東方幻妖録 第1部《大妖転生篇》   作:ハマトラ

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出雲「作者、昨日どうした?」

雪かきで・・・・・・疲れて思い浮かばんかった・・・・・




第33話「追う者、追われる者」

まだ、空の暗い夜明け前に紅臥は起きて何時もの服装になる。部屋を出て、すぐに図書館に向かう。

修行を始めた時からの日課で毎日早くに起きて、パチュリーの協力の元で能力を使いこなす為にここで訓練を行っていた。

訓練内容はシンプル、音を遮断する結界の中で鈴を鳴らしてその音を消音から音量を上げる、この繰り返しである。

紅臥の『音を操る程度の能力』は強力で普通のやり方では周りへの被害もヒドイ。そこでまずは簡単な動作から始める事にした。

そして被害を最小限に抑える為に結界の中で行い、最も簡単な鈴の音を自在に操れるようにする事で確実且つ正確に能力についてを知る事が出来るようになる。

 

紅臥(まずは消音、鈴の音を・・・・・・消す)

 

結界の中で紅臥は紐の先に付いた鈴を鳴らして意識を鈴に集中させる。鈴の音は遠のくように次第に小さくなって完全に聞こえなくなった。

 

紅臥(次は音を・・・・・・徐々に大きく・・・・)

 

紅臥は音量を少しずつ上げようとする。しかし、途中まではイメージ通りにいったが、最後で気を緩めてしまい、音圧が結界を震わせる。

 

小悪魔「紅臥さん・・・・・大丈夫ですか?」

 

紅臥「は、はい・・・・・なんとか・・・・」

 

結界が解かれ、パチュリーと小悪魔が心配そうに倒れている紅臥を覗き込む、紅臥は案の定自身の音で目を回していた。

 

パチュリー「そろそろ、咲夜達も起きてくるわ。今日はこの辺にしなさい」

 

紅臥「はい・・・・・・また明日もお願いします」

 

紅臥は朝食の下準備の為に図書館を出て厨房に向かった。それを見送ってパチュリーは自分の机に戻り、新しい魔法理論の論文を書き始める。

 

パチュリー「焦ってるわね・・・・・・・自分の能力がそう簡単に使いこなせるものじゃないのは知ってるでしょうに」

 

紅臥がこの訓練を初めて大分経つが、未だに進展がない。そのせいか焦燥感を覚えていた。出雲の『あらゆる武器を生み出し操作する程度の能力』はイメージ次第で能力の応用力の高さとは裏腹に意外と扱い勝手がいい。

しかし、紅臥の能力は音を操るという使い方次第で強力な能力故に扱いが難しい。下手をすれば音圧が周囲の物を破壊しかねない。

紅臥もそれは理解している、それでも強くなりたいという気持ちと元々の謙虚すぎる性格がより焦燥感を強くして、結果事を急いてそれが詰めの甘さにつながっていた。

 

パチュリー「さて、あの師匠二人はどう出るかしらね」

 

 

 

 

紅臥が朝食の下準備にかかろうとしていた時、丁度ハルトが入ってきた。

 

ハルト「おはよう紅臥、いつも早いね」

 

紅臥「おはようございます、ハルトさん」

 

ハルト「ここは僕がやるから、紅臥は倉庫から紅茶の茶葉を持ってきてくれる?銘柄はこのメモの物ね」

 

紅臥はメモを受け取ると、倉庫の茶葉の保存庫からメモに書いてある茶葉の袋を取り出した。

 

咲夜「おはよう紅臥、ちょっといいかしら?」

 

紅臥「あ、咲夜師匠、おはようございます。どうしましたか?」

 

咲夜「今日の修行は特別な物になるから、朝食後にエントランスに来てくれる?」

 

紅臥「?はい、わかりました」

 

紅臥は厨房に戻り、咲夜とハルトと共に朝食の準備を済ませた。そして朝食後、指示通りエントランスに行くと咲夜とパチュリーにレミリアとフラン、そして美鈴がいた。

 

紅臥「今日の修行は特別と聞きましたが一体・・・・」

 

美鈴「確かに簡単ですが、やることは単純です。紅臥君にはパチュリーさまとお嬢様と妹様を相手に"鬼ごっこ"をしてもらいます」

 

紅臥「・・・・・え?」

 

咲夜「使うのは、この屋敷の敷地全てよ」

 

フラン「は~い、能力は使っていいんですか~?」

 

咲夜「追う側である、お嬢様方には能力を使わないでもらいます」

 

レミリア「それくらいのハンデは必要でしょうね」

 

パチュリー「なんで私まで・・・・・・」

 

紅臥が呆然とする中、ルールを説明された。達成条件は日が高く上るまで、つまり昼まで逃げ切る事、追われる側の紅臥は能力の使用は自由、それまでに一度でも捕まればゲームオーバー。

審判には咲夜がつき、紅臥には図書館前で待機してもらい数分後に開始されるらしい。

紅臥は訳も分からぬまま、図書館前で待機していた。

 

紅臥(しかしなぜ鬼ごっこ・・・・・・)

 

そして屋敷中に開始を知らせる鐘が鳴り響き、紅臥は立ち止まっていてはすぐ捕まると判断して廊下を全速力で駆け抜ける。

すると、風を切る音が聞こえて来て直後、紅臥は寒気に似た感覚を覚えた。

 

 

神槍[スピア・ザ・グングニル]

 

 

紅臥「うわ!」

 

紅臥が咄嗟に身を屈めた瞬間、紅臥の頭上を赤い槍が通り過ぎて廊下の奥に消えていった。振り向くと遥か後方にレミリアが悠然と立っていた。

 

レミリア「チッ外したか」

 

紅臥「レ、レミリアさん!今のは下手したらケガでは済みませんよ!?それにスペルカード使っていいんですか?」

 

レミリア「何言ってるの?確かに能力は使ってはいけないとは聞いたけど、スペカまで使ってはいけないとは聞いてないわ!」

 

レミリアが手を翳すと、再び赤い槍が出現して紅臥に向けて投げつけた。紅臥が横に飛び退くと、足元に魔法陣が出現して鎖が紅臥を捕らえようとする。

紅臥は懐から鈴を取り出して鳴らすと、音の発する衝撃波を一定方向に限定する事で得られる推進力を利用して跳び、壁を蹴って窮地を脱してその場を離れた。

 

少し離れた所でパチュリーはあちこちに設置式の術式を展開していた。それは転送系から捕縛系まで多種多様、パチュリーはレミリア達の様に素早く動くことが苦手な為、こうして魔術を利用して紅臥を捕まえにかかっていた。

紅臥は後方を見て、レミリアが追ってこないか確認した上で近くの個室に入る。一息つこうとした時に、突然扉が破壊された。

 

フラン「見~つけた♪」

 

フランは無邪気に笑いながら紅臥に飛びかかってくる。紅臥は避けるがフランはしつこく追ってくる。

 

紅臥「やるしかない!『流水の構え』」

 

紅臥は構えると、呼吸を整えて飛びかかるフランの動きに合わせて迫る手をいなして回転するようにフランの横を通り過ぎる。

そして、フランが次の突撃体勢に入るより早く部屋を出てその場を離脱した。その頃、美鈴はその様子を気を察知する事で見ていた。

 

美鈴「いい判断です、ですがどこからいつ誰が来るかもわからないこの状況・・・・・・紅臥君ならそろそろこの修行の"目的"に気づく頃でしょうね」

 

 

 

紅臥は逃げながらこの修行の目的について考えていた。なぜこの様な修行を唐突に行ったのか、常に周りを警戒しながら廊下を止まらず走る。

一瞬でも気を緩めればパチュリーのトラップかレミリアのスペル、もしくはフランの殺人級の突進が来るからだ。

その時、不意に以前美鈴が言っていた事を思い出していた。

 

『実戦とは常に緊張感と警戒心を持って臨まなければならない』

 

紅臥「そうか、この修行の目的は・・・・」

 

そして、気づいた。自分の欠点である詰めの甘さ、最後まで気を緩められない状況を作る事でそれを克服させようとしているのだ。

 

 

 

咲夜「・・・・・・気づいた様ね、あとは紅臥次第よ」

 

 

美鈴「制限時間まであと僅か・・・・・・・・・逃げきれますかね~」

 

紅臥は自分のその欠点の元を探る、自分は強くなることにこだわりすぎて相当焦っていた事にやっと気づいた。

そうこう思案していたらいつの間にかエントランスに戻っていた。

 

美鈴「気づいたようですね、この修行の目的に。」

 

紅臥「・・・・・はい」

 

美鈴「何が要因かは敢えて聞きません、しかし欠点は克服出来ます。今思っている気持ちを大事にして下さい。」

 

紅臥「はい!では、まだ時間はありますので僕は————」

 

フラン「捕まえた~♪」

 

その時、横からフランが超速で飛んできて紅臥にぶつかり、一瞬で紅臥は美鈴の視界から"消えた"。

ふと横の壁を見ると、フランに抱き着かれ目を回している紅臥が倒れていた。

 

美鈴「・・・・・・妹様、やりすぎです」

 

その頃、美鈴の代わりで門番をしていたハルトがふと屋敷の方向に目を向けた。

 

ハルト「なんか今、僕が受けた被害を被った人が出てしまった気配が」

 

 

こうして、紅臥に課せられた特別修行は失敗に終わったが、何かを掴んだ紅臥はその後能力の訓練をしていると、昨日までの失敗が嘘のように少しずつ上達したらしい。




次回予告

出雲「・・・・・・ああ、俺寝ちゃってたんだ」

??「うにゅ~・・・・・・・侵入者?」

出雲に襲い来る純心な襲撃者

さとり「本当にウチの子が大変なご迷惑を!」

出雲「あ~もう済んだことだから頭上げて!!」

出雲に土下座するさとり、その理由は?

出雲「それじゃあ、また来るよ」

さとり「はい、道中お気をつけて」

そして出雲は地上に戻るため再び旧都へ



次回、第34話「核を操る地獄烏」
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