機動六課隊舎がスカリエッティによる襲撃を受ける数日前の事。1人の男が隊舎に飛び込んで来たのだ。
「はやて…………はぁ、はぁ、はぁ…………あったよ!黒い鳥についての記録!」
「本当か!ありがとう、ユーノ・スクライア司書長!」
飛び込んできた男は、管理局のデータベースである無限書庫の管理と維持を担当する司書長、名をユーノ・スクライア。そしてその手には紙封筒が握られている。はやてはその紙封筒を受け取ると中身を読み出す。
「良かったわ…………カリムに聞いても黒い鳥の事は怖がるばかりで何も言ってはくれんかったからな」
「それだけ、黒い鳥が恐れられてるって事だよ…………資料が少なくて、姿がわかりにくいっていうのも理由の一つみたいだし。」
「けど、こうしてユーノくんが見つけてくれたんや。これで財団も落とせる可能性が出てきたわ」
はやては資料を紙封筒に戻す。そして、背もたれに体を預けながら、腕で目を覆う。
「…………もしかしたらや…………もしかしたら本当にレイヴンが単騎でゆりかごを落としてしまうかもしれん…………。この資料に書いてある通りやったらな。」
「そしてその鍵が、黒い鳥が使っていたデバイス…………"ホワイト・グリント"…………。」
「レイヴンが、もしこっちに仕掛けてきたら…………私は対処する自信がない…………どないするべきなんやろか…………。
「…………その時は、また分かり合えるまで話せばいいんじゃないかな。なのはもいつだってそうして来た」
「…………せやな、悪いなユーノくん。今聞いたの忘れてや?」
「了解です、八神部隊長殿」
こうしてある日の昼は過ぎて行った。そして数日後に自体は一気に動き始める。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎
私がその人に初めて会ったのは、思い出せば結構、いや、かなり最悪な場面でした。
「ん?」
なのはママがお仕事で忙しいので、お外で遊んでいた時の事です。大きな木のそばでたたずむ、一人の男の子。その視線の先には大怪我をした大きなカラスがいました。
「誰…………?」
男の子はカラスを見た後、何か黒い塊を何処からか取り出しました。そしてそれをカラスに向けています。
「ダメー!」
私は男の子に思い切り、ぶつかりました。分からないけどカラスが酷い目に合うと思ったから。男の子を見ればいろいろわかりました。私よりも少し高い身長、ですがエリオさんより低いです。顔には横に傷跡が付いていました。それに真っ黒い髪に真っ黒い目。その真っ黒い目が私を見つめています。
『…………邪魔、しないでくれる?』
男の子はスケッチブックを取り出すと、そこに文字を書いて私に見せます。さらに男の子は次のページをめくってまた私に見せます。
『もうこいつは助からない。下手に生きながらえさせるよりも楽にさせてあげたほうがいい』
「そんなのわかんないよ!」
私はカラスを抱き上げて、シャマル先生の部屋まで走ります。これが私と、真っ黒い男の子、レイヴンとの始まりでした。それから、よく隊舎内で見かけることになります。最初は大きなカラスの事もあり、近づこうともしませんでしたが、なのはママに言われた通り、少しずつお話をして、よく撫でてくれたり、たまにお菓子やジュースをくれたり、さらにはシャマル先生が治してくれた大きなカラスを育てていました。
そして、私は今、なのはママに連れられて男の子、レイヴンのところに向かっています。少しの間飛ぶと、そこに白い機械と黒い機械を纏った二人の人達が、飛び回っています。
「レイヴン…………」
二人ともあちこちがひび割れていて、いろんなところから血を流していました。さらに言うと黒い人の片腕は今にもちぎれそうになっています。
「…………めて…………!」
レイヴンがお腹を撃たれて、血を流します。ですが同時に、黒い人の頭部を足で蹴ります。
「やめてよぉ…………!」
黒い人が攻撃する度にレイヴンが、レイヴンが攻撃する度に黒い人がたくさんの血を流していきます。
「もうやめてぇぇ!!!」
レイヴンに向かって叫びます。もう、レイヴンがいっぱい怪我をするのは嫌だったのです。でも、レイヴンと黒い人は、戦うのを止めません。
「もうやめようよ!なんで、なんで戦うの!?」
止めさせようと叫びますが、黒い人もレイヴンも聞いてくれません。
「もうやめてよお!!」
叫びますが、レイヴンには私の言葉一つ通りません。如何してなんだろう。あんなに…………。
あんなに一緒だったのに。