どんだけ話数あるんだよ!って自分で突っ込んでしまった…
ぼっち=オリ主
アルカード=ぼっち
マイン=ぼっちの弟子
レイル=鍛冶屋
モミ=第11階層守護者
ステラ=モミの妹・騎士
ハイネ=ステラの兄・モミの弟・軍師
ザーバ=神父
ポルックス=無口な生産者・カストルの妹
カストル=ポルックスの兄
やらかした!!
それがこの話最初の言葉であり、現在のぼっちの心情でもある。
ナーベラルよりモモンガさんが王都を離れてナザリックへ帰投する事を聞いて見送りしようと思って出てきたのだ。が、そこには蒼の薔薇の面々とレエブン侯がその場に居たのだ。
蒼の薔薇のリーダーであるラキュースを見た瞬間に思い出したのだ。ガガーランを中心に頼まれた事を。
ぼっちに気付いたモモンガは会釈をして近づく。
「ぼっ…コホン。もしかしてアルカード伯爵でいらっしゃいますか?(あぶない、あぶない。ここでは『アルカード伯爵』だった。気をつけなければ)」
「ええ、その通りアルカード・ブラウニー伯爵ですが…(そういえば『モモン』さんとは初対面でしたね。合わせないと)」
「ッ!!や、やはりそうでしたか。私はアダマンタイト級冒険者のモモンと申します。お噂はかねがね伺っております(え!?ぼっちさんが普通に喋ってる!!こわっ!!って言うか別人…じゃないよな)」
「現代の英雄と称されるモモンさん程ではありませんが(なんだろう。驚かれてる?何故に?)」
とりあえずモモンに合わせて会話をしているのだが頭の隅でこの状況をどうしようか悩む。ラキュースにあの物を渡す為には人目を避けなければならない。と言うか避けたい。
ガガーラン、ティア、ティナは言えばラキュースと二人っきりにしてくれるとは思うがイビルアイが邪魔なのである。邪魔と言うのは言い過ぎだが正直困る。彼女はなぜかしら俺を警戒している。今も何かしら言おうと待ち構えてるし…ん?ステータスに変化が…これはいける!!
考えをまとめたぼっちは笑みを浮かべる。仮面を着けているから分からないだろうけども。
「それはそうとこれからのモモンさんのご予定はお有りで?」
「これからエ・ランテルへ帰るところですが(急に改まってどうしとんだろう?ナザリックに帰投することは分かっているでしょうに)」
「でしたら私に雇われてみませんか?」
「雇う?どういった事でしょうか?アルカード伯爵は大勢の部下の方がいると聞いていますが(なんでわざわざ雇うんだろう。部下に行かせればいいんじゃないか?)」
「確かに大勢の者をこの王都に集めています。が、それぞれ復興の為に働いており、空いている者が居ないのです。エ・ランテルへ物資を取りに行く者達が居るのですが道中の護衛に少し不安があるのです」
「ああ、その護衛にエ・ランテルに帰る私達を雇いたいと…(まぁ、かまいませんけどね)」
「すでにナーベ嬢にはお話しておりますので」
「分かりました。そのご依頼お受けいたしましょう」
「しかし持って帰る荷物も多いので出来れば軽減魔法が使える魔法詠唱士がもう一人いれば助かるんですがねぇ(チラチラ)」
「ははーん、そういう事か(ぼそぼそ)。アルカードのおっさん!うちのイビルアイも雇ってみないか?」
「なっ!?ガガーランなにを」
「そうね。イビルアイは転移魔法でここまで一気に移動できるし」
「魔法も得意だしね」
「そう言う事ね。行って来なさいよ。モモンさんと少しでも一緒に居れるわよ(ぼそぼそ)」
「ッ///い、良いだろうか伯爵?」
「勿論。宜しくお願いしますねイビルアイさん」
「はい!(感謝するぞ伯爵!!)」
「では早速ですが王都北東部にある倉庫へ向かってください。そこで指揮しているニg…ルークに声をかけてください」
モモンとイビルアイが共に向かっていくのを確認したと同時にナーベに『依頼を受けていたと言う事に』、ニグンには『お金と馬車と荷物の用意を大至急』とメッセージで伝えた。
蒼の薔薇の皆は照れたイビルアイを見送りながら話し合っていた。するとレエブン侯がゆっくりと近づいてきた。
「少し宜しいかなアルカード伯爵?」
「ええ、構いませんよレエブン様」
「様付けなど…『レエブン侯』で構いませんよ」
「ではレエブン侯。何用でございましょうか?」
「…できれば早めに王宮へ行って欲しいのだ。ラナー王女が出来るだけ早くお会いしたいとのことなのでな」
「ラナー王女が?三日後でも宜しいでしょうか?こちらもラナー王女にはお会いしたかったと所なので」
「分かった。ではそう伝えておこう。では私はこれで」
「お気をつけて」
去って行くレエブン侯の後ろ姿を見ているとなぜか逆シャアの時のシャアを思い出す。と言っても金髪オールバックしか似ている点は無いが…
まだイビルアイの話をしているガガーランに近づき「アイテムが届いた」と伝える。その言葉に一瞬驚いたような表情をしたがすぐに嬉しそうに笑う。
「そいつはありがたい!!で、何処に」
「屋敷にあるのだが…この後は?」
「おお、空いてるぜ。ラキュース!この後伯爵の屋敷に行こうぜ」
「ずいぶん急ね?アルカード伯爵もいろいろとする事があるのでは?」
「こちらも大事な用事なので」
「用事?」
「気にするなって。じゃあ行こうぜ」
ガガーランに押される形でラキュースを屋敷へと案内する。
この後のことを考えるととてもとても胃が痛い…
屋敷に着いたぼっちはガガーラン達には客室で待ってもらい(お茶菓子とお茶を用意した)。ラキュースには部屋まで来てもらった。
部屋の奥には執務用の大きな机があり。ラキュースはそこの椅子ではなく入り口に近いソファに腰をおろしていた。
「で、私に用事と言うのは何かしら?」
微笑みながらも不思議そうな表情で聞く。胃が痛むのを我慢して覚悟を決める。
「『お前が油断したら、暗黒の根源たる闇の私が肉体を支配し、魔剣の力を解放してやる』」
「―――っ!!なっ、なっ、なっ///」
ごめんね。こんな虐めみたいな事すみません。恥かしいよね?傷口に塩を捻り込むようなことして本当にすみません!!
自分の恥かしい秘密を突然言われ顔が真っ赤になる。何故貴方が知っているの?とか、誰から聞いたの?など言葉が混乱しすぎて出てこなくなっていた。
ぼっちはゆっくりと仮面を外し机の上に置く。
「『パワーを全力で抑えるのは私のような神に仕えし女性でないと』」
「ああああああ!!止めて!!お願いだから止めて!!どうし!誰が!///」
「どうして?誰が?そのようなことはどうでも良いのでしょう」
「良くない!よくにゃい!!」
ラキュースは余りの恥かしさに混乱と言うかパニックに陥っている。対してぼっちは真面目な表情でゆっくりとラキュースに近づく。
「刀は斬る相手は選ばないが持ち手は選ぶ。貴方が持っているような魔剣・妖刀と称される類の物は特にね」
真面目な口調で話されるからにはそれなりの態度で聞こうとしているのだろうが表情は先ほどとまったく変わらぬ真っ赤っかである。いつもの凛とした雰囲気を知っている為に可愛いと思うのだが今はその事を表さないように堪える。
「私の手元にも魔剣・妖刀は複数あります。しかしどれも扱える者は居ません(この世界では)。貴方だけなんですよ。貴方だけが魔剣を使いこなし、飲み込まれもせず、自我を保ち続けられるのは。まさに神に選ばれし特別な存在」
「私が神に選ばれし特別な…」
「そうですよ。貴方こそ深遠なる闇を制することの出来る聖女」
恥かしさで赤みを帯びていたラキュースは今度は高揚して赤みを帯びてくる。笑みを浮かべながら人差し指を口に当てる。
「ゆえに誰にも悟られてはならない。闇の住人はいつもこの世界を伺っている。人に化け、影に潜み、心に紛れて貴方を伺っている」
「狙われている…と言う事ですか?しかし伯爵はどうやってその事を知ったのですか?」
「…私の知り合いには闇に君臨した者がおりましてね」
「君臨した者?まさかと思いますが伝説に謳われる魔神の類ではないでしょうね?失礼ですが名をお聞きしても?」
「彼らはこちらの世界には渡っておりません……ふぅむ。貴方なら良いでしょう。右腕に龍を封印した過酷な運命を背負ったダークフレイムマスターと黄金に輝く右目を持ち、聖なる心で闇の力を制した邪王真眼の使い手である少女…」
「ダークフレイムマスターに邪王真眼…」
その名を気に入ったのか呟きながら興奮を隠せないでいるラキュース。ぼっちは背を向け机の横に立てていたアタッシュケースを手に取り、ラキュースの前に見えるように開く。
「彼と彼女にはそれぞれ制する物を持っていた。だから貴方にも必要でしょう」
「これは…」
「対魔秘宝『ブラオ・ローザ』。きっと貴方の力になりましょう」
アタッシュケースから現れたのは純白の篭手であった。材質はアダマンタイトで手の甲には蒼い薔薇の模様をもった球体が埋め込まれていた。
ここまでならただの装飾された篭手であろう。しかし球体はあのハズレガチャのひとつ。『魔封じの玉』を使用している。一日三回まで自身に向けられた魔法攻撃を無力化、もしくは軽減してくれるというものだ。無力化と言っても第四位階までで第五位階を30%軽減できるだけで別に役に立ったことは無いが…
高揚し、ギラギラと輝く瞳は『ブラオ・ローザ』しか捕らえてなく、何の疑いも無く右手に装着する。装着した篭手は主の右手を隠すように覆ってはいるのだが何故か第二関節より先の指五本だけ露出していた。
皆さんはお分かりだろう。こっちで言う指ぬきグローブである。ぼっちは考えた。どうせ直さないのだから中二的に言い包めて誤魔化せば良いと!!
そんな事を疑いもせず信じている当の本人は本当に嬉しそうに頭を下げてきた。
「ありがとう。まさか真に私を見抜く人に出会えるとは。しかもこの様な物を…」
「そ、そうですか。それは差し上げますよ。貴方の様な特別な方が持つに相応しい物ですから」
「っ!!ああ、では、遠慮なく使わせてもらおう」
「先の話はくれぐれもご内密に。もちろん蒼の薔薇の面々にも」
「…分かりました。これは私と伯爵のみの話と言う事ですね」
「理解して頂きありがとうございます。さて、皆様お持ち兼ねでしょうし参りましょうか?」
頷くラキュースを先に行かせてぼっちは自分の執務室に一人残る。
そして頭を抱えてごろごろと床を転げまわる。
何が神に選ばれし特別な存在だ!何が深遠なる闇だ!言ってるこっちが恥かしいわ!!俺ほんとに何して…ぎゃああああ!!腕が!骨折した腕があああああ!!
恥かしさから転げまわったぼっちは今度は痛み苦しみ転がっている。
兎も角、これにてガガーラン達に頼まれた依頼は終了したのである。ちなみにぼっちにいろいろ話したかったイビルアイは帰り際になってその事を思い出したという…
ナザリック地下大墳墓 会議室
コキュートスはモミに呼ばれて会議室に来ていたのだが、呼びに来たステラと共に信じられないものを見てしまい唖然としている。
「うおおおおおお!!終わらないいい」
会議室の机の三分の一を埋め尽くす資料と帰ってから格闘しているモミが大声を発する。
頭を掻き毟りながら書類に筆を走らせる。
「コキュートス様」
「…ドウシタ?」
「私は夢でも見ているのでしょうか?あのサボリ魔の姉さんが仕事をしているように見えるのですが」
「ウム。私モ同ジ事ヲ聞コウト思ッテイタ」
「と、言うことはこれは現実なのですね」
二人が見ている前で物凄いスピードで処理して行くモミが唐突に筆を止めてコキュートスへと資料を突き出す。
「褒めたらサボろうとするとはどう言う事ですか姉さん」
「ちがっ!?…いや、違わないか…手伝ってコキュートス」
「ソレハモミノ仕事ダロウ?」
「このままじゃあアインズ様をお待たせする事になるんだけど…ダメ?」
「ムゥ…アインズ様ヲオ待タセスル訳ニハ…良イダロウ」
仕方なく渡された資料に眼を通す。それは今回の作戦での王国側の動きの詳細をまとめた物だった。何時にどの部隊が動き、何処の守りが堅くなり薄くなったかを記したもの。
「…ああ!その資料を見てどういう戦術をとるか?自分だったらこうしたら良いみたいな事を後ろの白紙に書いてちょ」
「了解シタ」
モミと同じく席に付いたコキュートスも悩みながら筆を走らせる。「はぁ…」とため息を付きつつ頑張っている姉を見て微笑むステラはお茶でも淹れようかと会議室を後にした…
これで王都での仕事の半分は済んだかな?早くナザリックに帰りたい…ぼっちが!
そんなぼっちさんは置いといて、ナザリックに帰ってきたアインズ様にNPC達が今回の作戦を報告をする。それによりシャルティアはどう評価されるのか?
次回『報告会』
お楽しみに……フヒッ