雨が降りそうな曇り空だ。
「異形だ!速やかにSSSレート配置につけ!」
彼は逃げる。曇天の中不吉なものを感じながら。
赫者無眼の喰種。彼らは最強の名を欲しいまま、捜査官を殺害していった。史上最強とまで評される、二人の喰種。
(前方に捜査官が二人…羽赫)
1人は別種と別種のハーフ。1人は隻眼の喰種のハーフだった。1人に赫眼という眼は無く、赫眼は出現しなかった。
(やれるか……)
外に行けば恐れられ、そこにいれば慕われる。彼らは内に居ると決め、成長して行った。
「九尾をやれ!」
これ以上ヒトを喰らいたく無いという想いがそこにあった。
が、しかし。
「うぉおおぉおぉおおお」
「駆逐しろッ」
白鳩は仲間の仇とばかりに二人を殺したがった。
「……ッ!」
勿論仲間の喰種も大量に。
羽赫が大量に飛んでくる。赫者にだけはならないでおこうと決め、蹴る。
軽快なステップで減速しながら羽赫を全てかわす
「かわした!?B班、そちらに九尾が向かった!逃がすなよ」
「こちらE班、B班の全滅を確認」
「そん……河本特等は!?ご無事か!?」
数瞬の沈黙の後、こう答えられた。
「殉職なされたんだッ!!」
汚れを毛嫌い清さを貪欲に欲するCCGがそこに来たことを察すると、彼らは外に移ると決意した。
「まずい、奴らが飛びますッ!」
外といっても、人がのうのうと暮らしている生ぬるい場所では、無い。選んだのは過酷な遠い都会の地、東京24区。そこに移ると、彼らは決めた────
「逃がしたのか……クソッ……」
仇だったのに……仇が目の前に居たのに…………
九尾ィ……ッ!
「……ァア"ア"ァア"アァァァア……ア"ア"ア"ア"ア"ッッッ!」
そこにはいつの間にか、雨が降っていて。
立ちすくむ俺の髪を、何時間も濡らし続けた。
こうして二人の最恐は東京24区へ旅立った。そしてコレが欠けた歯車となって彼らを苦しめ、内奥にある“その種”としての本能が呼び醒まされる事となる。
種の違いとは罪深い物だ。違う種と違う生活を強いられる。常に淘汰される者とそうでないもの。それが種によって決まってしまうのだから。
───────
「その男の素性は未だ分かっていない」
捜査官を名乗る男は、過去に何度も24区に現れ、喰種を殺している。その速度は死神のように素早く、また捜査官を名乗っているのにも関わらず、人を殺す。
「奴に関して分かっているのはこの四点のみ。喰種に対してのなんらかの殺傷方法を所持している事。戦闘時にマスクを着用している事。我々CCGの反対の黒いコートで現れる事。そして」
その死神の名前は。
「自らを“喰種捜査官ナツメ”と名乗っている事だ」