黒い鳥の居場所   作:elf5242

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一応、このssは完結となります。こんな駄作を見てくださった皆様方、ありがとうございました。


見つけた見つけた黒い鳥、貴方の居場所はここですか。

「おーきーてー!ジョシュア!おーきーてー!!」

 

眩しい朝日を瞼越しに浴びると共に、被っている布団ごと揺さぶられる。

 

「もう!起きないと遅刻するよぉ〜!」

 

そう言って布団を掴まれ、引き剥がされる。肌寒い空気を感じながら体を起こす。薄く目を開けると、目の前には腰に手を当てて怒ってます、的な雰囲気を出す少女。

 

「早く着替えてね!今日はジョシュアも一緒に行くんだから!」

 

そうして、少女は部屋を出て行く。

 

「二度寝したらダメだからね!」

 

そこまで言われなくてもわかっている。どうせこの状態では何も出来ない。ボキボキと身体中の関節を鳴らす。

 

「おーい!御主人!早くこねぇと全部食っちまうぞ!」

 

両手でクロワッサンを抱えた、ミニサイズのラナが部屋に入ってくる。そんなラナを手で追い返すと、壁にかかっている学校の制服を手に取る。カッターシャツの袖に腕を通し、スラックスを履き、ブレザーを手に持って下に降りる。

 

「おはよう、ジョシュア」

 

保護責任者である、なのはの言葉に頷いて席に座る。発声器官が完全に潰れたため、声は今も出せないが、たいていみんな頷くだけで察してくれる。

 

「おはようございます、主人様」

 

方にミニサイズのフィオナが降りて座る。その手には小さくちぎられたクロワッサンが握られている。テーブルの中央に置かれたバスケットからクロワッサンを手に取ると、左側から、牛乳の入ったコップが置かれる。軽く手を挙げると、メイド服を着たセレが軽くお辞儀をして、台所へと消える。時計を見れば後20分ほど余裕はある。クロワッサンを千切りながら食しつつ、他の料理を平らげていく。以前は粘土のような固形携帯食料しか口にしなかった為、未だにこの食事はなれないが、食べなければ持たない事は承知している。ちなみに、あの携帯食料は全て、なのはともう一人の保護責任者によって処分されてしまった。

 

「ジョシュア、大丈夫?」

 

先ほど起こしに来た少女、ヴィヴィオが向いてくる。その頭を軽くポンポンと叩いて、食卓を立ち、ブレザーに袖を通す。

 

「うん、いってらっしゃい」

 

なのはの言葉に、軽く手を振って答えると、バイザー型デバイスである、ホワイトグリントを手にとって鞄に放り込む。そして、革靴を素早く履いて、そのまま扉を勢いよく開ける。

 

「いってらっしゃいませ、主人様。」

 

「あ、待てって!私も行く!」

 

「あー!ジョシュア、待ってよぉ〜!」

 

情けない声を上げるヴィヴィオを無視してそのまま、走る。その隣を何匹ものワタリガラスが飛ぶ。そして一鳴きすると、そのまま空高くへと飛び去っていく。それを足を止めて見送る。

いつか彼らにも居場所が出来る日が来るだろう。彼らも黒い鳥なのだから。

そして、黒い鳥である自分の居場所はここなのだから。

 


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