sonic.exe ~the unknown story~ 作:トラちゃん
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_____unknown world_____
誰も思いつかなかった。
誰も想像できなかった。
誰も考えられなかった。
…世界を駆けた英雄が、若くしてこの世から去るなどという事が。
テイルスは、小さな部屋の前にいた。
「……エミー、入ってもいいかな?」
「……別に、いいわよ」
その部屋の中には、少し前までとは全く違い、「元気」の「げ」の字も見当たらなくなってしまったエミーが、幾冊もの分厚い本を広げ、うつむいていた。
「お茶と…お菓子持ってきたよ。皆は今外でお茶してるけど、本当に行かなくていいの?」
「…ほっといて。今はそんな場合じゃないんだから」
そう言うなり、彼女は本の中の一冊を無心に読み始めた。
その本には、よく分からない文字がびっしりと埋められていた。
「…分かったよ。 ところで、その本は何について書かれてあるの? ボクには難しくてよく分からないんだけど」
「…これ? これはね、黒魔術の本よ」
一瞬、テイルスは自分の耳を疑った。
「くっ、黒魔術!? 聞いた事ないよ! …っていうか、何でそんな本読んでるの?」
「…アタシ、まだ諦められないの」
「え?」
彼女は涙を静かに溢し始めた。
本に涙が染み込むのも構わずに。
「だって、だって… こんな早くにいなくなっちゃうなんて…、絶対おかしいじゃない! 皆もそう思ってる筈よ…」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 確かにソニックがいなくなったから悲しいのは分かるけどさ、何でそれが黒魔術につながるの?」
言われて、エミーは本の一ページをテイルスに開けてみせた。
「これよ。 …『此の世から去りし魂を、彼の世から再び招き入れる魔術』。 …アタシ、これやろうって決めたの」
そう言うと、彼女は切ない笑みを浮かべた。
「それって…、まさかソニックを生き返らせるっていうこと!? いくら何でも無茶だよ!」
…そもそも、ソニックがこの世から去ってしまったのには、到底理解はできないが、ちゃんとした理由がある。
ある日突然、カオスエメラルドが暴走し、町や森を次々に焼き払った。
マスターエメラルドでも暴走を阻止することはできなかった。むしろ、マスターエメラルド自体が暴走を引き起こしていた。
その昔、ナックルズ族のマスターエメラルドへの侵攻があった時に、族長の娘と、チャオの変異体である『カオス』がナックルズ族のほとんどを族長もろともマスターエメラルドに封印した。
その時に封印されたナックルズ族の族員たちの怨念が残っており、長い年月をかけて力を増していった。
その怨念がマスターエメラルドやカオスエメラルドを動かし、破壊行動をさせたという。
そしてエメラルドが暴走した時に、マスターエメラルドは『一人、贄を捧げれば許そう』と告げた。
…そして、名乗りを上げたのが、ソニックだった。
…テイルスは、心の奥底では『ソニックにまた会いたい』という気持ちが募っていた。
しかし何となく、その魔術が危険であると感じていた。
「いいの。もし仮に失敗しても、その結果をちゃんと受け入れるわ。 だから一度だけ……試させてほしいの」
とめどなく涙を流すエミーを見ていると、テイルスは胸の張り裂ける思いがした。
…一度だけ、か。
… それでもし、ソニックにもう一度会えるんだったら、いいかな。
「…そうだね。一度だけ、やってみようか」