sonic.exe ~the unknown story~ 作:トラちゃん
それから数日が経った。
エミーの提案で、『魔術』を使う時には仲間達全員に立ち会ってもらうことになった。
…そして、ちょうど今日がその日だった。
エミーは相変わらず元気が無いようだったが、少しだけ希望を持ち始めたらしく、かなり意気込んでいた。
仲間達も『魔術』を使うことに賛成したようだったが、テイルスはまだ心の奥に何か引っ掛かるものを感じていた。
「本当に…やるの?」
「当たり前じゃない! 何のためにアタシが今まで頑張ってきたっていうの?」
「エミーの頑張りは認めるよ。 だけどさ、本当にやっていいことなのかな、それって…」
やっていいこと、と聞いて、エミーは一瞬戸惑いの表情を浮かべた。
「やっていいこと、って…どういう事?」
「その、なんていうか…、 ソニックがいなくなったのは、運命みたいなもののせいじゃないかって…」
そこまで言われて、エミーは珍しく語気を荒げた。
「…あんなに早くいなくなるのが、ソニックの運命だったって言うの!?」
「違うよ、そうじゃなくて…」
「じゃあ何?」
「…運命って、ボクらには力がないから、変えることは難しくて、もし無理矢理ボクらがそれを変えようとしたら、運命に逆らったってことになるでしょ?」
「…そうよ。 酷い運命に逆らって、何が悪いっていうの?」
「…なんか、天罰とか、報復みたいなのを受けるような気がするんだ。 『眠っている者は無理矢理起こしてはならない』っていうような意味の言葉、急に思い出しちゃって…」
「…何よ、アンタ、もしかして怖がっちゃってるの?」
テイルスは必死に説明したはずだったのに、エミーにはテイルスは単なる怖がりだと受け取られてしまったようだった。
「え、だから、そうじゃなくて…」
「分かってるわよ。 アタシに黒魔術なんて似あいっこないから怖いんでしょ? でも心配しないで。 …アタシの思いはきっと届くはずだわ」
「…エミー…」
「さ、ぐずぐずしてないで、行くわよ! 皆はもう来てると思うわ。 肝心のアタシが遅れちゃったら、恥ずかしいもんね」
テイルスには何となく分かっていた。
エミーも心の底では怖がっている。
しかし、恐怖だの何だのと気にしていたら、いつまで経っても、心の傷は癒えないだろう。
…早く悲しみから抜け出して、また笑顔で過ごしたいのだろう。
分からなくもない。
でも、もし…
もし、失敗してしまったら…
…怖い。怖くて想像もつかない。
希望と恐怖がせめぎあって、自分は一体何を思っているのかすら、薄れて分からなくなってしまう。
…エミーもきっと同じ気持ちなんだな…。
「ちょっとぉ、いい加減にしてよね! 行くわよ。遅れないでよね」
「…うん」
貼り付けたような青空の下の丘を、二人は下っていった。