黒い鳥の居場所   作:elf5242

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戦闘メイン、Jの二連戦と死闘をお楽しみください


騒めく思いが僕らの真実なら

ガガガガッ、と機械的な音に混じり発砲音が聞こえる。

 

『ふん…………』

 

マギーが放つヒートマシンガンの小口径ヒート弾がプライマルアーマーに阻まれ消滅する。同時に両手のライフルが撃ち出されるが、マギーが完璧に弾道を読み切り、回避する。

 

「…………っ!」

 

ヒートマシンガンをハンガーに戻した後にレーザーライフルを持ち、Jのライフル目掛けて撃つ、が、これもプライマルアーマーに阻まれ拡散する。

 

『見事だ、腕は落ちていないようだな。ブルーマグノリア。』

 

Jがマギーに賞賛を送りつつハイスピードミサイルを撃ちつつ、マギーを見据えながら平行に移動する。

 

「チッ…………!」

 

レーザーライフルをハンガーに戻し、再びヒートマシンガンを装備。Jから離れるように移動しつつハイスピードミサイルを撃ち落としながら、Jに向かって数回に分けて、小出しで撃つ。

 

『だが、ダメだ。あの日の貴様になら倒せたかも知れんが、今の私を貴様は倒せん』

 

小出しに撃ったヒート弾はやはりプライマルアーマーに弾かれる。

 

『はぁい、J。元気かな?』

 

「財団…………!」

 

『来やがったな!イカレ野郎!』

 

マギーとファットマンが、突然聞こえた財団の声に反応する。

 

『まあ、なんと言おうと構わないけど、僕から言わせればイカれてるのは全部だ。人間の。』

 

『貴様か…………やはり人間では無いか…………』

 

『当たり前じゃないか。肉体的には黒い鳥に殺されたよ。だけど魂まで消滅したわけじゃないしねぇ。まあ、そもそも魂の定義なんてものが曖昧なんだけど。』

 

『イカれてるよ、お前ら!』

 

『『それの何が悪い…?』』

 

マギーがレーザーライフルをチャージして撃つ。それがプライマルアーマーをわずかに貫通し、Jの肩部のアーマーに直撃する。が、それもわずかな擦り傷にしかならない。

 

『さて、準備運動は終わらせようか。J。』

 

『無論だ。』

 

そしてJは本気を出したかのように、先ほどとは段違いのスピードで動き始める。

 

「速い…………!」

 

『ダメだマギー、こっちでも追いきれねぇ…………!』

 

Jはファットマンのヘリに搭載されている高機能レーダーをもすり抜ける速さで、マギーの周囲を飛び回る。

 

「ぐっ!?」

 

『マギー!?』

 

そして、Jの鋭い蹴りがマギーを吹き飛ばす。さらにハイスピードミサイルとライフルで追い討ちをかける。

 

「んん…………!追いきれない…………!」

 

Jの蹴りを脚部から延長したシールドで防いだ後に、素早く態勢を立て直す。そして肩部のCIWSとヒートマシンガンの弾幕でハイスピードミサイルを迎撃、その爆炎を利用して後続のライフルも無力化し、再びJの攻撃に備える。

 

『どこを見ている。私はここだ。』

 

Jは手の甲から出現させたレーザーブレードで、マギーのハンガーアームを武器ごと正確に切り裂く。

 

「チッ!」

 

舌打ちをした後、切られた武器をJの方向を蹴りつつヒートマシンガンを撃ち、後方へと後退する。ヒートマシンガンを当てられたレーザーライフルをや、その他の武器が誘爆し、派手に爆炎をあげる。そしてJは爆炎を突っ切りマギーへと接近する。

マギーがわずかに動揺しつつもヒートマシンガンを向けるが、Jがそれをレーザーブレードで縦に切り裂く。

 

「やられた…………!」

 

マギーは冷静にヒートマシンガンをパージ、肩のCIWSをヒートマシンガンの弾倉に放ち誘爆させる。が、黒い脚が爆炎を突っ切り、マギーを蹴り飛ばし、地面に叩きつける。そしてJも少し離れたところにマギーと縦を合わせて降り立つ。

 

『さあ、どうする?掛け金は自分の命という金貨一枚、相手はロイヤルストレートフラッシュ…………貴様の切り札は、あるのか?』

 

Jはマギーに問いかける。マギーは立ち上がりながら口の中に溜まった血を吐き出し、答える。

 

「…………殺しきれる武器を持っているのは…………貴方だけじゃないのよ。」

 

マギーは大きく足踏みをする。すると地面から巨大なコンテナが現れ、それの継ぎ目が爆発しコンテナの中身が開く。

 

『そうか、それが貴様の切り札か…………』

 

「そうよ。」

 

コンテナの中身には、ジェネレーターユニットと二列に並んだ巨大な6本のチェーンソー。それら二つが連結された巨大ユニット。

 

『マスブレード、マルチプルパルス、ヒュージキャノン、ヒュージミサイル、ヒュージブレード、単騎での使用は不可能とされ畏怖される規格外兵装、オーバードウェポン最後の一つ…………。』

 

「そうよ…………!」

 

そのユニットがマギーに装着される。

 

『対警備組織用規格外六連装超振動突撃剣…………グラインドブレード…………』

 

「そうよ!!!!!」

 

そしてマギーはそれを起動する。チェーンソー状のブレードが横に展開し、腕部に接続される。そして左にジェネレーターユニットアームが接続され、ブレードが腕を囲むように円状に配置される。そして、けたたましい音と共に回転を始める。

 

『貴様の力の片鱗は見せて貰った。』

 

「死ぬのは私とあなたで充分!」

 

そして圧倒的熱量と共に、全てを焼き尽くす暴力がJを襲う。

 

『ジェネレーター出力、最大まで上昇』

 

Jがそう呟くと、背中のユニットから発せられる緑色の粒子が広範囲に拡散される。

 

『あの日の貴様にならくれてやった可能性はあったが、もうダメだブルーマグノリア。消え失せろ』

 

Jの言葉を最後に辺り一面が光によって包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

 

 

 

 

 

 

「主人様」

 

フィオナが話す。それに気付いてフィオナに向き直る。

 

「行きましょう」

 

フィオナの言葉に頷き、ブースターユニットを変形させる。ラナやセレも既に戦闘態勢に入っており、何時でも付いてこれる。そして、何もかもを置き去りにするように高速で移動する。

 

「なあ、御主人。一つだけ聞いていいか?」

 

ラナが話し掛ける。高速移動中なので返事を返すことが出来ない。

 

「喋れなかったな、悪い。んじゃ勝手に聞くぜ。あいつぶっ殺した後、御主人はどうすんだ?」

 

ラナの質問に少しだけ悩んだ。Jを殺して財団を殺してその後どうするか、現時点ではまた傭兵に身を置くぐらいしか思いつかない。自分から戦いを取ったら何が残るのか。おそらく何も残らないだろう。それは魚からヒレを、鳥から羽を、獣から牙を取るのと一緒だ。自分には戦うことしか、その戦場の全てを焼き尽くすことしかできない。

 

「まあ、どれを選んだってあたしらは付いて行くけどな。」

 

「もとよりその所存。」

 

「私達はあなたの融合機、"ラインの乙女"。たとえ黒い鳥でなくなろうとも、私達はあなたの最後の時まで御一緒します」

 

フィオナ達はどうやら自分に一任するらしい。彼女達から自分を取ったら…………おそらく何も残らないだろう。ならば、より一層慎重に決めなくてはならない。が、どうやら悩む時間はおしまいらしい。ブースターユニットの出力を落とし、減速する。数メートル先には黒い機械を纏った男。

 

『ようやく来たか…………』

 

赤いセンサー部分が此方を見透かす。確かに記憶が戻る前には何度も敗北を喫している。

 

『…………なるほどな、もはや言葉など意味をなさないな。』

 

『さっきジェネレーター出力を上げてたね。まあ、メンテナンス終わったけどさ。それで?調子はどうかな?』

 

財団の声も聞こえる。なるほど、フィオナ達から人間を止めていると聞かされていたが、まさかそっちに潜り込んでいるとは。

 

『良好だ』

 

『全てのUNAC、ガジェットドローン、そしてスカリエッティから拝借した戦闘機人の戦闘データを統合し、創り上げたオペレーション。無数の戦場を渡り歩いた君の経験と頭脳、そしてこの機体。これが負けるとは正直思えないけどねぇ。』

 

『管理局によってなされる次元世界の統治など、私たちの生きる世界ではない。好きに生き、理不尽に死ぬ。それが私達だ。そうだろう?』

 

お互いにライフルを取り出す。既に弾倉は交換済み。記憶も経験もある。身体能力にも不足はない。なら、後は互いの殺意が犇めき合うだけ。どちらの殺意が上かが、勝負を決める。

 

『見せてみろ、貴様の力』

 

その言葉を皮切りに、お互いがミサイルを放つ。ハイスピードミサイルに分裂ミサイル。お互いに一発も外すことなく、全弾がお互いのミサイルに撃墜される。

爆炎に突っ込めば、爆炎の中でお互いの姿を視認し銃床をぶつけ合う。そしてお互いを弾き飛ばす。弾き飛ばされた腕の下から銃口を出し、相手を撃つ。が、弾丸は緑色の膜、プライマルアーマーに防がれる。

弾丸を防がれた後に両手のライフルが撃たれる。此方もそれをプライマルアーマーで防ぎ、プライマルアーマーを展開しつつ加速、Jに急接近し、頭部に銃口を突きつけ、ゼロ距離で発砲する。

退け反らせることに成功するが、こちらの胸部にもプライマルアーマーで減衰したとはいえ数発弾丸が撃ち込まれる。それに構わずに腹部を蹴り飛ばして、吹き飛ばし距離を取らせる。そして態勢が整わないうちに、分裂ミサイルを放つ。

その分裂ミサイルは分裂した後に全弾が余所見撃ちのライフルで撃墜される。そして下からハイスピードミサイルが接近する。勿論こっちも余所見撃ちで全弾を撃墜する。

 

『…………』

 

「…………」

 

しばらく静止した後に、再び二人同時に動く。お互いに狙いをつけようとしつつ相手の狙いを外そうと動く。弾は撃てど回避されるかプライマルアーマーに防がれるかの二択。魔力放射で瞬間的に加速しつつ、両手のライフルを撃ち込む。それが数発回避され、残りは全てプライマルアーマーに防がれる。

ハイスピードミサイルが放たれる。ライフルの弾倉を交換した後にそれを機動力で翻弄、誘導し、それでも落としきれなかった分をさらにライフルで落とし、こちらも分裂ミサイルを放つ。

分裂ミサイルが分裂する前に撃墜される。そして爆炎が妙な形に伸び、そこから姿が現れると、ライフルを両手で斉射する。それを横方向に体を振りながら回避、反撃でこっちもライフルを撃ちつつ、魔力放射で距離を詰める。それに気づいたのか、ライフルを撃ちながら後退し始める。逃げられる前にケリをつけるためにブースターユニットを起動、変形させ一気に距離を詰める。そして岩壁に叩きつけた後に、右腕を脚で抑えて、肘関節にライフルを撃ち込む。

 

『ッ…………!』

 

ここで初めて男の苦悶の声を聞く。そして、一拍遅れて左の脇腹から強い衝撃と痛みが来る。見れば脇腹の装甲が赤く染まっている、さらに顎に銃床を叩きつけられ、左足を撃たれる、が、それを無視して、顔面に蹴りを撃ち込み、離れる。さらに駄目押しで両手のライフルを撃ち込む。そして岩壁から轟音が聞こえる。おそらく背部の岩壁にハイスピードミサイルを撃ち込んで空間を作り脱出したのだろう。男の顔はバイザーが半分砕けており、そこからは止めどなく紅蓮の血が流れている。男はそれを雑に左手で拭い去る。

 

『やはり鉛玉をでは物足りないな。』

 

男は手の甲からレーザーブレードを出現させる。

 

『J。右腕、千切れかけてるよ?如何するんだい?切り落とすかい?それとも…………。』

 

『その程度の事か…………ブルーマグノリアの言葉を借りるわけではないが…………たかだか腕が千切れただけだ。』

 

男は左手で右腕の装甲を無理やり剥がすと剥き出しの生身の部分を歯を剥き出しにして口で加える。そして左手のレーザーブレードを構える。それを視認した後に、銃を投げ捨ててこちらも手の甲からレーザーブレードを出現させる。そして風がやんだのを合図にお互いのレーザーブレードをぶつける。

 

『…………っ!…………!!』

 

遠くから叫び声が聞こえる。声からして女の子だろう。もはや名前すら思い出せないが、だが、それに耳を傾ける気は無い。今はブレードを振るい、相手を切り裂くことのみを考える。何処に、どの角度で、どのくらいのスピードで、どのくらいの力で振るえばいいか、それらが男を見るたびに瞬時に思い浮かぶ。男の一挙手一投足が変わるたびにそれらが変わる。逆も同じだ。何処に、どの角度で、どのくらいのスピードで、どのくらいの力で振るえば相手の剣を弾き飛ばせるか。それらが男の一挙手一投足で切り替わる。

 

そして僅かな隙間を見抜きレーザーブレードを振るう。右肩の装甲を溶断、そのまま胴体を袈裟懸けに斬り裂こうと腕に力を入れるが、腹部を蹴られ、それが中断、逆にブレードを振るわれる。片側のブースターだけを蒸して回転、分裂ミサイルを切り裂かれる以上の損害を回避、懐に潜り込みつつ遠心力を利用して右腕のレーザーブレードを振るい、斜め下から切り上げ胸部装甲を溶断する。さらに左手のレーザーブレードを振るい体を狙うが、側頭部に蹴りが見舞われる。

蹴りにより、僅かに体勢を崩される。その隙を突かれ逆側の分裂ミサイルを溶断される。さらに男は先ほど自分がやったように片側のブースターだけを蒸して回転、遠心力でブレードを振るう。

 

それに合わせるようにして、こちらも片側だけブースターを蒸して回転、今度はブレードを振るうのではなく、遠心力を利用した左足での蹴り。そして爪先を手首に当てる。ゴキンッ、という聞き慣れた嫌な音が響き、躊躇せずに足を振り抜き、逆の、右足の踵での回し蹴りを側頭部の顎付近に撃ち込み振り抜く。足から伝わる感触から顎が砕けただろう。が、まだ足りない。この程度でこの男は止まらない。

男は、ブースターで無理矢理に体制を戻したあとに、腹部を踏みつけるように蹴る。ゴキン、という嫌な音と激痛が走り、喉元まで血液が登ってくる。さらに振り抜いた右足を左膝と左肘で挟み込むように打ち付ける。さらにそこからもボキッという音が鳴る。

激痛に耐えつつ、両方のブースターを吹かしつつ魔力を付加。加速をつけたヒザ蹴りを胸部に打ち込む。膝蹴りは胸部装甲を破壊し、さらにその先の生身の部分にまで食い込む。伝わる感触から胸骨が粉砕されただろうが、まだ足りない。この男を殺すにはまだ足りない、男が自分を殺すにもまだ足りない。

口の中のに溜まった血を吐き出す。そして折れた右大腿骨を両手で上下から加圧する。ゴキンという音ともに激痛が僅かに和らぐ。軽く動かし動作に問題ないと判断すると、すぐさま攻撃に移る。ブレードが振るわれれば装甲が傷付き、ブレードを振るえば装甲を傷付ける。だが、それをやめようとは思わない。この戦いの中での騒めく思いが、真実なのだから。

 

 

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