黒い鳥の居場所   作:elf5242

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運命とうまく付き合っていくならきっと

「あ、レイヴンさん」

 

エリオは外のベンチにて寝ているレイヴンを発見する。

 

(疲れてるのかな…………でもこんなところで寝てたら風邪引くし…………)

 

エリオはレイヴンの元へ近づく。そして異変に気付く。

 

「レイヴン…………さん…………!?」

 

レイヴンの近くに来て初めてエリオは理解した。デバイスであるバイザーはつけたまま寝ているので、分からないが、顔色を悪くして震えており、歯は剥き出して食い縛り、手は頭を抱え、体は小さく丸めている。

 

「レイヴンさん!?レイヴンさん!?」

 

エリオはレイヴンを揺する。反応がないとわかるとデバイスの通信機能でシャマルとの通信を開く。

 

『エリオ?如何したの?』

 

「シャマル先生!レイヴンさんが!?」

 

レイヴンにとっての長い悪夢が既に始まっていた。

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

『どうした…………立て、まだ終わってなどいない』

 

男に向けてブレードを振るう。男はそれを難なく避け、眉間にライフルを突きつけ、撃つ。

 

「…………っ!」

 

撃たれた衝撃を殺しきれず仰け反るが、左手のマシンガンを乱射する。その弾丸は全て男には当たらず、明後日の方向に飛んでいく。男はゆっくりと歩いて距離を詰め、鳩尾に膝蹴りを撃ち込む。

 

「…………っ!?」

 

そして、蹴り飛ばされ地面を転がり、数メートル離れたところでようやく止まる。

 

「がはっ…………!ゲホッ!ゴホッ!」

 

ブレードを取り落とした手で僅かに体を持ち上げた後、激しく咳き込み、赤の混じった胃液を吐き出す。そして、男が近寄り、服の首あたりを掴み無理やり立たせる。

 

『立て、それともここで無様に死ぬか?』

 

男はそのまま放り投げる。軋む体ともつれそうな脚を無理やり制御して思い切り踏み込み、男に膝蹴りを撃ち込む。

 

『そうだ…………戦え。私達にはそれ以外は無い』

 

膝蹴りを片手で受け止めた男は、足を掴み、そのまま背中から地面に叩きつける。肺の中を全て吐き出し、喀血する。

 

『出血量はまだ致死量では無い、続けるぞ』

 

男はそのまままた脇腹に蹴りを入れ、蹴り飛ばす。蹴り飛ばされると同時に意識を無理矢理覚醒させる。そして、体勢を立て直し、獣のような低い姿勢から向かっていく。そして、右腕の格納レーザーブレードを取り出し、足下を攻撃する。男は、それに対して、持っている手ごとブレードを踏みつけるという選択肢をとる。そして銃床を肩に叩きつける。

 

「…………っ!?」

 

叩きつけられた肩からゴキリ、という音が聞こえ、一拍遅れて激痛、さらに一拍遅れて、右腕全体に脱力感が襲う。

 

『脆いな、もしや魔力切れか…………脆弱者が…………下らん』

 

折れた肩を踏み躙る。苦痛に顔を歪ませ目を閉じるがその隙に折れた肩を蹴られる。

 

『どうした…………古代ベルカの伝承の様に、黒い鳥になりたいのだろう?なら、私を黒く焼き尽くして見せろ。その弾丸で私の眉間を撃ち抜いて見せろ、そのブレードで私の心臓を貫いて見せろ。その足で、私の命を砕いて見せろ』

 

その言葉を言いながら男はゆっくりと近づいていく。その言葉を聞きながら、左手でハンガーのライフルを手に取り構える。そして引き金を引く。弾丸を回避される。そして接近される。足元にKEミサイルを撃ち、礫を拡散させる。視界を塞いだ後に、ライフルを撃ちながら移動。落としたブレードを拾い上げる。

 

「…………ッ!!!!!!」

 

完璧な背後からの一撃。延髄を狙った横一線。ブレードの刃は男の延髄に直撃コースで振るわれ…………。

 

『遅い、そんな事では死神一人殺せんぞ』

 

男にブレードの峰を掴まれ止められる。そして、男の蹴りが胸部に直撃、肉が潰れ骨が砕ける嫌な音が響き、同時に再び喀血。男はブレードを左に持つとゆっくりと近づいていく。

 

『貴様の剣戟はなってない。本物の剣戟とはこうだ』

 

そして首を掴み持ち上げるとブレードで横一線に薙ぎはらう。そして、顔の真鍮線に沿って横一文字が刻まれる。

 

「…………っ!」

 

顔から、鮮血が流れる。その痛みに耐えながら歯を食いしばり男を睨む。

 

『そうだ…………憎め、恨め、怒れ。それすらも戦いで黒く焼き尽くす。』

 

ブレードを口にくわえ、開いた手でレーザーブレードを持つ。そして飛びかかったところで場面が暗転し、切り替わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

 

 

『R、調子はどうだい?』

 

支給されたバイザー型のデバイスから声が聞こえる。

 

「…………良好…………」

 

聞こえた声に端的に答える。そして武装を選択する。右手にバトルライフル、左手にはヒートホイザーと呼ばれる拡散榴弾砲、左右のハンガーには室内戦を意識し、二本の物理ブレードが装備されている。

 

『それは良かった…………君の■■■■としての初めての仕事だ…………君のみが黒い鳥だということを僕に証明して見せてくれ』

 

「…………」

 

そして黒とワインレッドのカラーリングのヘリから飛び降りる。そして眼下に見える建物。"ネスト"と呼ばれる傭兵達の溜まり場。そこにヒートホイザーを撃ち込んで穴を開け中に侵入する。

 

『目的はわかっているだろう?旧世代の遺物…………それの排除だ、ああ、中の傭兵も全員始末していいよ?目撃者は潰さないといけないからねぇ。ま、一応Dをそっちに向かわせてるからさ。』

 

「了解」

 

『それじゃ、また後で』

 

通信を切る。周りにはそれぞれのセルデバイスを起動した古い傭兵達。火炎放射器や旧式のライフル、マシンガンなどを構えている。そしてヒートホイザーを投げつけ、ライフルで撃ち、誘爆させる。

 

「うわっ!?」

 

爆炎と爆煙で視界がふさがれる。そして、数人の首が飛び、数人の風通しが良くなる。狭い施設内はほぼ阿鼻叫喚の地獄画図となっている。

 

『ネスト、と言ってもこんな程度か…………期待した僕が馬鹿だったみたいだね、Rに弾丸一つもかすらせることが出来ないとは』

 

何処かで見ているのか、先ほどの男の声が聞こえる。

 

『それら酷というものではないか、財団』

 

すると低い女の声が響く。そして、目の前に双剣を持ったライオンのエンブレム、どうやら通信に割り込んできているようだ。

 

『Kか、君も気になるのかな?』

 

『知らん、私は任務が終了したから暇つぶしに見に来ただけだ』

 

『ふーん、まあ見てなよ。面白いことになってるからさ』

 

通信を聞きながら、殲滅に集中する。弾の切れたライフルはとうの昔にパージ、今は物理ブレード二刀流で喉笛を切り裂き、心臓を貫き、胴体を削ぎ落とす。手足の切断は当然の如く1、2本は切り落とす。

 

『見てみなよ、仮にもあの歳まで生きてた傭兵どもがまるでボロ雑巾だ』

 

『Jにあれだけやられたのだ、これくらい出来ない方が可笑しい』

 

『ま、その通りだね。おや、Dが到着したようだ』

 

入り口が勢いよく開かれ…………否、消し飛ばされると、そこには重火器を持った男が入ってくる。背後にはバトルライフルとガトリングガンを持った人型の機械が四機ほど男に従うように入っている。

 

『どうやら骨折り損だったようだな、無事か?』

 

「問題ない」

 

その方向を見ようともせず、取り敢えず首を絞めていた最後の1人の喉をブレードを突き刺して終わらせる。

 

『もう貴様も死神入門というわけか。』

 

Dは建物のさらに奥に進むと、手にしている重火器であらゆる物を破壊していく。

 

『さて、あとはここの奥の物を壊すだけだ。行くぞ』

 

「了解」

 

そして、数分後にその建物は地下から崩れ落ちた。そしてまた、場面は切り替わる。

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

『さあ、一度、巣立ちの時だ。』

 

聞こえてくる声のみに耳を傾ける。頭にはヘッドギアが被せられ、身体は合金製の鉄の椅子に拘束されている。

 

『ああ、そうだ。それは君の物だから君にあげるよ。君が2年間…………いや、三年だったか…………■■として活動した時に使っていたセルデバイス。後は、このJから預かったプレート。これを君に残しておくよ』

 

ヘッドギアで視界が遮られているため、見えないが確実に何かをこちらへ見せようとしているのは感じ取る。

 

『それじゃ、少しの間さよならだ』

 

ガチャン、と何かレバーの下すような音が聞こえると一拍遅れて頭に激痛が走り始める。そして段々と視界が暗くなっていく。そして。

 

『この子…………ファットマン!手を貸して!』

 

 

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

 

唐突に夢から覚め、目を開ける。服装はいつもの緑色のタンクトップと迷彩柄の作業ズボンではなく、病院の患者が身につける患者服。

 

『おはようございます、メインシステム、マスターデータの認証を開始します。』

 

どうやらバイザーをつけたまま寝ていたらしく、目の前ではデバイスの機動シーケンスが進められている。

 

『メインシステム、マスターデータの認証を完了しました。これより作戦行動を再開、あなたの帰還を歓迎します。』

 

そしてバイザーを取る。身体は汗でじっとりと湿っており、身体は少し動かせば節々が僅かに痛む。そして、頭の奥では僅かに頭痛が生じている。

 

「あ、起きたんですね!レイヴンさん!」

 

「よ、良かったです!」

 

ベッドの横では赤毛の少年、エリオと小さな空飛ぶトカゲを連れた桃色の髪の少女、キャロが起きた様子を見て安堵している。

 

「調子はどう?」

 

そして奥から、医務官のシャマルが出てくる。そして周りを見渡す。

 

「ああ…………はい。」

 

そしてシャマルから鉛筆とスケッチブックを受け取るとサラサラと鉛筆を走らせる。

 

『ご心配をお掛けしました、問題ありません』

 

「ほ、本当に大丈夫ですか?普通じゃない魘され方でしたけど…………」

 

『大丈夫、問題無い』

 

そしてベッドから降りるとバイザー型の親機デバイスを掴み、そのままスタスタと医務室を出て行く。

 

「お、起きたな。」

 

「大丈夫?レイヴン。」

 

『はい、問題ありません。ご心配をお掛けしました』

 

廊下ではなのはとヴィータが話していた。おそらくフォワード陣営の事だろう。そしてこちらに気づいて話してくる。

 

「辛くなったら言ってね?」

 

「無理すんじゃねーぞ?」

 

『ありがとうございます』

 

そしてそのまま屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで?首尾はどうや?リイン。」

 

「はいです、この前シャマルさんが妨害された逆探知を私がちょっと変わったやり方でやったです」

 

「変わったやり方?」

 

「はいです、逆探知を妨害してきた魔法を逆探知、さらにそれを妨害してきた魔法を逆探知、と繰り返して場所をやっとこさ特定したです!」

 

「流石や!そんで、妨害魔法は何処からだったん?」

 

「建物の何階などの詳しい位置情報は分かりませんでしたが…………座標は特定できたです。これです。」

 

リインフォースが巨大ディスプレイに結果を移す。そして、はやてがそこを険しい顔で見つめる。そこは、ある組織の建物だった。

 

「『財団』…………!」

 

 

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