黒い鳥の居場所   作:elf5242

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自分が落ちて行く場所を探してる

「クソッ、クソッ、クソッ!!!」

 

機動六課隊舎から、少し離れた木々に囲まれた広場、障害物になる物は何も無く、その中央では、二つの影が切り結んでいる。両方ともバイザー型の親機を付けている。両者の装甲のカラーリングは黒とワインレッド。そして、武装はレーザーブレード、ショットガン、パルスマシンガン、ヒートロケット。違いは身長とその口元に浮かべる表情だろう。一方は歯をむき出しにして食いしばり、もう一方は何も浮かんではいない。

 

「たかだか…………傭兵にぃ!!!!」

 

やけくそになりつつもレーザーブレードを振るう。それを合わせてレーザーブレードを振るう。使っているものは全く同じ。しばらく押しあった後に、左手のショットガンを脚に撃ち込み、体勢を崩す。そこに腹部に蹴りを放って吹き飛ばす。

 

『す、凄い…………あの死神部隊の一人を圧倒してる…………!』

 

瓦礫の山から起き上がってきたのを狙い、ヒートロケットを撃ち込む。それは相手のショットガンで撃墜され無効化される、が、爆煙から、足の装甲が視界に移り、そのまま顔面に直撃する。そして、もう一回顔面を踏みつけられ、距離を取られる。

 

「クソッ…………必ず殺してる…………!」

 

死神部隊の一人、Nは思い返していた。どうしてこのような事態になったのか。

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

事の初めは一時間前のことである。財団の情報をもとに、機動六課の隊舎の警備が薄く、なおかつ、ターゲットであるレイヴンが隊舎内に待機している日を狙い撃ちで襲撃する。それにジェイルスカリエッティの、ガジェット・ドローン、ナンバーズ、ゼスト・グランガイツの襲撃が重なったのだ。

 

「どうせ今回の奴も俺が殺す。そして、Jも俺が殺す。俺だけが死神なんだ」

 

Nは死神部隊のパーソナルカラーである黒とワインレッドでカラーリングされた自身のセルデバイスである『R.I.P.3/N』を装着する。装甲が胸部、手足に装着され、手にはショットガンとレーザーブレード、ハンガーにはパルスマシンガン、肩にはヒートロケットが装備されている。そして、スキャンモードで機動六課隊舎を見る。丁度ガジェットが隊舎を襲撃している。

 

「あいつか…………」

 

そして一際目立つ人物。自分と同じ黒とワインレッドのカラーリングの装甲とバイザー型の親機、そして両手の物理ブレードで次々とガジェットを撃破していく。そして、三機の大型ガジェットを物の数秒で撃破する。

 

「行くか…………」

 

そして、目の前に着地できるように計算して思い切り飛び上がる。自分は死神だ、いや、自分だけが死神だ。今まで同じようなやつを27人殺して来た。殺してきた数だけ糧にしてきた。

 

「お前で28人目」

 

そしてこいつもこれから俺の糧となる、Nはそう確信を持ち、それを確実のものとするために、目の前の敵に相対する。

 

「恐れるな、死ぬ時間が来ただけだ」

 

そして己の手のレーザーブレードを振り上げながら、地を蹴って加速した。

 

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

そしてこのザマである。

 

「クソッ!クソッ!」

 

レーザーブレードを闇雲に振り回す。それは何故か悉く回避され、受け流され、弾かれる。そしてカウンターが来る。その度に相手の斬撃が、銃撃が、蹴りが己の装甲を傷つける。

 

「何でだ…………俺は!死神だぞ!?」

 

ショットガンを構え、弾が切れるまで乱射する。が、その弾は全て明後日の方向に飛んでいく。そして先程まで自分の糧になる筈だった敵はゆっくりとはっきりとした足取りでこちらとの距離を確実に詰めてくる。

 

「来るな…………来るなぁぁぁぁ!!!!」

 

後ろに下がりながらヒートロケット、パルスマシンガン、現在持てる射撃武器を撃ちながら、距離を離していく。だが、相手はまるで蛇のように弾幕の中を抜けてくる。パルスマシンガンの弾丸を紙一重で回避し、ヒートロケットはレーザーブレードで切り裂いて撃墜、そして、ショットガンを投げ捨て此方に手を伸ばしてくる。

 

「お、お前は…………お前はいったい何者だ!?があっ!?」

 

相当な加速が付いていたのだろう、バイザー型の親機ごと顔面を掴まれるとそのまま地面に叩きつけられ、数メートル引き摺られる。

 

「(なんだ!?こいつは一体なんだ!?こいつは普通であって普通じゃない、なんだ…………いろんな奴が、混ざり合って…………!?)」

 

そして何も操作していないにも関わらず、バイザー型の親機が勝手にスキャンモードになる。そして、Nは目を見開いた。

必ず、傭兵には自分を示すためにエンブレムを設定する。死神部隊の場合、統一性のために武器を持った獅子、と言うのがパーソナルエンブレムになっている。Nの場合はハルバードを持った3本尾の獅子。そしてNが目撃したのは、両手にカタールを持った尾のない獅子。

 

「ま、まさか…………貴様…………死神…………!?」

 

そして、Nの放った言葉はそれで最後だった。

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

「あっはっはっ!見なよ"J"!あの"N"がまるでボロ雑巾じゃないか!」

 

財団が大袈裟に手を叩きながら、Nの最後を眺めていた。

 

『あの小僧では、当然の結果だろう。それともこの程度予測できなかったのか?財団』

 

「いやいや、気分を損ねたのなら謝るよ、J。別に君のところの隊員を侮辱したわけじゃあ無いんだ。唯、あまりにも面白いからつい笑ってしまっただけなんだ。」

 

『それで…………私を呼び出した理由は何だ?』

 

「ああ、そうだ。"ラインの乙女"達を知らないかい?少し目を離した隙に何処かへ行ってしまったんだ。」

 

『あの様な人形共に今更何の意味がある?』

 

「いやぁ?別にもう僕はどうでもいいんだけどさ?彼女たちがもし彼のところに行ったとしたら、どうなると思う?」

 

『…………全て計算尽くか、財団。』

 

「知らないなぁ、僕は"たまたま"目を離して、彼女たちが"たまたま"抜け出しただけさ。僕は何の干渉もしていない。」

 

『…………ふん、下らんな』

 

そして剣を持ったグリフォンのエンブレムが消える。

 

「さあ、古代ベルカの時の記憶を持った時、彼は一体どうするのかな?まあ、必ずここに来るとは思うけどね」

 

財団が目線を写した先には、厳重に保管されたバイザーが鎮座していた。

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

目の前には自分と同じカラーリングの装甲で、ハルバードを持った獅子のエンブレムを持った男の首無し死体が転がっている。頭は首から数センチ先に転がっており、その表情は目を見開いたまま固まっている。

 

『死神部隊相手に、良くやったわ。お疲れ様』

 

戦闘中、全く聞こえていなかったがマギーがヘリから声をかける。もちろんファットマンもいる。

 

『今回はお手柄だ。これで無闇に死ぬ奴が数人減ったんだからな。』

 

『帰投しましょう。被害状況の確認を急がないと…………』

 

そしてヘリが反転して隊舎の方へ飛んでいく。それに続いて、移動しようとした時、周りが白黒の世界に包まれる。

 

『…………っ!?やられた!ファットマン!反転して!』

 

『熱源反応接近!三つだ!クソッタレ!』

 

『聞こえる!?応答しなさい!』

 

それを最後にマギーたちの声が聞こえなくなる。そして周りが灰色の靄の様なもので覆われる。

 

『システム、スキャンモード』

 

状況把握を優先し、スキャンモードを起動、周りの索敵を開始する。するとすぐに索敵圏内に三つの反応が引っかかる。

 

『システム、戦闘モード』

 

すぐさま戦闘モードに切り替えて、辺りを警戒する。つい先程死神の一人を仕留めたばかり、消耗してるのは此方。状況は明らかに不利一辺倒。通信が繋がらなければ新たな武装を送ってもらうこともかなわない。レーザーブレードを持つ手がじんわりと湿ってくるのを感じながら敵が視認できる距離まで近づいてくるのを待つ。

 

『ターゲット確認』

 

耳でそう聞こえた瞬間に、上空から爆発性の誘導弾が多数飛来、そのまま蹂躙爆撃のように周辺を爆炎で覆っていく。

 

『ダメージを受けています。回避して下さい』

 

爆炎をもろに浴び、爆風の余波でさえこのダメージ。そして周りに漂う煙が晴れると、反応の一つが姿をあらわす。自分と同じぐらいの身長、自分と少し違う黒と明るい赤のカラーリングの装甲。背部の大型ユニット。装甲と同じ色の赤い髪、そして、顔全てを覆うラインセンサーの一本入ったバイザー。

 

「『システムチェック…………終了。オールグリーン』」

 

女の人の声と男の声のマシンボイスの混じった声でそう言うと、左手首の下側の装甲からレーザーブレードが伸びる。その様子を視認すると同時にレーザーブレードを構える。ショットガンは隔離空間の外、空いた手にハンガーのパルスマシンガンを装備する。そして、見た目通り巨大な大型ユニットのブースターを活かした高速接近で此方に肉薄、レーザーブレードを振り下ろしてくる。そしてこちらのレーザーブレードとぶつかり、エネルギー同士が相殺し合う嫌な音が聞こえる。

 

「『目標の第一項目、チェック終了。第二項目判定開始』」

 

そして相手の右手からガシャン、という嫌な音が聞こえると、腹部に電磁パルス弾が連続して打ち込まれる。その痛みに耐えながらパルスマシンガンを相手に撃ち込む。相手はそれをバックフリップでパルスマシンガンを回避しつつ、此方に電磁パルス弾を撃ち込み続ける。

 

『ダメージを受けています、回避して下さい』

 

バイザー型の親機から、警告が鳴る。それを聞きつつ、横に移動し電磁パルス弾を回避、牽制でヒートロケットを撃ち込む。相手がそれを電磁パルス弾で迎撃、お返しとばかりに左手を振るうとレーザーブレードのエネルギーが射出されそれがそのまま飛んでくる。それを足に魔力を付加した跳躍で回避する。

 

『多重ロックオンされています』

 

警告が来たその瞬間に、背部の大型ユニットから六芒星の魔法陣が展開、最初に襲ってきた魔力弾が垂直発射され、雨あられのように襲ってくる。それをなるべく避けれるものは避け、避けられないものはレーザーブレードやパルスマシンガンで迎撃していく。

 

「『第二項目、チェック終了。第二段階へ移行』」

 

そして相手はそのまま灰色の靄の中へ消え去る。と同時に今度は背後から多数の魔力レーザーが襲ってくる。

 

「『第二段階移行確認、メインフェイズを実行します』」

 

次に現れたのは、銀髪に青い瞳、先程とは違う漆黒の装甲と形の違う大型バックユニット、頭に装備されているのはバイザーではなくヘッドギア。そして足は細くハイヒール状になっている。そして、右手にライフル。左手にブレードを装備している。

 

「『メインフェイズ、開始』」

 

レーザーライフルから正確無比の射撃が飛んでくる。誘導射撃や予測射撃、ありとあらゆる射撃技能を駆使して、こちらの機動力を制限、一発一発を確実に当ててくる。このままではジリ貧と判断し、意を決して突貫する。そしてレーザーブレードをそのまま下段から走らせ、切り上げる。相手もレーザーブレードを展開し、そのまま下段と上段の押し合いになる。

 

『エネルギー、残り30%』

 

その警告を聞くと素早く切り返して離れる。そのタイミングでレーザーライフルがパルスマシンガンに直撃、右腕の装甲ごと爆発する。内心で舌打ちをしつつ、回避に専念する。すると、相手のバックユニットから四機ほどの小型ユニットが射出される。そしてそれも六芒星の魔法陣を展開し、魔力レーザーを放つ。それが手足の装甲を掠める。

 

『深刻なダメージを受けています。回避して下さい』

 

警告が一段と激しくなる。深刻なダメージなのは見てわかる。が、残る武装はレーザーブレードと、弾数の心もとないヒートロケットのみ。あとは何時ものように魔力を付加した脚部装甲による蹴りのみ。状況は最悪すぎた。悩む隙も与えないかのごとくレーザーが飛んでくる。それを跳躍して回避、下半身に魔力を付加して最大の脚力で空気を蹴って加速しながら、レーザーブレードを振るう。当然相手もレーザーブレードで受け止める。が、動きの止まったところを小型ユニットが雨あられのようにレーザーを撃ち込んでくる。

 

「…………ッ!」

 

装甲を次々と傷つけて行くそれらを耐えながら、相手との鍔迫り合いに意識を割く。相手の青い瞳はこちらを無機質に見つめながら、こちらとの鍔迫り合いを続けている。そして、その拮抗はすぐに崩れた。

至近距離でヒートロケットを撃ち込んでやる。

 

『肩部、残弾30%』

 

そしてわずかに体制が崩れた瞬間を狙い、魔力を脚に付加し、踏み込んで加速、蹴りを撃ち込む。金属同士がぶつかる重苦しい音が聞こえると同時に相手が吹き飛ぶ。そしてすぐさま、バックユニットを器用に操作し空中で体勢を立て直し、上昇。こちらを見下ろす。

 

「『メインフェイズ、最終段階へ移行。』」

 

どうやら戦闘はまだ続くらしい。相手は最初の相手と同じように灰色の靄の中に消えていく。そして背後から数発の銃弾が撃ち込まれる。

 

「『最終段階へ移行を確認。後は貴方次第です。レイヴン』」

 

右足で地面を蹴り、前に進んで距離を取り敵を視界に入れる。

真っ白な髪に真っ白な目、そして真っ白な装甲。両手に持つライフルすら白い。

 

「『メインフェイズ、最終段階を開始します』」

 

その声と共に相手は、先ほどの二人を上回るスピードでその場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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