黒い鳥の居場所   作:elf5242

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正直言うと、"K"さんはスナイパーとして尊敬できるんですよね。Kさんみたいなスナイパーに私はなりたい。


体の奥、溢れるものを人と替えているだけ

『あれです、主人様。あそこが財団のいるタワーです』

 

身体の中から、声が響く。視線を向けたその先には巨大な飛行機が騎手から突っ込んだような形の建物、"タワー"がそびえ立っている。周辺を軽く飛行し見渡すが入り口らしいところはない。

 

『前に私たちが開けたところはもう修復されていますか…………』

 

「拉致が開かねぇ…………。ご主人!私とユニゾンしろ!あの生意気な外壁ぶち抜くぞ!」

 

ラナに言われた後に思考し、5秒ほどした後に軽く頷く。

 

『では…………ユニゾンアウト!』

 

フィオナがユニゾンアウトし、身体から離れる。それと同時にラナがこちらに猛スピードで近づいてくる。

 

「ちっと擽ってェぞ!ご主人!」

 

すると、飛行魔法の効果が切れたのか身体が自由落下を始める。その周りを螺旋を描くようにラナが旋回しながら追いかける。

 

「ユニゾン・イン!」

 

そして、ラナが背中に突撃する様にユニゾンする。赤い光が自分を包んでいくのがはっきりとわかる。

 

『いくぜ、ご主人。あの外壁をぶち抜いて上にあがりゃ、そこに財団は偉そうに踏ん反り返ってやがるからな!』

 

『いやいや、実を言うと結構僕偉いんだけど?』

 

するとタワーのすぐ目の前に空間投影のディスプレイが現れ、そこに財団の三つが暗く、一つだけ白く明るい菱形が菱形状に並んでいるエンブレムが映し出され、そこから声が聞こえる。

 

「財団!」

 

隣にいたフィオナが叫ぶ。

 

『久しぶりだね、ラインの乙女。残念だけどもう僕はタワーには居ないよ?いや、正確にはそのタワーには居ないよ?ああ、だけど君たちの探し物ならそこにあるよ?元々僕がいた部屋だ。取りたければとってもいいよ?』

 

『てんめぇ…………一体何考えてやがる!』

 

財団の飄々とした態度に、ラナが体の内側から声を上げる。

 

『何を考えてる…………ねぇ。強いて言えばねぇ、僕は何も考えていないんだよ。僕はただ決まった動きをしてるに過ぎないのさ、それこそガジェットドローンのプログラムの様にね。ただそのプログラムが複雑すぎて君達が読み切れていないだけさ。スカリエッティも僕を止めようと動いてるみたいだけど…………。まあ関係ないね。それじゃ、君たちラインの乙女とはこれでお別れだ、けど、傭兵、君にはまたそのうち相見えることになるだろうね。』

 

そして空間投影のディスプレイが消えると財団の声も聞こえなくなる。

 

『あんにゃろ〜…………いつかきっと絶対必ずぶっ飛ばしてやる!』

 

「意気込むのは良いですが、今は私たちの目的の物を…………フィオナ姉様、露払いをさせていただきます。』

 

セレはタワーの外壁まで飛んでいくと、レーザーブレードでタワーの外壁を破壊、中へ侵入する。

 

「行きましょう、主人様」

 

『とっとと取るもんとって、あんにゃろう、ぶちのめしに行こうぜ!』

 

そして、フィオナと共に中に侵入する。セレの露払いにより大半のガードメカが撃墜されており、ほぼ単純に垂直に登るだけだった。そして、10分ほどすると、巨大なモニターが設置された大広間のような場所に出る。モニターの前には肘掛のついた椅子が一つ。ポツンと置いてある。

 

『ここだ、ここであんにゃろうがいつも偉そうに踏ん反り返ってたところだ。』

 

どうやらここで、何かをしていたらしい。そして雰囲気を損なわないように黒いカーテンで仕切られたある一角、そこにつられるように歩き出す。

 

『お、おいご主人?』

 

そしてカーテンを引き剥がすと、そこにはガラスケースでまるで美術品のように飾られている、真っ白いバイザー型のデバイス。

 

「あれです…………本来主人様がお使いになられるべき…………ネクストデバイス"ホワイトグリント"…………!」

 

フィオナがガラスケースを壊し、ホワイトグリントを手に取る。

 

『財団は何もしてねぇみてぇだな。まあ、させたらご主人に会わせる顔がねぇもんな』

 

ラナが身体の中から、声を放つ。どうやら視覚も共有してるらしい。

 

『おっと…………多分ユニゾンしてると誤認するかも知れねぇな。一度離れるぜ、ユニゾン・アウト!』

 

そしてラナが身体から離れる。フィオナの時よりも倦怠感は無いが、それでも僅かに息が乱れる。そしてフィオナは白いバイザー型のデバイス、ホワイトグリントを差し出してくる。

 

「さあ、行きましょう。なすべき事を成すために」

 

ホワイトグリントを手に取り、装着する。その瞬間に感じたのは、懐かしさ。久々に古い親友や親兄弟にあったような、そんな懐かしさ。

 

『おはようございます、メインシステムパイロットデータの更新を開始します。』

 

R.I.P.5/Rを使用していた時と同じ起動シークエンスが行われ、次々と終了していく。そして様々な言語が目の前に移った後、頭の中にマシンボイスが聞こえる。

 

『メインシステム、パイロットデータの更新を完了、これより作戦行動を更新、再開。改めて…………ようこそ、戦場へ。』

 

そして体の各所が白い装甲に包まれる。脚部、腕部、肩部が覆われ、背部にはバックユニットが装着される。ラナやセレのように攻撃能力はない。唯のブースターユニットとしての物。

 

「懐かしいですね、フィオナ姉様」

 

「ええ…………ですが、感傷に浸っている時間はありません」

 

フィオナがこちらに顔を向ける。その目は何かを促している。

 

『プライマルアーマーを展開。その後相転移、アサルトアーマー起動』

 

ホワイトグリントがセンサー部をシャッターのようなもので閉じると、すぐ様アサルトアーマーを展開、タワーの上部を吹き飛ばす。瓦礫もすべからく残さず塵になっている。

 

「んじゃ、まずはあの財団をぶっ飛ばしに行くか!」

 

ラナが手のひらに拳を打ち付ける。

 

『巨大魔力反応、感知。』

 

ホワイトグリントからマシンボイスが聞こえる。そして感知された方向を向くと、巨大な何かが浮いていた。そして、その何かを、見た途端に黒い何かが自分から噴き出してくるのがわかる。

 

『メインシステム、戦闘モード』

 

軽く腰を落とす。そして両手にアサルトライフルとライフル、そしてバックユニットの先に分裂ミサイルを展開する。そしてバックユニットが変形、周囲の魔力粒子と自身の内部から発せられる粒子を吸収、収束させる。

 

「"ゆりかご"…………なら、私たちは手出しができませんね…………」

 

セレの言葉が終わった瞬間に、収束させたそれを放出。真っ直ぐに空を飛行する"何か"に向かう。心ではなく、本能が言っていた。アレを墜とせ、と。そして何かの手前まで来た時、五発の大口径弾が道を遮る。

 

『お前の目的は分かりきっている。残念だが、"ゆりかごを堕とす"…………その予定はキャンセルだ、傭兵。』

 

弾丸の来た方向を見れば、空に浮かぶ何かの選手に誰かがいるのが確認できた。ホワイトグリントが自動でその部分にズームをかける。

黒とワインレッドの装甲、空中に飛び上がる事に主を置いた逆関節の脚部、左右のハンガーにはスナイパーライフル。そして、死神部隊の証でもある武器を持った獅子のエンブレム。持っている武器は双剣。それを確認した後に、両手のライフルを撃つ。それにコンマ1秒遅れてライフルの弾丸をスナイパーキャノンの大口径弾がライフルの弾丸を迎撃、貫通する。それらは腕や足、肩などの装甲を僅かにかすめる。

 

『見せてみろ、お前の持つ力』

 

死神部隊の狙撃手、"K"が五連射式のスナイパーキャノンを此方に向けていた。

 

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