sonic.exe ~the unknown story~ 作:トラちゃん
ソニックは、最初は声すら出せなかった。
『彼』は、まさに自分そのものだった。
…テイルスやエミーのように、血に染まっているような違いはあるけれども。
「…。 オマエか…… 兼ねてから話は聞いてたぜ」
不思議なことに、今のソニックには、恐怖心も何も無かった。
知人と、いつもどおりに話しているような感じがしていた。
ソニックはその感覚が実に奇妙なものだと分かって、思わず笑いそうになってしまったが、堪えた。
「まあ……酷いことになってるな。 不思議だよ。 …オレがこんな事をしてるなんてな」
【 オレ…って、ぼくの事? 】
意外にも、『彼』は容姿の判断がついていないようだった。
「あぁ? そうだよ。 他に誰がいるってんだ?」
【 これ…まさか、きみの……? 】
「オレそのものだよ。 …あれ? そういやオマエ、オレの代わりにでもなるんじゃないのか? 何で分かんないんだよ?」
【 そうか これはきみの『コピー』なんだね 】
『彼』は不敵に笑った。
「な、何だよ……」
【 今、ここできみがいなくなったら、ぼくは外に出られるんだ 】
「…だから、出て何を……うわっ!」
彼の声が叫び声になってしまったのは、『彼』に確実に狙いを定められてしまったからだった。
【 全部、ぼくのものになるんだよ すごいと思わないかい? 】
血の矢のようなものが次々に降ってくる。
それがあまりにも美しくて、彼は見とれてしまいそうになった。
あの時の感情とはまた別のものが、彼の中に起こりそうだった。
いやに躍動している炎の渦も、
目障りな電子たちの舞も、
辺りに散る血の華でさえも。
変だが、何故か全てが懐かしいような気がした。
…『彼』は……もしかしたら、本当のオレそのものだったのかもしれない……
…でも、少し違う。
…でも……、この懐かしい感じは何なんだ……?
彼は、どのくらいまともに攻撃を喰らったのかも分からなくなった。
彼が酷い痛みによって、やっと正気に戻った時には、彼はすでに動けなくなっていた。
『彼』が歩み寄ってきた。
…どうやら、とどめをさすつもりらしかった。
「オマエは……何なんだ。 オレも……自分すら何なのかは分からない」
【 やっぱり、ぼくときみは同じなんだね 】
「…オマエ…」
そして『彼』は、無邪気に笑ってからこう言った。
【 同じものは、二つもいらないよね 】
ソニックは、全ての終わりを覚った。
…オレは、ここで終わるのか……!
彼は、涙も出なくなっていた。
不意に、何かが倒れ込む音がした。
彼が目を開くと、そこに倒れていたのは、『彼』だった。
「…!? お、おい……?」
「いやぁ、すっかり遅くなっちゃってごめんね……で、いいのかな?」
テイルスの声をやや軽くしたようなトーンの声が響いた。
「…お、オマエは……!」
それは、またもや若干の血に染まっていた、一体の人形だった。
「久しぶり。 元気にしてたかな?」
テイルスドールだった。