久しぶりの更新です。何となくですが、もう少し文章力をあげたいと思うこのごろです。
補足ではありますが、けんぷwithアギトの世界観は他の平成ライダーとリンクしているという設定です。ディケイドとカブトは除きます。
美杉家
かつて津上翔一記憶喪失だった頃に滞在していた美杉教授の自宅である。ナツルと翔一は”先生”と呼んで慕っている。
少し前までナツルも居候していたが、自発的に翔一のレストランに押しかけていた為に今は不定期に帰省していた。
当然であるが、翔一の部屋、ナツルの部屋も存在する。帰宅したナツルは、美杉家に用意された自室で髪を下ろし寛いでいた。
「・・・・・・紅音ちゃん・・・・・・」
携帯で撮影した紅音の画像に目を向けて笑みを浮かべた。思い出すだけで心が暖かくなるのを感じる。
自分がアギトという”化け物”であるのにこうして受け入れてくれる人がいるという事でナツルは嬉しかった。
受け入れてくれたのは、此処にいる美杉家の人達、翔一さん達。少し前に知り合った”訳ありの友達”だけだった。
嬉しいのか、ナツルは近くにあった抱き枕を抱えて嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。
"トントン”
誰かが窓を叩いている。訝しげに窓の外を見るとそこには、ハラキリトラがたっていたのだ。
「ナツルさん。開けてください、今の季節、それなりに肌寒いので」
夜の闇に浮かぶ臓物アニマルという気味の悪い光景があった。
セイテツ学園
昨日の図書館の騒動から一夜が過ぎた。図書室は、現在封鎖されていて、生徒は一部を除いて使用することができない。
図書委員として紅音は被害にあった本などの処分やリストを作成していた。棚に至っては何かで切り裂かれたように斜めに走っていた。
「これ、どういう力で斬ればこんな風になるんでしょうか?」
けんぷファーの力は一般人を遥かに上回る。上には上がいるもので”アギト”、”アンノウン”という存在もいる。話によると”オルフェノク”というモノも・・・・・・
「オルフェノクって、単なる都市伝説じゃなかったんですね」
怪しいサイトに時々記事として載るだけの眉唾なものだったからだ。そういう自分もそのカテゴリーに属するものなのは良くわかっていた。
身近にこのような驚異的な力を持つ者が近くにいると思うと寒気がしてくる。いつ襲ってくるかわからない驚異は、物語のように異世界や悪の組織から送り込まれるのではなく身近に潜んでいるのだ。
”アンノウン”が爆発した影響も確認のため近くに向かう。そこで紅音はある人物を見かけた。
「三郷生徒会長?」
「あら、アナタは、三嶋 紅音さんだったかしら」
「はい。どうしたんですか?朝早くからこちらに・・・・・・」
「ええ、被害の状況を確認しに来たの。予算もそれなりに弾まないといけないみたいね。これは・・・」
苦笑しながら三郷生徒会長こと三郷雫は、図書館全体を見渡すべく二階フロアへ視線を向ける。
「失礼したわね。お勤め、お疲れ様」
紅音に労いの言葉をかけて二階フロアへと足を向けたのだった。その手には、2000年、2002年、2003年の記事を記載したファイルがあった・・・・・・
図書館を出て生徒会長室に戻った雫は、自身の執務机に図書館から持ち出したファイルに目を通す。
最初に目を通したのは、2000年に起こった”未確認生命体”によって引き起こされた事件。長野県 山中 九郎ヶ岳で発見された遺跡より復活した未確認生命体第0号によって調査団が殺害されたことが起こりである。
この事件は、様々な分野に衝撃を与えている。学会はもとより、未確認生命体の強大な戦闘能力に対抗できるための技術開発も盛んに行われるようになったのだ。
事件は、第4号なる存在と警察の協力により解決した。その第4号の写真に雫は目を通す。
(似ているわ・・・・・・あのアギトに・・・・・・敵に対して武器と姿を変えるところも)
最低でも5つの色の形態が確認されている。アギトは基本と思われる黄金、刀を持った赤、確認は出来ていないが、青のけんぷファーが叫んだ形態の三つがある。
雫は未確認生命体関連から2002年のファイルに記載された”不可能犯罪事件”、または”アンノウン事件”に目を通した。
これは未確認に似た生命体が現れ、それを”アギト”なる存在が警察が開発した”G3システム”と言う強化戦闘服と共に事件を解決した。
「G3システム・・・・・・装着者 氷川 誠。昨日の刑事ね」
まさかこの事件を経験した当事者が近くにいるとは思わなかった。アギトについては、未確認生命体関連事件の4号のようにほとんど公表されることがなかった。
写真や画像が圧倒的に少ない。アンノウンについて知ることが自身の背負う宿命”けんぷファー”の謎に近づくことではという考えがあった。
アンノウンは自分達 けんぷファーを目の敵にしている。今朝もカンデンヤマネコが別の場所で戦っていた青と赤のけんぷファーが纏めて”アンノウン”に倒されたと聞かされた。
自分たち”けんぷファー”に敵対する”アンノウン”の力は強大である。それに対抗するためにも知らなければならない。
「訪ねてみるしかないわね。この事件に関わった人達の所に・・・・・・」
ファイルを閉じ、雫は腕時計で時間を確認した後、教室へ向かうのだった。窓の向こうには、何処までも澄み切った青い空があった。雫の懸念を察することのない程に澄み切った・・・・・・
雲に隠れるように黒い翼を持った影が過ぎる・・・・・・
「・・・・・・kenpfer・・・・・・」
黒いカラスのような半獣半神は両腕の巨大な翼をはためかせた・・・・・・
昨日の騒ぎがあったとは思えない程、セイテツ学園は通常通り授業を行っていた。そんな中一人の生徒が授業中にも関わらず、学園の外へと出て行った。
三郷雫である。先程、教師に急用による早退を伝えて、ある場所へ向かおうとしていた。学園の近くに呼んでおいたタクシーに乗り、
「警視庁までお願いします」
タクシーは警視庁へと向かうのだった。雫の手首には赤のけんぷファーの証である腕輪が仄かに輝いていた・・・・・・この先の道中に起こる何かを予感させるように・・・・・・
警視庁
警視庁捜査一課のオフィスで昨日起こった事件の証言に氷川は目を通していた。
「まさか・・・・・・アンノウンがまた現れるなんて・・・・・・」
昨日のセイテツ学園での”未確認生命体”らしき存在による事件はアンノウンの仕業だった。当初、オルフェノクではないかと思われていたが、目撃者による怪物の特徴はアンノウンの特徴と合致するのだ。
オルフェノクの特徴は、体の色がグレー一色である。カラフルなオルフェノクというのはまず居ない。
オルフェノクによる事件は、過去にあった”スマートブレイン社”による組織的な犯罪援助が終わり、通り魔的な犯罪として現在も続いている。
(まさかと思いますが、アギトを・・・・・・それならもっと事件があっても・・・・・・)
アンノウンの仕業であるのなら、もっとそれらしい事件が発生してもおかしくないのだ。そういう事件は一切報告されていない。
「おい、氷川。お前ん所に学生さんが訪ねてきているぞ」
デスクに座って唸っている氷川に一人の刑事が声をかける。
「はい?僕にですか?」
「ああ、昨日の事件で聞きたいことがあるって、セイテツ学園の学生さんが」
「分かりました」
昨日の件では、自分も確認したいことがある。故に訪ねてきた学生 三郷雫の元へと向かうのだった。
「なるほど、昨日現れた未確認生命体らしきモノは、アンノウンに間違いないんですね」
氷川は画像の荒い写真を雫に見せる。そこには、不鮮明ではあるがジャガーに似た怪人が写っていた。
「はい。この怪人に間違いありません。それと・・・・・・アンノウンは私を助けてくれたもう一体を”アギト”と呼んでいました」
アギトという言葉に氷川は思わず黙ってしまった。昨日のアギトは自分のよく知っている人物だったからだ。
「刑事さん。アンノウンとは一体、なんですか?それにアギトとは・・・」
畳み掛けるように雫は、数年前にあった”不可能犯罪事件”の記事を見せる。そこにあった、”アギト”、”アンノウン”、”G3ユニット”の文字が強調されている。
「あなたは、過去にアンノウンとアギトと深く関わっていました。今回の事に何か関係しているのではないのですか?」
氷川も雫の明晰さには思わず唸ってしまった。たった一晩でこれだけのことを調べられるとは・・・・・・学生とは思えないほどの行動力と明晰さである。
「そうです。確かに僕はアンノウンと戦い、アギトとはそれなりに関わりあいがあります。ですが、アナタはそれを知ってどうするのですか?」
「興味があるからというというのは、ダメでしょうか?」
「興味本位で関わるべきではないです。このことは・・・・・・個人の興味本位で知っていい事ではありません」
アギトに関わる件は、数年が経っても氷川も戸惑う。特に今回の件では、自分のよく知っている知り合いを興味本位な目で見られるわけには行かない。
「そうですか・・・分かりました」
話を聞くのは難しいと雫は判断した。当時から情報はかなり規制されている。そういう風に進言、報告したのは此処にいる氷川の可能性が高い。
話が聞けるのではというのは、甘い見通しだったようである。心の内で軽く舌打ちをしてその場を後にする。氷川も氷川で雫に思うところがあったが、単なる学生の好奇心として自己完結し、自身の仕事へと戻った。
雫が警視庁の正面玄関に来た時、一人の刑事が彼女の前に現れた。
「失礼ですが、あなたは三郷雫さんでしょうか?」
「そうですが、あなたは?」
「はい。私は、北条 透といいます」
北条は自身の警察手帳を見せたあと、雫にとって全く予想だにしなかった質問を投げかけてきた。
「あなたは篠宮 多美子を覚えていますか?」
その言葉に信じられないような表情で北条を雫は見た。
同時刻
下校中の女生徒に近づく影があった。それは、金色の亀に似た異形であった。それは、陸生の亀をモチーフとした”トータス・ロード”
足元のアスファルトを液状化させ、水に潜るように二人に近づいていく。一般人なら気配すら感じることはできない能力で二人の足元に現れ引きずり込もうとするが・・・・・・
「あら、嫌ね。ロードの使いって意外と低俗なのね」
トータスロードに引きずり込まれる前にその女生徒は大きく飛翔し、近くの電柱に飛び乗った。鋭くなった目は自分を見上げる怪人を見る。
女生徒の名は・・・
「佐倉さん!!!!」
彼女の名前とともに銃声が響く。現れたのは同じ制服を着た女生徒 葛原である。その手には”赤”の腕輪があった。
佐倉楓を守るように勇ましく”トータス・ロード”の前に立ち、発砲する。発砲された銃弾はかつての”ジャガーロード”と同じく止まりそのまま砂となって消えた。
「なにっ!?!こ、こいつめ!!!」
目の前で起こったことが信じられないのか、さらに発砲を行う葛原だった。だが、トータスロードに通じることなく、目の前で再び地面に溶け込み消滅した。
その光景を佐倉楓は瞬きせずに観察していた。足元では葛原が焦り、周囲をしきりに警戒しているが、足元に近づく波に気がついていない。
「まったく。せっかく私が目をかけてあげたのに本当に出来が悪いわね。最近の娘たちは・・・・・・」
笑みを浮かべ、電柱から飛び降り、右手に光を灯らせ強烈なムチを葛原を引き込まんと飛び出したトータス・ロードのその首に叩きつけた。
衝撃によりトータスロードは後方に下がったが、対したダメージは受けていない。
「葛原。あなたは下がっていなさい」
「わ、私も・・・・・・」
「いいわ。私がアレを処理するから、あなたはそこで待っていなさい」
笑みを浮かべながら前に出る楓を葛原は憧れの人を見るような熱い視線を向けた。彼女からするとこの光景は白馬の王子様のような展開らしい・・・・・・
トータスロードは見た目の通り防御力に優れており、佐倉楓の攻撃をモノともしていなかった。
「ウフフ・・・・・・ロードの使いと” ”どっちが強いのかしら?」
両手に日本刀を構え、佐倉楓はトータスロードに果敢に切り込んだ。その動きは、三嶋 紅音と比べて、さらに速く、正確に相手の急所を突いていた。
「guuuuuuuuッ!!」
自らの重量を生かした突進を仕掛けるトータス・ロード。佐倉楓はしなやかな動きでこれを回避する。女性特有の身軽さに一般人を遥かに上回る力を持っている”けんぷファー”であるが、アンノウンの方がそれを上回っていた。
佐倉楓は直接攻撃を喰らわないように攻撃を回避し、左手に強烈な閃光を輝かせたと同時にトータスロードの首の根元に当てたと同時に巨大な爆発音が辺り一帯に響き渡った。
爆風とともに勢いよく何かが飛び出す。それは、トータスロードの首であり、それは光の輪を出しながら、消滅した。
「まったく、こういう戦いばかりだとこっちが先に倒れてしまうわね」
爆風の跡に残っていた佐倉楓の手は大きく欠損していた。自身が出した出血と皮膚すら裂けた己の身体を一瞥し、
「この身体は、明日には”痛み”も忘れているでしょうね」
微笑みながら、反対側からこっちに向かってくる葛原に視線を向けた。
「対抗するための楯をなんとかしないと・・・・・・この身体も守ってほしいですからね」
「やっぱり気になります。アンノウンが何故、あの場に現れたのか・・・・・・」
もう一度、三郷雫と話すべく氷川はデスクの資料を一旦まとめてオフィスを出るのだった。オフィスを出た氷川はある人物と久しぶりの再開を果たす。
「おや、氷川警部じゃないですか?あの頃と同じく仕事熱心なことだ」
「ほ、北条警部補・・・・・・」
あの頃、互いに対立しながらも時には協力した奇妙な同僚と数年ぶりに再会することとなった。
「何か、事件があったのですか?」
「はい・・・・・・これをここで話すのもなんですが、アンノウンが姿を現したそうです」
「アンノウンがですか?でもそれは、捜査一課の仕事ではなく、G5ユニットの管轄と言いたいところですが、ここ最近は多発する事件に手一杯だとか」
G5ーユニット
不可能犯罪事件で対アンノウン対策として第一線を活躍した特殊戦闘用強化メタルアーマー G3”ジェネレーション 3”の発展型である。
多発する未確認生命体に類似する驚異に対抗する警察組織の防衛用として用いられている。近年では、”オルフェノク事件”、”アンデッド事件”等で活躍している。
それを指揮しているのは尾室 隆弘 かつて氷川と共にG3ユニットのメンバーとして共にアンノウンと戦っていた。
「それは僕達の知らないことがあまりにも多すぎるのではと思います。僕だって、今もあの頃の事は完璧に理解したとは思えませんから」
「それには同意しますよ。今回もまた我々の知らない世界が挑戦してきたようですし」
そう言って北条は手に持っていた紙袋からある”ぬいぐるみ”を取り出した。それを見た氷川は思わず顔をしかめてしまった。
そのぬいぐるみは、可愛いというよりも気味が悪かった。デフォルメにされた死体という言葉がよく似合っている。それは所謂”臓物アニマル”と言われる一部熱狂的なファンを持つシリーズである。
「このぬいぐるみをここ最近、奇妙な出来事があった場所で見かけたことはありますか?」
「そんな気味の悪いぬいぐるみ。一度見たら、忘れられませんよ。なんなんですか?それは・・・・・・」
「いえ、特になんでもありません。ただ、誰も信じることはできないかもしれませんが、私は確かに”彼女”と一緒にいました」
”失礼します”と言って北条は氷川とすれ違うようにオフィスへと入っていった。
「彼女もまだ倒れていなかったとは・・・・・・あなたの教育が良かったんですかね。篠宮さん」
北条は先ほど出会った三郷雫を脳裏に浮かべた・・・