オラリオにて女神との平穏を求めるのは間違っていた 作:じーくとるふぉ
「こんにちは、勇者さん」
「こんにちは、執事」
ティアは一人でフィン・ディムナと対峙していた。
「おや、一人で来たのか」
ティアに聞いたのは部屋の隅にいたリヴェリアだった。
リヴェリアの声音はどこか申し訳なさそうな低い声だった。
「はい、連れは皆"人酔い"してしまいまして外で"休憩中"ですよ」
「休憩?外は騒がしいようだが...まあ聞くのも野暮か」
「私は一対二で戦うんですか」
ティアは内心焦っていた。オラリオ屈指の実力者二人を相手などいくら最初から力を"借りなくては"勝てないではないかと、しかし返ってきた答えはティアの想像していない言葉だった。
「いや、リヴェリアは戦いには参加しないよ」
「何故?」
そう言う勇者の言葉を聞いたティアは頭上にクエスチョンマークを浮かべる。
するとリヴェリアはまたもや申し訳なさそうにすると勇者が説明を始めた。
「君のスキルを教えてもらう引き換えにリヴェリアには不戦になってもらったんだ」
「なるほど...リヴェリアさん、気に病むことはないですよ」
「本当にすまない」
そう頭を下げるリヴェリアにティアは会釈してフィンを見る。
「君の強さの秘訣、理解させてもらったよ。スキル、『正義は私』自分が正しければ正しいほど力を増す...恐ろしいスキルだよ」
「確かに恐いですね」
ティアはフィンの言葉に頷く。
「怒りに身を任せるのは悪かな?」
「狂乱者に正義などないと思いますよ」
その言葉にフィンは満足気に頷く、ティアはこの質問の意味を理解していた。
次にフィンが発する言葉も。
「君は自分の主神に恋愛感情を持っているみたいだが...わかっているのかい?」
「何を?」
「叶わないことをだよ、人の子と神は結ばれない...子も儲けられないし必ず人の方が先に死ぬ...それを知っているのかい?」
これは自分に対しての挑発行為、と一応は受けとっていたティアたがその顔には怒りの表情が見えない。
それを見て少し焦りを感じるフィン、これではことの通りに行かない...聞いた話だと女神のことになると人が変わると聞いていたのだ。
しかも聡明なリヴェリアから聞いた話、リヴェリアが嘘をつくとは思えない。
すると閉じていたティアの口が開かれた。
「あなたは視野が狭いですね、勇者さん...私はエウルアレのためなら命を捨てられるし生き永らえることもできる」
「そんな馬鹿な...人間が意のままに寿命を延ばすことなんてーーー」
ティアの細い長方形をした眼鏡が光り、フィンの間違いを指摘するように声が冷たくなる。
「それです、世の中なんでもありだ...神もいるし魔法もある。でもーーー」
ティアの口元が緩む。
「ーーー小人族が信じていたフィオナ様はいませんでしたけどね」
フィンはこの時わかっていた、自分が逆に乗せられてしまった、と...だが同時にここで撤回させなければ小人族として失格だ。と。
「さて、人の恋路を邪魔しようとするのはいけませんね...主神に恋する人からすればあなたは悪だ。それに怒りに身を任せるのも良くないです」
フィンが武器を構えるとティアはまるで詠唱のように独り言を言っていた。
そしてーーー
「正義と平等は我に有り!...ですかね」
ーーー"数年ぶり"に鞄を開けることを決めたティアは鞄を上に放り上げる。
すると鞄は地に落ちることは無く空中に浮かんだままその中身が露わとなった。
その鞄の正体はヘファイストスが作った最高傑作、その中身は...『アテナ同盟壊滅』にて"持ち主を失った"全ての武器だった。
リヴェリアはその数に言葉を失っていた。
しかもティアは手にとり攻撃を流すために、或いはそれを投擲するという器用な戦いをしている。
短剣、大剣、槍、その他特注の武器などの武器がティアの周りを漂っている。
しかしティアは全ての武器の扱い方を知っているかのように投げるもの、防ぐものと使い分けていた。
(当てる気はない、けど勝ちます)
全ての武器を弾かれてもティアには勝ち筋が見えていた。
全てはティアの計画通りに進んでいた。
フィンはスキルで強化されたティアにも勝てる自信はあったし、どれだけ武器がきても凌げる自信はあった、だが隙がなかった。
フィンは攻めあぐねていた。
守ることはできるが、攻めることは許されない状況...勝ち筋が見えてこない、しかし距離はある。なら今から考えばいい。
少しずつ冷静になりつつあるフィン、考えようとした瞬間、ティアはフィンに向かってでは無く真上に槍を投げた。
上に視線を一瞬とられたと気付いた時にはティアは高速で近づいてくる。
(これは...アイズの!)
そう、先程のアイズとの戦いで得た技をティアは使った。
再現度は中々のもの、速さは少しだけ遅い程度のものだったので本物とは見分けがつかない程だった。
(くっ!でも、防げる!)
フィンは槍を前に構え守りの体制をとるが体に衝撃はこない、代わりにフィンの足元を衝撃が襲った。
(なに!?)
剣を振ると思わせてティアは柄の部分で地面を叩く、すると地面はフィンを囲むようにひび割れしていきフィンの足場を無くす。
そしてフィンの落ちた場所は何も無い空洞、あるとしたらーーー
(まずいーーー)
ーーー水の通り道くらいか。
特殊条件、水に肩以上浸かる。
逃げようとした時には既に水は目の前まで来ていてフィンに無理だということを悟らせた。
嗚呼、これでファミリアもお終いか、そんなことを思いながら差し伸べられたティアの手を取り、再び同じ地上に足をつけた。
会場では歓声が鳴り止まない。
『勝利したのはエウルアレファミリアーーー!!!』
実況のアナウンスによって更に歓声は大きくなりロキファミリアにかけていた大勢の人と神は泣き叫び、エウルアレファミリアにかけていた少数の人と神は歓喜していた。
どうも、じーくとるふぉです。お久しぶりでございます...さて皆さん、毎度毎度のガチャ報告でありますがやはりピックアップは当たらない。実は僕、ピックアップされた時にそのキャラを当てたことがありません。
もう自慢の域です。
それではまたお会いしましょう