バットを弾丸とした物だった。

 ナイフ・バッドに変換する為には刃のついた物との表示しかなかった為、実験で絵に書いた剣にも効果がある事を知った。それを利用しての銃弾が専用弾13mm魔法式KB弾である。

 アタッシュケースから銃を取り出し感触を確かめながら問う。

 

 「シングルアクション?ダブルアクション?」

 「両方行なえるようになっております」

 「銃身は?」

 「特上希少金属複合製固定化魔法式」

 「保持方法は?」

 「弾倉振出式」

 「弾殻は?」

 「第1位階《クィック・マーチ》付与特上鋼鉄製」

 「装薬は?」

 「第3位階《ファイヤーボール》封印劣化鋼KB」

 「弾頭は?炸薬式か?水銀か?」

 「第8位階《エクスプロード》封印特上水銀弾頭」

 

 興奮気味に連続で問うたぼっちは満足げに笑い、再び口を開いた。

 

 「パーフェクトだセバス」

 「感謝の極みでございます」

 「…そんなに凄いものなのか?」

 

 一人会話に入っていなかったアインズが口を開いた。

 

 「・・・これならば長距離戦でもペロロンチーノさんにだって勝てるだろう」

 「そんなにですか」

 「・・・たっちさんとも・・・いや、まだ足りぬか・・・休日にすまなかったセバス」

 「いえ…では失礼致します」

 

 踵を返し執務室を後にする。正直この後の予定は無い為にゆっくりと過ごそうと思考する。

 部屋に帰ってアタッシュケースを仕舞い、ぼっち様から頂いたレコードプレイヤーで音楽を聴きながらお茶にしましょう。ではワルキューレの騎行か威風堂々、それともボレロにしましょうか。

 レコードプレイヤーも部屋に埋もれていた物で「セバスに合いそう」と言う理由で渡した物である。

 後の予定を考えながら自室の部屋を空けるとそこにはユリとナーベラル、そしてモミとステラが座っていた。

 

 「……ユリ?」

 「いえ、私はお止したのですが…」

 「お邪魔してるよ~」

 「お邪魔致しますセバス様」

 

 だらけながら声をかけてくるモミ様と礼儀正しいステラ様は対照的であった。背を伸ばし正座をしているだけなのだがどこか神々しくもあった。本当にもみ様の妹君なのか疑いたくもなる…

 

 「様などと…私はただの執事ですよステラ様」

 「では……セバス殿で」

 

 普通に呼び捨てでも構わないのですが…ともう何度言ったか分からない。

 彼女は私に対して様、もしくは殿付けで呼ぼうとする。私に彼女の憧れであるたっち・みー様の面影があるらしい。それは嬉しいことである。

 

 「それで如何なされたのですか?」

 「…これこれ」

 

 モミ様が飛び跳ねながらこちらに巻物を向けてきた。

 

 「巻物?それも映像用ですね」

 「大当たり!で、一緒に見よ?」

 「構いませんが…ユリ達は良いのですか?」

 「ぼ…私もナーベラルも休憩時間ですので問題ありません」

 「では再生~♪」

 

 再生された映像を5人で見る。場所は何処かの闘技場だろうか?観客席が取り囲む中央には十分な戦闘スペースが空けられていた。

 そこには一人の男が映っていた。短く切り揃えた金髪に神父らしき服装を着た大柄な男。見た感想をナーベラルが口にした。

 

 「何ですかあの男は?神父みたいですがどう見ても極悪人にしか見えませんよ」

 

 確かにナーベラルの言う通りだった。大柄で厳つく、逆光眼鏡でどんな目をしているのか分からないがこの時点で善人に見えない。その上で二本の刀を握り締めていた。

 この異常な人物に集まった視線が画面に現れたもう一人の人物に集まった。

 神々しさを感じるような西洋の剣、純白の鎧に純白の盾、左肩にかかっている真紅のマント。

 

 「「たっち様!?」」

 

 セバスとステラの声が被った。

 そこに映っていたのは紛れもないギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のたっち・みーその人だった。

 どうやら先ほどの人間と試合をするようだった。

 

 「人間ごときがたっち様と戦うと言うのですか?」

 「身の程を弁えないダニが…」

 

 ナーベラルの侮蔑の言葉が発せられると同時に二人が動いた。

 斬りつけては受け流し、スキルを使われてはスキルでやりかえす。

 見ているだけだがその凄まじさが映像から伝わってくる

 

 「たっち様がダメージを!?」

 「あのノミ虫…よくも…」

 

 ユリとナーベラルは合間合間に感想を入れていくがセバスとステラは食い付くように見入っていた。ただモミだけ肩を震わしながら俯いていた。

 前のコキュートスとステラの斬り合いが子猫のじゃれ合いに見える程の斬り合いが徐々に速く、強く、度合いが増して行く。

 盾に傷が、逆光眼鏡が割れ、鎧に無数の切り傷が、身体中で血飛沫が上がる。

 速度で勝る大柄の神父も技術が長けている純白の騎士も何だか楽しそうな気がしてきた。

 何時までも続いて欲しいとセバスは願う。が、勝敗と言う物は勝負事には必ず存在した。

 最後は時間ギリギリにたっちの攻撃が掠り、HPが誤差で下回った神父が敗北した。二人は武器を仕舞い互いを称えるように握手する。

 見入っていた皆から息が漏れる。見入りすぎて息すらしていなかったのだ。身体が空気を求めていた。

 

 「すばらしいものでしたね」

 「ええ。本当に」

 

 己を創造したたっち・みーの勇姿を見たセバスは満足していた。そんな中…

 

 「ブハハハハハハハハハ」

 

 突如モミが吹き出したのだ。その行動の意味が分からず不快感が襲う。

 

 「何が可笑しいのですかモミ様」

 

 たっち様の事を笑っていると思ったセバスの口調に怒気が含まれていた。そんなことお構いなくモミは笑い続ける。

 

 「クヘヘヘヘっ。ナーベラル、神父のプレイヤーネームを見て…ぶひゃひゃひゃ!!」

 「?プレイヤーネーム…ハッ!?」

 

 笑い続けるモミを除く皆の動きが止まった。神父のプレイヤーネームを見てみると《ぼっち》と表示されていた。

 

 「あれはここに来る前のぼっち様!?」

 

 ステラの叫びと共にナーベラルの頭にある言葉が流れてくる。

 

 『身の程を弁えないダニが…』

 『あのノミ虫…よくも…』

 

 理解した。彼女は分かっていて否定もせず聞いていて爆笑したのだ。そんな事はどうでもいい!私は今…

 思考しようとしたナーベラルは肩に手を置かれたことで停止した。

 

 「少し宜しいでしょうか?」

 「…私もお話があります」

 「拒否は認めない。マスターから授かりしオートクレールの錆びになりたいのなら別だが」

 

 その三人の怒気に飲み込まれナーベラルは

 

 「…はい」

 

 一言を口から出すことしか出来なかった。

 こうしてセバスの休日は至高の御方の前でナーベラルを叱ることで終了した。

 

 

 

 誰も居なくなった部屋で笑い転げていたモミは巻物を回収する。

 

 「……ぼっち様は元気にやってるよ。スレインさん…」

 

 モミはぼそっと巻物の持ち主の名を呟いた… 

 




モミ  「至高の御方の前で怒られるナーベラル…可愛そうに」
チェリオ「仕組んだの貴方でしたよね?」
モミ  「………フヒ」
チェリオ「笑って逃げるな。…ところでスレインさんって誰ですか?」
モミ  「スレイン・トロイヤード…」
チェリオ「嘘だ!!」

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