黒い鳥の居場所   作:elf5242

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傷つけて揺れるしかできない

「レイヴンとも連絡が…………!」

 

はやては仮拠点としているアースラの中で歯噛みしていた。ジェイル・スカリエッティの戦闘機人の襲撃と重なるようにして起きた死神部隊の強襲。さらにはガジェットドローンとUNACによる体調陣営の封じ込み。そしてギンガ・ナカジマと機動六課で保護した少女、ヴィヴィオの誘拐、全てが後手後手に回ってしまっていた。

 

『ハヤテ・ヤガミ。聞こえる?』

 

そこに通信が入る。相手はマグノリア・カーチス。

 

「カーチスさん!レイヴンはどうなんですか!?」

 

『…………ええ、でも大分、様子は変わってるわよ?』

 

「…………どう言うことですか?」

 

『自分で見た方が早いと思う。』

 

マギーがレイヴンを映すように、サーチャーを向ける。

 

『…………誰や?』

 

「あの子よ。だから言ったでしょ?だいぶ様子は変わってるって」

 

『…………ちょっと待ってな?』

 

はやては棚から胃薬を取り出し一粒飲んだ後に、アースラから転移した。

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

「はやてちゃん!」

 

「どないしたん?」

 

はやてが機動六課隊舎跡地に転移すると、そこにフェイトが走ってくる。

 

「レ、レイヴンが真っ白で、穴が空いてて羽が生えて…………あー、もう!と、とにかく来て!」

 

「ちょっ、ちょっと待っ…………!」

 

フェイトははやてを見つけると、説明をしようとするが上手く説明できず諦め、有無を言わさずはやての手を引っ張っていく。

 

「い、一体どないしたん?」

 

「よ、よく分からない、けど、レイヴンが真っ白になってるの!?」

 

「まっ、真っ白?」

 

そして問題の場所に着く。すると。

 

「…………本当に真っ白や」

 

えぐり取られたかのように綺麗に円形に形成されたクレーター。その中心に、目を回して倒れている赤髪の少女、そして、服も髪も瞳も装甲も真っ白に染まったレイヴンがいた。

 

「…………」

 

なのはやフェイトを含め、隊長陣、副隊長陣営があっけにとられていた。勿論外見もだが驚いたのは各デバイスがスキャンして計測した魔力量だった。

 

「な、なんでこんな急に増えてるの?」

 

「へ、下手したらSSぐらいあるよ?」

 

「まさかここまで化けるとは…………」

 

「バケモンかこいつ…………いやバケモンだ。」

 

これが各々の反応である。そしてレイヴンのいるクレーターから光が発せられると、レイヴンから何かが飛び出し人形を形成する。レイヴンは何時もの黒色に戻っている。そしてレイヴンは装甲を解除し、バイザーを外すと膝に手を突き大きく息切れする。

 

「やはり、少し早かったようですね。申し訳ありません。主人様」

 

そばに現れたのはレイヴンと対極の真っ白い少女。整った顔立ちにライトグレーの瞳と、純白の髪、キメの細かい白い肌。そして、体に装着された白い装甲。

 

「セレ」

 

「はい、フィオナ姉様」

 

そしてクレーターの中心にレイヴンと似たような銀髪に青い瞳の真っ黒いセーラー服に似た服装の少女が降りてくる。そしてフィオナ、と呼ばれた少女はセレと呼んだ少女に目で促す。セレは軽く頷くと、未だ目を回して倒れている赤と黒の装甲の少女を踏み付ける。

 

「がふっ!?」

 

「もう自己修復は完了しているでしょう?早く起きて下さい。ラナ。」

 

「いってててて…………踏む事無いじゃんかセレ姉…………」

 

踏みつけられたラナと呼ばれた少女が踏みつけられた腹部を摩りながら、体を起こす。同時に装甲も消え去り、そこにはティアナより一回り小さい少女が立っている。

 

「にしても…………アサルトアーマーまでやるとか酷くねぇ?フィオナ姉?」

 

「勝手に乱入して暴走した貴方が悪いのです。反省なさい。」

 

「あーあ、なんかどっと疲れた」

 

その場にへたり込むラナ。そして、フィオナがなのは達を見つけると軽くお辞儀をする。

 

「皆様の疑問にお答えいたします。私達は初代黒い鳥の融合機"ラインの乙女"。"メイデン"のフィオナ・イェルネフェルトです。」

 

「"ラインの乙女"、"アイビス"のセレ・クロワール。」

 

「はぁ、"ラインの乙女"、"セラフ"のラナ・ニールセンだ!」

 

それぞれ三人が自己紹介をし終わった後に、レイヴンの前に跪く。

 

「ずっとこの時を待っておりました。貴方に会えるこの時を。たとえ記憶が無くとも、本人でなくとも、私達融合機の本能で感じます。貴方が黒い鳥だと。試すような真似をお許し下さい。」

 

そして三人が立つ。顔には出してはいないが、レイヴンも幾分か困惑している。

 

「本当ならば、今すぐにでも御記憶を取り戻していただきたいところ…………しかし、今はラインアークも御座いません、なら、私達はあなたに従います。何処までも。」

 

ラインの乙女、フィオナ・イェルネフェルトの顔はまるで恋い焦がれ待ちわびた人にあったかのような顔だった。

 

「んで、ご主人よぉ。」

 

しばらくした後に口開いたラナ。その目はあるものを睨みつけている。視線の先にあるのはレイヴンの手にあるバイザー型のセルデバイスの親機。

 

「何時までそんなの使ってんだ。おめえもだ、セルデバイス。テメェがセルデバイスのフリしてんのは分かってんだよ!」

 

レイヴンの反応速度を少しばかり上回り、そのままバイザー型の親機を引っ手繰る。

 

「はあっ!」

 

そして地面に叩きつけた後に、踏み付ける。当然の如くバイザーは粉々に砕け散る。

 

「い、いきなり何を!?」

 

「うっせぇ!魔導師!少しばかり静かにしてろ!」

 

すると粉々に砕け散ったバイザーの部品がフレームを中心に集まり始める。そして元のバイザーの形に組み上がると、ひびを修復しはじめる。

 

「セルデバイスにこんな機能はないはず…………」

 

「こいつら相手なら本体をハッキングされない限り、騙し通せたんだろうが、私らにあったのが運の尽きだったな。」

 

ラナがバイザーを拾い上げる。そして、今にももう一度壊しそうな雰囲気を放ちながら、バイザーに向かって話す。

 

「そろそろ、正体表したらどうだ?なんなら無限にテメェを破壊し続けても良いんだぜ?」

 

『…………ふう、仕方がありませんね』

 

そしてバイザーから聞こえてきたマシンボイス。つまりそれはこのデバイスにAIが搭載されたいることを意味する。

 

「漸く出やがったか。よくもまあ今までご主人達を騙し抜けたもんだ」

 

『見抜けなかった貴方方が無能なだけなのでは?』

 

バイザーから発せられるマシンボイスは淡々とラナと話している。そしてそこに新たなマシンボイスが追加される。

 

『お話し中に失礼を。私はレイジングハートと申します。あなたに幾つか質問があります。答えていただけますか?』

 

なのはのインテリジェントデバイス、レイジングハートが質問を投げかける。

 

『いいでしょう、おそらくこの事も財団の手の内でしょうから。それで、何が聞きたいのです?』

 

『まず一つ目、貴方のデバイスとしても分類は?』

 

『そもそも貴方方の基準に当てはめても例えようがないのですが…………まあ仕方ありません。そうですね、貴方方の基準にで言えば、私はインテリジェントデバイスということになるのでしょう。』

 

『二つ目、あなたの目的は?』

 

『それは財団に聞いてください。どうせこれも見ておられるのですから』

 

『…………三つ目、貴方のデバイスとしての名前は?』

 

その質問がきた瞬間にしばらくの空白が訪れる。そして。

 

『…………そうですね、名前と言えるのかどうか分かりませんが"R.I.P.5/R"。正式な名称はこう呼ばれています。』

 

『最後に一つだけ…………死神部隊と彼、レイヴンとの関係は?』

 

『…………ああ、その程度のことですか。彼は元死神部隊の5番目。Rと呼ばれていました。そして、高町なのは。貴方を撃墜しようとしたガジェットを排除し、貴方を撃墜したのは彼です。』

 

その瞬間に機動六課全員が固まる。それでもインテリジェントデバイス"R.I.P.5/R"は淡々と続ける。

 

『ああ、あとラインの乙女。あなたがたに財団から一言。"ホワイト・グリント"は僕のところにあるよ?取りに来たければ取りに来るといい、だそうです。』

 

「うぜぇ…………もう喋んな!」

 

ラナが腕からレーザーブレードを伸ばし、R.I.P.5/Rを両断、その残骸を放り投げそれに向かって、グレネードを撃ち込み消滅させる。

 

「…………あ、あの…………レイヴン…………」

 

フェイトがレイヴンに近づこうとした時。素早くレイヴンが後ろに飛び、距離を開ける。そしてフィオナを見つめる。フィオナもそれを察したようで、レイヴンの背後に回る。

 

『ユニゾン・イン』

 

フィオナがユニゾンし、レイヴンは素早く中に浮くと、そのままタワーの方向に向かっていった。

 

「セレ姉。」

 

「行きますよ、ラナ」

 

「…………」

 

その場にいる全員、マギーやファットマンすら、その背中を見ていることしかできなかった。

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