骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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 えー…皆様にご報告があります。
 チェリオはこの『骸骨と共にぼっちが行く』を最初に書き始めました。
 あれから他の作品も書きたいと思い2作品ほど同時進行で書いている状態です。そちらは一週間に一話づつ書いております。
 正直に言うと辛いです。『書く事が』…ではなく『ペースが』です。
 このペースでは外伝を書く余裕も無いので『骸骨と共にぼっちが行く』を二日に一話ではなく三日に一話にさせて頂きます。
 一瞬凍結も考えたのですがそれだけはしたくなかったのでこういう形になってしまいました。
 まことにすみません。


第080話 「兎は月で跳ねずにぼっちの部屋で跳ねる」

 ぼっち様の《宝物殿》

 それはぼっちの部屋の隣の部屋を改造してぼっち専用の倉庫とした部屋のことである。

 今日は休み明けに向かう領地で使用するであろうアイテムを探しているのだ。と言っても査察などしていない為に何がいるのかなどはまったく理解してないのだが…

 とりあえずぼっちはアウラと整理したアイテムの中から要りそうな物を探している。

 

 「こちらはどう致しましょうか?」

 

 声をかけられて振り向くと真剣な眼差しで毒々しい色の手の平サイズの壺を見せるナーベラル・ガンマがいた。

 前に罰を欲していたので手伝いを命じたんだ。その時に他のプレアデス達から睨まれていたのは何故?

 ナーベから壺へ視線を移して動きが止まる。

 おっかしいな。さっき『新たな領地で使えそうなアイテム』と説明したはずなのになんでナーベラルはゾンビパウダーなんて持っているの?あれって一定時間だけだけど種族を低レベルのアンデットに変えるやつだよな。しかも種族レベル1以下にしか使えない初心者キラーアイテム。それをどうしろと?『新たな領地』はアンデットの楽園にする気無いよ。

 

 「元に戻して・・・」

 「畏まりました」

 

 深く頭を下げて元の位置へと戻していく。次に手を伸ばしたのはクローゼットだった。そこには様々なギルドより略奪…コホン。頂いて来た服が仕舞ってあるのだ。男性用から女性用まで…

 

 「これは何でしょうか?」

 

 手に取っていたのはバニースーツだった。

 なんて説明しようか?男の部屋にバニーガール、名の通り女性用の衣類が出てきたのだ。良くて笑い話。悪くて変態の烙印。どっちにしろ詰んでね?

 仮面で焦っている事はばれていない。それどころかナーベラルがきょとんとしている。

 

 「何か聞いてはならない事だったでしょうか?」

 「・・・いや」

 

 この子…ただの衣類としか見てないんだろうな。なんて純真な子なんだ。

 

 「・・・・・・着てみるか?」

 

 もしやと思い恐る恐る聞いてみた。頬を染めてキラキラと輝くオーラを漂わし、嬉しそうに「よろしいのですか!?」と聞いてくる。……すごく悪い事しているような罪悪感が…

 着替えている間は自室でお茶を啜る。

 ああ…茶が美味い。ここにお茶菓子を置いてなかったのは痛かったな。冷蔵庫の中にはショートケーキがあるけど合わないよな。多分。

 

 「着替え…お、終わりました」

 「・・・おお」

 

 白いバニースーツより胸元や太ももなのが露出され、その露出された太ももにはバニースーツや肌の白さを強調するように黒の網タイツを穿いて貰った。ウサ耳はセットであった物ではなく《ラビッツ・イヤー》で再現してもらった。

 無言で見つめていると頬を赤く染めて恥かしげに俯く。

 

 「・・・綺麗だよ」

 「――っ///」

 

 たった一言で『頬を染めた』ではなく、ボンっと音を立てて『真っ赤に熟れたトマト』のようになった。その事に首をかしげる。

 どうしてそこまで反応してくれるのだろうか?単に恥かしかったのかな?

 …至高の御方であるぼっちのお褒めの言葉を忠誠心カンストしている従者が聞けばこうなりますよね…しかも異性。

 

 「・・・続き。しよっか?」

 「は、はい///」

 

 再び作業を開始するが先程の熱が冷め切っていないナーベラルは手に取った指輪を落っことしてしまう。謝罪しようと慌てて頭を下げると近くの棚に腰をぶつけてしまい物を床へと撒き散らしてしまった。

 その光景を呆然と眺めていたぼっちは落ち着いていこうと励まし、落ちた物を拾ってゆく。失態(本人曰く)を連続で行なってしまったと急ぎ拾い出す。

 ピョコ、ピョコ…

 四つん這いとなったナーベラルに視点が固定される。最初は視界の端でバニースーツに付いていた尻尾が動くたびに揺れる為に目を向けたのだが自然にナーベラル全体へ向いてしまった。

 想像してください。バニースーツと言うのは先程書いたように胸部と太ももの露出が特徴である。ナーベラル自身、ソリュシャンやユリほど大きくないがそれでも大きい部類に入る。そんな彼女が四つん這いとなっているのだ。男なら…いや、ナーベラルほどの美女となると女性でも見てしまうだろう。

 ゴクリ…

 つい喉が鳴ってしまいナーベラルが振り向く。

 

 「申し訳ございません」

 「・・・?」

 「喉が渇いていらっしゃったのに気付かず…すぐにお持ちいたします」

 

 立ち上がり一礼してから部屋を出て行った。

 出て行ったのを確認してからドッと汗が吹き出た。ほんと~に!純粋な子でよかった。本当に良かった…ん?今、そのままの格好で出て行かなかったか?

 とりあえず物が散らばった箇所の掃除を片付ける。その際に落とした指輪を拾う。とある幻獣を召喚する指輪だった。レベルは40と低めだが効果共にこの世界では重宝されるだろう。ボックスに仕舞って片づけを続ける。

 

 「お待たせしました」

 

 片づけを終えて私室にて胡坐を掻いてアイテムとにらめっこしていたぼっちはメロンソーダを持って来たナーベラルと目が合った。

 やっぱりその格好で厨房まで行って来たんですね。モミに見られていない事を祈っとこうか…

 アイテムを仕舞い、ナーベラルから受け取ろうとして手を止める。

 

 「・・・何かして欲しいこと・・・ある?」

 

 『仕事にはそれ相応の対価を』とまでは言わないけど手伝ってもらった上に飲み物まで持ってきてくれたんだ。何かしてあげたほうがいいだろう。…半分以上は先程の罪悪感なのだけどね。

 

 「そんな!ぼっち様からお召し物をお貸し頂いただけでもありがた過ぎる事なのに役に立てなかった私にそのような気遣いは…むしろ罰せられると…」

 「・・・これ」

 「それは私が落とした指輪」

 「・・・おかげでこのアイテムがあった事が分かった。ありがとう・・・」

 「お礼を言われる事では…」

 

 このままだとループするだけだよなと思って悩み、閃き手をポンと叩く。命ずれば良いじゃないか!!

 

 「私がしたい。これ命令」

 

 内心自分が何を言ったのか訳が分からなかった。よくアニメや漫画の台詞を叫ぶ癖…癖と言う事にしよう…がある事は知っていた。けどこれはなんだ?そんな台詞は覚えがない。それ以前になんて言葉を吐いてんだよ!?

 命令された以上、何かを提示しなければならない。恥かしげに恐る恐る口を開いた。

 

 「頭を…」

 「・・・?」

 「頭を撫でて貰えませんか///」

 「・・・おいで」

 

 笑顔で答えると嬉しそうなウサギは今にも跳ねそうな勢いを我慢して目の前で正座をして待つ。しかし正面で向き合ってなどそっちの方が難しい。というか恥かしい。

 

 「・・・後ろを向いて座って」

 「は、はい」

 

 言われた通りに背を向けて、その場に座る。

 言い方が悪かったんだろうか?それとも俺の運が良かったのだろうか?振り返って背を向けたナーベラルは胡坐を掻いていたぼっちの足に引っ掛かり尻餅をつく様に後ろに倒れたのだ。しかし転ぶことは無かった。後ろにはぼっちが居たからだ。胡坐の間に腰を落ち着け、ぼっちを背もたれにして座ってしまったのだ。

 まぁこれはこれで撫で易いかと判断してそのまま撫で始める。

 

 「・・・」

 「―――っ///」

 

 思いも寄らぬことでぼっちに抱きしめらているような体勢になった時点で嬉しさと興奮でパニック状態へと落ちていたナーベラルは優しく撫でられる事で天にも昇るような感覚に堕ちていった。

 背後にいる為にどんな表情になっているかは分からないが喜んでいるのは感覚で理解した。ナーベが持っていたメロンソーダのストローが丁度良い位置にあったのでそのまま飲むことにした。

 幸せそうにトロ顔を晒していたナーベラルだったが…

 

 「ぼっち様、失礼致します。領地で使用すると言う…」

 

 ノックをして部屋を開けたセバスと目が合った。撫でられている感触に気を取られすぎてノック音とぼっちの返事した事に気付かなかったのだ。

 ニ、三度ぼっちとナーベラルを交互に見つめたセバスは何か納得したような顔をして一歩下がり「失礼致しました」というと踵を返していった。

 

 「ち、違うのです!!」

 

 誤解された事を理解し慌てて飛び出し、ぼっちは理解できずにぼっちになる。

 この後バニー姿のナーベラルを目撃したアインズは経緯を聞いてぼっちを呼び出したのだった。ちなみにバニースーツはそのままナーベラルにあげた。

 




 前書きで書いたとおり三日に一話なので次は5月31日ですね。それと投稿時間を零時とさせて頂きます。
 30日の深夜。31日の早朝…ですかね。

 次回『ナザリックでのパーティ』
 お楽しみに

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