sonic.exe ~the unknown story~ 作:トラちゃん
ソニックは慌てて、アリスの部屋へ向かった。
シャドウに言われたとおり、彼女の部屋までは五分近くかかった。
ついさっき見たアリスは、勿論ソニックほど速くは走れない。
では距離の問題かというと、実際そうでは無かった。
理屈に合わないこの事象を、彼は全く飲み込めていなかった。
「着いたぞ。入るのなら入れ」
こぢんまりとしたアリスの部屋では、まさにソニックが数日前に見たような光景が繰り広げられていた。
しかし、今回も傷つけられていたかというと、そうではなかった。
彼女は顔面蒼白で、一台のベッドの上に横になっていた。
そのベッドの周りは、たくさんの研究員や医者で固められていた。
ソニックは何をすればよいのか分からないまま、立ち尽くしていた。
「アリス……!」
ソニックは、端から見ればあまりにも様子が普通ではなかったようで、シャドウに声を掛けられた。
「何をそんなに驚いているんだ?」
「オレは…さっきまで、アリスと一緒にいたんだ…」
これには、さすがのシャドウも心配になったようだった。
「…事情を聞こう。 今の彼女に僕たちが成せる術は無い。 研究員たちに任せるだけだ」
「その、オレは… 一時間前に、ここに来たんだ。 アリスと、オマエの様子を見にな」
「…それからすぐ、アリスの部屋へ向かおうとしたのか?」
「そうだ。 だがオレは、その道中でアリスに呼び止められた」
シャドウの顔に疑問の色が浮かぶ。
「何故だ? 彼女がいる筈は…」
「でも、オレは確かにアリスを見た。 そのあと、アイツが『もう回復した』って言ったから、オレはアイツと軽く十五分ぐらい遊んでいたんだ」
「…だが、彼女は…」
ソニックは やるせなさから、ついに大声をあげてしまった。
「いたんだよ! オレは本当に見たんだ! アイツと一緒にいたんだ! …それなのに、意識が無いなんて……」
彼の語気からして、シャドウが疑う余地も無かった。
シャドウは静かに言った。
「普通なら、まずありえない…と言いたいところだが、どうやらそうでは無さそうだな」
「シャドウ…」
「いつもの彼女と、君が会ったときの彼女で、何か違うところは無かったか?」
違うところ、と言われて、ソニックははっきりと思い出した。
「アイツは…靴も、靴下も履いていなかった。 それに、髪に付けていたリボンも無かったな」
そうか、とシャドウは頷いて、アリスを見た。
「今ここにいる彼女も、同じだな」
確かに、今ベッドに横たわっている彼女もリボンを付けていなかったし、靴も見当たらなかった。
「…! 本当だ…」
…じゃあここから、アリスは来たんだな……
彼がそう考えた矢先に、シャドウが口を挟んだ。
「…彼女は、いきなりここで意識を失ったんじゃない」
「…え? じゃあ、どこだよ?」
「マザーコンピュータ室だ」