骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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最近、とあるゲームでランカー狙っているのと最新刊を読んでるのと三つの投稿しているものをほぼ同時に行なっている為に疲れが凄い…でも読みきった!!





第084話 「ぼっちとアインズとアルベド」

 時を刻む時計と文字を書き連ねる音が支配する空間でアインズは大きく息を吐き出した。

 この場には今日担当の一般メイドとアインズしか居ない。アルベドは休憩時間をとらせて休ませている。

 メイドに目を向けると微笑を返してくれる。毎日これだがあまり馴れそうに無い。たまには一人で気楽に過してみたいものだ。

 無理だと分かりつつ思ってしまう。今はアウラが築いた偽のナザリックに視察に向かったぼっちさんが羨ましく思ってしまう。自由気ままに行動できるぼっちさんを…

 

 「……!!…ちください…お待ちください!!」

 

 通路からアルベドらしき大声が部屋の中まで伝わってきた。ここまで騒がしいのは珍しい。少し微笑ましく思うがさすがにこのまま放置と言う訳にはいかないだろう。

 

 「騒がしいな」

 「確認いたします」

 

 呟いた一言にメイドは頷き扉を少し開けて外を覗く。その動作を見て資料へと視線を戻す。

 スパッ!!

 切り裂く音が耳に届くと同時にメイドが立っていた反対側の扉が無数のブロック体へと変化して崩れ落ちていった。

 何事かと顔を上げると顔の横に何かが通り過ぎた。ゆっくりと振り返るとそこには赤い投擲用の槍が後ろの壁に突き刺さっていた。驚きのあまり下顎が外れかける。

 赤い投擲用の槍。かのワールドアイテムの中で使用者と相手をデータごと削除する『ロンギヌスの槍』を模した課金アイテム。能力はワールドアイテムの模造品では無く聖遺物という一面でアンデットに大ダメージを与えれるアイテムとなっている。

 引き攣ったままドアに視線を向けると怒りのあまりに目は血走り、いつもなら能力で黒目に変化させている筈の目が赤々と輝くぼっちさんが立っていた。

 平然と立っていたメイドが腰を抜かして怯えた表情でぼっちとアインズを相互に見ていた。

 殺気だっていたぼっちは次にニッコリと微笑んだ。

 

 「モモンガサン。スコシハナシガアル」

 「あ、はい…」

 

 片言なのを突っ込む事無く頷くことしか出来なかった…

 

 

 

 数十分前…

 アウラの偽のナザリックを視察した後、アインズに報告する為に歩いていた。

 あの子の頑張りとパーティーの件を話そうと考えながら扉をノックしようとして手を止める。

 何故に執務室ではなくモモンガさんの私室の前に立っているのだろうか?

 ぼおっとし過ぎたかなと踵を返そうとした時、中に誰かが居る反応を感じた。

 なぁんだ、居るじゃないか。失礼しまーす。と心の中で呟くと扉を開ける。見渡したが誰も居なかった。もう一度気配を探ると寝室の方からあった。

 ゆっくりとドアノブを捻って中を覗くと多少の熱気と湿気が織り交ざった空気が出迎えてくれた。苦にもならない暗闇を睨み何かがベットの上で動いていたのを視認した。

 

 「・・・アルベド?」

 「ハッ!?ぼぼぼぼ、ぼっち様ぁ!?」

 

 慌ててシーツで露になっていた裸体を隠すアルベドにぼっちは疑問しか湧かなかった。

 

 「・・・何してる?」

 「いえ、そのぉ…」

 

 とりあえず裸のままでは駄目だと思い服を着替えるまで待ってから話を聞くことに…

 恥かしがって聞き取れにくい部分もあったが理解は出来た。彼女が何をどう思ってこうしていたか…理解した。

 

 「・・・理解した」

 

 とりあえず一言呟きながらアイテムボックスを弄って装備を変更する。

 

 「どうか私が何をしていたかはアインズ様にご内密にして頂けないでしょうか?」

 「・・・(コクン)」

 

 願いにも似た言葉に頷いたぼっちを見たアルベドはほっと胸を撫で下ろした。しかし疑問が残る。何故ぼっちは武装を展開しているのか?

 

 「ところで何故武装しているのでしょうか?」

 「・・・(ニコリ)モモンガさんのところに行って来る」

 「え!?す、少しお待ちを!!」

 

 勢い良く立ち上がりスタスタと歩いて行くぼっちに慌ててアルベドが何とか引き止めようとついて行く。

 これがアインズの執務室で槍が投げられる前に起った事である。

 

 

 

 時間は元に戻って数分後…

 メイドには外で待機してもらっている執務室の中央でアインズは正座させられ、向かい側にはぼっちとモミが見下ろすように対面していた。アルベドはアインズに申し訳なさそうな顔をして、ぼっちには殺意を込めた視線を向けていた。

 

 「アルベドの設定変えたのアインズさ―までしたよねぇ?」

 「ああ、その通りだ…です」

 「ダッタラアルベドヲホウチシテタノカナ?ソウイウシュコウナノデ?」

 「そんなつもりは!」

 「設定を歪めてしまった罪悪感から手を出せない?」

 「…はい」

 「アルベドハココロノソコカラノゾンデイルヨ。モモンガサンハアルベドキライ?」

 「キライな訳あるはず無いじゃないですか!!」

 「キライじゃない…てことは…」

 

 ぶつぶつと自分の世界に引き篭もるアルベドは別としてモミとぼっちはにっこりと笑う。

 

 「…じゃあアインズさまとアルベドのデートをここに提案しまーす」

 「・・・賛成」

 「デート!!アインズ様とデート!!くふううううう!!」

 「デート!?待ってください。いきなりそんな…」

 「ナニカ?」

 「…なんでもありません。分かりました」

 

 にっこりと微笑みながら刀の一部を鞘から抜こうとするぼっちに頷く事しか出来なかった。

 

 

 

 「で、これは?」

 「・・・衣装」

 

 黒いスーツと青いフード付きのコートを渡されたアインズは疑問を浮かべながらクローゼットを漁るぼっちを見つめる。他にもスライム系のアイテムを取り出して目立つ所に置く。息を付いてスライム系のアイテムを手に取り、アインズの顔に塗りたくる。

 

 「…もう少し違う服ないですか?」

 「フフクデモ?」

 「いいえ…まだ怒ってます?」

 「マッタク。モウスコシニタフクガアレバヨカッタンデスケドネ」

 

 訳の分からない事を呟いきながら負のオーラを撒き散らしている為にあまり触れないようにする。

 塗りたくられたスライムの色彩を変更して各部位を指定していく。徐々に幼い少年顔に黒髪の日本人の顔に仕上がっていく。しかし身長が合わない為に少し手を入れて青年まで成長した顔に変更していく。

 

 「・・・これを」

 「チケット…ですか?」

 「・・・モミから・・・男から誘うべき、と」

 「分かりました。…初めてだな…」

 「・・・?」

 「いえ、デートは初めてなもので…アドバイスとかあります?」 

 「・・・・・・」

 

 デート…年齢=彼女居ない暦のぼっちは頭をフル回転させる。もちろん二次元知識からであるが…

 兎も角少しでも役に立つのならと背中よりもう一本腕を生やして紙に書き込んでいく。

 

 「ぼっちさんはどうして私とアルベドをくっ付けたがるのですか?」

 「・・・くっ付けたいわけじゃない」

 

 手を止める事無く答えた。

 そうだ。無理にでもくっ付けたい訳じゃない。別に付き合わないのならそれはそれで良い。

 

 「・・・アルベドはモモンガさんを愛している・・・心の底から」

 「はい…」

 「貴方は答えなければならない。付き合うにしても・・・しなくても。貴方は答えを出さなければならない」

 「ぼっちさん…。そうですね。その通りですね。答えを出さないと…いけませんよねぇ」

 「別に・・・今日明日・・・じゃなくて・・・良い・・・」

 「ちょっと大丈夫ですか?」

 

 長く話した為に息切れを起こしたぼっちを心配するが手の動きで大丈夫だと伝えてくる。顔も完成したらしく姿見の鏡で見てみると中々良く出来ている。さすがに手馴れている。

 スライム種であるぼっちは物やモンスターなど見たことあるものはデータからコピーして姿を同じにするのだが成長した姿やアルカード伯爵などデータに無いオリジナルは自分で作り上げなければならないのだ。ゆえに今回の作業は馴れたものだった。

 服装を整えている内にぼっちは回復して立ち上がる。

 

 「・・・偽名は・・・サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ・ド・オルニエールで」

 「ながっ!!」

 

 デートの準備を整えたがすでに遅い時刻。日程を明日にして今日は明日に備えて休むのであった。なお、ぼっちは明日には王都に行く事になっている。

 




完全武装だから何事っと思った皆様へ。こんなオチでした。てことで次回はアルベトとのデートですよ。


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