「結構広いですね、ここ」
全員が全員、無言のまま六十近い段数の階段を降り、100mはある飾り気の無い廊下を歩いた。先に見える体育館くらいの開けた空間がある壁や天井、床が白く塗装されていて、さながら天国にいるようだ。ここで戦うのか。
「さ、準備してくれ」
壮年の男が上に着ていたスーツとネクタイを脱ぎ捨て、シャツとズボンだけになった。どうやら相手はこの男性のようだ。
赫眼を両目に出現させ、マスクを着けた男性に急かされ、コートを脱ぎパンツを脱ぎ、肌にピッタリと吸着するインナーとスパッツだけになった。
「……あの、一ついいですか?」
「なんだい?」
「赫者になっても、いいですよね……?」
自我を保つ事が難しい赫者の状態になってもいいか、と聞く。
「当然だ。もし私が止められず殺されたとしても、恨みはしないよ」
準備は整った。
さぁ。
ニクを寄越せ。
地面を“軽く踵で蹴る”
タン。
一直線に男に向かう。
男の首が落ち
ヤスは呟いた。
「なんだ、大口を叩いた割にはあんまり強くないんですね」
途端。
「お返しだ、小僧」
ヤスの首が綺麗に切れる。
落ちた首が呟いた。
「恨まないんだろ、クソジジィ」
赫子が首を掴み、元に戻る。
「ふむ、再生力は合格だ。さっきの蹴りが全力なら不合格だがな」
「偉ソーにどーモ。生憎全力どころかウォームあッぷしかしてませんで旦那」
段々とヤスの両腕両脚の色が“赫黒く”変色し始める。
「確かに俺は眼が赫くないけど、それはあくまで眼の話だよ?」
「誰も眼だけの話はしてないでしょ」
仮面らしき物がヤスの顔を覆う。四肢全てが赫黒く変色したヤスがバックリ裂けた口を黒い手で撫でながらそう口にする。
本を持った女が面白そう、と眼鏡の奥の相貌を光らせた。
「さっきの女の人、強いんですか?」
「ん?あぁ、あの娘は白鳩からSSレート判定を受けている筈だ。確か名前は『ルカ』」
(ふーん、強いんだ)
「いつまで待てばいいのかな?早くかかってきたまえ」
「うるさいなぁ」
腕を“伸ばし”男の四肢をもぐと、股間を潰して首を飛ばす。若い男が股間を押さえてるのが見えて、とても滑稽な感じだ。
「……そこはッ………ダメだろ………ッ」
再生した首をくっつけた腕でさすりながら男性は背中から赫黒い何かを生え出してきた。生えてきた位置から鱗赫と断定したヤスは
ダッシュした。
背中に大きく展開した羽赫。さながらカラスのようで、ワシのようだ。速度を羽赫で更に加速させながら、腕を前に構えて鋭く甲赫化させる。
「鱗赫げっちゅ」
斬ッと赫子を切るが殆ど形態が赫者化していて効かない。形態変化の赫者か……ヤシャに頼むかなぁ。
「ヤシャ!お前も実力を見せろ!」
一瞬ビクッとなったがコク、と一つ頷き、フロアの中心に立つ。
この後久遠は、なぜヤシャが九尾と呼ばれるのかが分かる。その姿、まさに。
顔を覆うマスクは狐の様な怪物の頭。
身体を覆う腹にはむき出しの肋骨。
尾が九本生えビュンビュンと空気を掻っ切る。
彼女はSSSレート。九尾。
「Yasu……I'm crazy for you……」
感想全裸待機☆〜(ゝ。∂)