sonic.exe ~the unknown story~ 作:トラちゃん
「そうか、じゃあアリスは…… わざわざオレ達に会いに来るために、戻らせてもらえたんだな」
「そういうこと! …分かった? 君は、こいつに会わせるために、アリスを戻してあげてたんだよ」
『彼』は、事情がうまく呑み込めていないようだった。
【 そうだったの? アリス、きみは…またこいつに会いたかったの? 】
『そうですわ。 …じゃなきゃ何だっていうんですの? 彼、私にとても沢山の事を教えてくれたんですのよ』
アリスに褒められて、ソニックは照れてしまった。
褒められたのは二回目だった。
…これで最後になるかもしれない。
『私が見られないもの、見ようとしても見られなかったもの… 数えたらキリがありませんわ』
「アリス…!」
アリスは、『彼』の前にそっと屈みこんだ。
『だから、私は彼に会いたかったんですの。 お礼を言うために』
『彼』は、動かなくなってしまった。
『…あの……?』
【 いらない、そんな世界 】
『…え?』
彼らには、『彼』が微かに震えているように見えた。
【 そんな綺麗なことばっかりの世界なんて、 …要らないんだよ!」
『彼』の言葉の最後辺りが、急に活気を帯びていたので、彼らは驚いた。
「ま、まさか…! 君は、ソニックでしょ? よく術を破れたもんだね! …今更抵抗したって無駄だと思うよ」
「この身体は元々オレの物なんだよ。 …オレが動かして当然だろ?」
『彼』はソニックを睨みつけた。
「オマエか、本物は。 …オレが本物になってもいいんだけどな」
「何をそんなにカッカしてんだ? オマエは色々あって、一度死んでただろ。 何か未練でもあるのかよ?」
霊の時の『彼』よりも、『彼』は更に邪悪な笑みを浮かべた。
「オレは、マスターエメラルドに生贄にされて魂を抜かれた。 そんで、マスターエメラルドの中で、先に封印された奴らの話を聞いたんだよ。 …この世界はなんて酷いんだ、ってな」
「な…それは、君が騙されてるんじゃないの? どこが酷いんだよ!?」
「決まってるだろ。 …生物は一度しか生きられない。 大事な、限りある時間を持って、どいつも生きてるんだ。 …それなのに」
『彼』は、手元にあった花を掴んだ。
…すると、その花は、すぐに枯れてしまった。
「何で、すぐにその時間を絶たれるヤツがいっぱいいるんだ? 理不尽だろ。 …大事な時間なのに」
『それは、この世界のしきたりのようなモノよ!』
「何が『しきたり』だ? まあいい。 …それで、オレは考えた。 そんなに時間を奪われるヤツがいっぱいいるんなら、そもそもそんな事が溢れている世界を潰せばいい、ってな」
ソニックは、『彼』の狂気に気押されてしまいそうになった。
「ふざけるな! そうしたら、オレ達がいる理由もなくなっちまうだろ? …生きるために時間を与えられたのに。 それこそ、意味がないじゃないか!」
『彼』は、彼を嘲笑した。
「呑気でいいな、オマエは。 …世界の終わりでも見ない限り、そんなことは分からないよ 】
また、『彼』から活気が失せてしまった。
「要するに、狙いが一致したってことだったんだね。 ああ、びっくりした」
【 だから、あの世界は消さないといけない 】
【 その為には、ぼくがきみにならなくちゃ、ね 】