黒い鳥の居場所   作:elf5242

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依頼人 レジスタンス連合

依頼内容
我らの拠点がある荒地で管理局陸戦部隊とAGSの魔道式パワードスーツ部隊が睨み合っている。このままでは次の大型の作戦に支障が出る恐れがある。如何にかしてこの二つの部隊を撃破してくれ。



迷子の迷子の黒い鳥

「聞こえてる?ミッションを確認する。前方に二つの部隊がいる。一つは時空管理局陸戦部隊、もう一つはAGSの魔導式パワードスーツ部隊。両部隊の睨み合いは三日前から。依頼はこのどちらかに攻撃を仕掛けて戦端を開き、そのあと両部隊を全滅させる。」

 

荒地を飛ぶヘリ。その中に女性の声が響いている。ハッチの目の前にいるのはマントで全身を隠した人物。

 

「私達が与えられた情報は…………これで全部。」

 

「ハッハッハッ!なんだそりゃ!?

毎度毎度、ロクでもないな!それもご時世か?使い捨ての傭兵の。」

 

女性の声が響いた後は、ガラガラの声の男の声が響く。

 

「少しは静かにして、ファットマン。仕事する気あるの?」

 

「マギー。俺はもう、いつ運び屋を辞めるか、それしか頭に考えてない」

 

ファットマンと呼ばれた男は笑いながらそう答えると、マギーと呼ばれた女がすぐさま溜息を吐き、呟く。

 

「はぁ…………じゃあそれは明日にして。今日は仕事がある」

 

「役にも立たない天気予報の話だと、明日は雨らしい。辞めるのは雲一つない晴れた日って決めてる」

 

「…………速度上げ、低空で突入、管理局部隊側後方に投下後、すぐさま上昇して離脱、デバイスの起動準備!」

 

ヘリのハッチが開く。マンとの人物はなんのためらいもなく、開いたハッチへ、飛び降りていった。

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

『生体認証確認。システム起動』

 

管理局部隊の数キロ後方に降り、自身のデバイスを確認する。子機のフルカスタムされた銃型のストレージデバイスと親機のバイザー型のストレージデバイス。魔法はほとんど使えない。念話と飛行魔法、そして物体に魔力を込める付加魔法が多少使えるくらいで、他には何も使えなかった。

 

『システム、スキャンモード』

 

親機のバイザー型ストレージデバイスの機能『スキャンモード』を起動する。全ての障害物を透視し、熱源反応と相手の影を探知する。

 

『システム、戦闘モード』

 

一気に視界に色がつき始め、思考と同時にクリアになる。足に魔力を付加して一気に駆け抜ける。

 

『先ずは、どっちかに攻撃して。話はそれから』

 

マギーと呼ばれた女の声が耳に響く。それに言葉ではなく行動で返事を返す。マントの中から両腕を出す。両手には子機であるストレージデバイス。一つは右手に持つ突撃型ライフル、もう一つは左手に持つ三つの銃口を持つオートキャノン。数人いる相手の内、ランダムに複数人をロックオン。目測で突撃型ライフルをばら撒く。

 

「て、敵襲!?」

 

「ま、真後ろから!?」

 

「よく分からねぇが好機だ!全員仕掛けろ!」

 

突然の攻撃に管理局部隊が混乱、AGSのパワードスーツ部隊が管理局部隊に戦闘を仕掛ける。AGSが仕掛けたことにより冷静になった何人かの管理局部隊が応戦する。

 

『よし、戦端は開いた。後は動くやつ全員を撃破して。そういう依頼だから』

 

その声が聞こえた瞬間、足に魔力を付加して跳躍。落下しながらオートキャノンを数人に発射する。

 

「いってぇ!?テメェ!」

 

オートキャノンが直撃したパワードスーツ部隊の一人が反撃とばかりにアームパンチで殴りかかる。パイルバンカー機構を持つそれは当たればダメージは計り知れない。が、マントの一枚目剥ぎ取り、それを相手の腕に巻きつける。

 

「なんだと!?」

 

僅かな動揺が生まれた隙に、相手の頭部に突撃型ライフルの銃口をねじ込み、魔力を付加した弾丸を撃ち込む。それは自動発動の防御魔法を貫通し相手の頭を貫く。

 

「し、質量兵器!?」

 

「ちげぇよ!普通の弾丸に魔力を付与して弾殻にしてんだよ!プロテクション張る時は複数枚張れ!」

 

一部始終を見ていた管理局部隊の複数人が防御魔法を複数枚張り始める。

 

『厄介ね。如何するの?』

 

マギーの質問にもやはり答えずに行動で示した。オートキャノンをマントの中にしまう。代わりにマントの中から蒸気の抜けるような音が聞こえるそして左腕についていたのは銃身が根元から折り畳まれている大口径の"スナイパーキャノン"。

 

『システム、スキャンモード』

 

システムをスキャンモードに切り替える。建物内に数人の影が見える。

 

『システム、戦闘モード』

 

それを確認するとその建物にスナイパーキャノンを撃ち込む。大口径弾を撃ち込まれた建物は轟音を立てて崩れ、中にいたパワードスーツ部隊を複数人巻き込む。

 

「や、野郎やりやがったな!」

 

パワードスーツ部隊が集中攻撃をかける。魔力駆動のミサイルなどが殺到する。突撃型ライフルをマントの中に戻す。またマントの中から蒸気の抜けるような音が聞こえる。そしてマントの中から出したのは"ガトリングガン"。それを後手に持ってばら撒きながら、スナイパーキャノンの砲口で管理局部隊をけん制する。

 

「魔力を付与してようと相手は質量兵器持ちだ!手加減はするな!」

 

管理局部隊も狙いをAGSとマントの人物に定め、魔力弾を撃ち始める。

 

『システム、スキャンモード』

 

ミサイルや誘導弾を全て撃墜した後、システムをスキャンモードに切り替える。近くの大岩の上に管理局部隊の一人が此方を砲撃魔法で狙っているのが見える。スキャンモードで魔力反応が上がっているのが目に見えてわかる。

 

『システム、戦闘モード』

 

それを確認するとシステムを戦闘モードに切り替え、スナイパーキャノンで大岩の過重がかかっている部分を狙う。そんなところを狙われれば、大岩とて容易く崩れる。案の定上にいた管理局部隊の一人は大岩の崩壊に巻き込まれる。

 

『敵反応残り約半数。』

 

マギーのその声が聞こえるな否や、最初の突撃型ライフルとオートキャノンに切り替え、跳躍。打ち合いの真っ只中に無理やり体を回しながら勢いを殺さずに着地、突撃型ライフルとオートキャノンの乱射する。

 

「こ、このっ!?」

 

管理局部隊の一人が苦し紛れに撃った魔力弾が肩をかする。視界の端に『warning』の文字が見える

 

『左腕、残弾残り30%』

 

バイザー型の親機デバイスから残弾の警告が聞こえる。その声が聞こえると同時に視界の端にパワードスーツ部隊を捉え、オートキャノンの残弾を撃ち尽くす。

 

『左腕、残弾無し。パージ及び子機登録を削除します。』

 

その声が終わると同時にオートキャノンがその場に投げ捨てられる。その後に、マントからガトリングガンを取り出し、突撃型ライフルと共に前後左右に乱射する。

 

「くそっ!この犯罪者が!」

 

管理局部隊の一人がデバイスで直接殴りにかかる。どうやら、手甲型のアームドデバイスらしく、魔力を纏わせ殴りかかる。それをマントで受け流し、突撃型ライフルをこめかみに突きつけそのまま引き金を引く。

 

「ち、チキショーォ!」

 

最後に残ったパワードスーツ部隊の一人が特攻してくる。魔力バッテリーを暴走させているのか、魔力反応が著しく高かった。それに対して、足に魔力を付加して踏み出しこちらも高速移動、相手の手前で軽く飛び、胸に向けて魔力を付加した膝の装甲で膝蹴りを撃ち込む。最後の一人が、数回痙攣を起こした後、倒れ爆発する。

 

『スキャン完了、敵影、魔力反応はない。』

 

『いつも通り、レポートは依頼元に送信しておくから。お疲れさま。』

 

ファットマンのガラガラ声とマギーの高い声が聞こえると同時にヘリがハッチを開きながらこちらに降りてくる。足に魔力を付加して跳躍、素早くハッチの中に入ると。

 

『どういう話だったのか、結局何もわからんかったな。それもいつも通りか。』

 

『今のやり方はそういうものでしょ?知らなくていいことは知らなくていい、なにひとつ。』

 

『そういうのが気に入らんのだろ?マギー。お前が彼奴と同じところにいた時から』

 

『次の仕事がある…………帰りましょう』

 

そんな他愛もない会話を聞きながら立て膝で静かに眠っていた。

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