旧都北の元締めを担う任侠一家
柊流と呼ばれる流派を用い、刀から槍、果ては弓まで幅広い分野で武に精通している武術集団である。
現組長、7代目の柊蓮花は柊流の全てを習得し異例の若さで先代より7代目を襲名、先代にも劣らぬ手腕で組の武人達を率いて北の治安を守っている。
極鬼会の頭はかつて、妖怪の山では下っ端の部類にあった。目上の鬼から見下され、虐げられる毎日。
そんな鬼に転機が訪れた、追放された地底にも街が出来た。ここではかつての地位は関係ない。
鬼はすぐに行動に出た、周りの妖怪を言いくるめ「極鬼会」を結成、あらゆる手段で旧都を次々と制圧していった。
しかし、そんな野望も長くは続かなかった。旧都にかつて山を仕切っていた四天王の一角、星熊勇儀がいたからだ。
勇儀の手腕で勢力は著しくなくなっていった。衰退した極鬼会は諦めていなかった、地下活動を続けて長い年月をかけて人と資金を集め、そしてついに旧都完全支配に乗り出したのだ。
それが、目の前の半妖とまだ若き元締めの頭によって潰えようとしていた。
蓮花「『北』で好き放題やっていたのは貴方ですか?なんとも品の無い顔ですね」
銀二「蓮花姉、得意の花道で飾り付けてやったら?」
蓮花「無理ですね、花が穢れます」
出雲「指揮は滅茶苦茶だし、お粗末で下の奴らの事も何も考えてない。ただ自分の私欲を満たすだけ・・・・」
出雲は鬼哭を抜刀して妖力を解放し、鬼哭の切っ先を目の前の鬼に突き付けた。
出雲「お前に玉の器は無いよ、せいぜい歩がいいとこだ」
「半端者の分際で!!」
鬼が畳を殴りつける、床が一斉に崩れ、その手には巨大な金棒が握られていた。
「どうだ!お前ら如きとは年期が違うのだ!!乳臭い若造共、ましてやそこの場違いな半端者などとは力の差がありすぎるんだよ!!!」
戦闘BGMイメージ~FF13より「ブレイズエッジ」~
鬼は金棒を横に薙ぐ、棘のついた凶器が3人に襲い掛かった。
蓮花「・・・・・銀二」
銀二「あいよ!!」
銀二が迫る金棒と肉薄する、組の羽織の袖からは黒く光る手甲が見えた。銀二が金棒を殴りつけると、金棒は勢いよく弾かれた。
銀二の家系、鬼灯一族は代々『磁力を操る程度の能力』を有しており、磁気を対象に付与させて吸引、反発を起こすことも砂鉄を集めて錬鉄する事も出来る。
そして彼が着けている手甲は祖先の代から伝わる家宝、名を『黒灯(コクトウ)』。磁気を付与する力を持っており、磁気を宿したこの手甲に触れた物に磁気を付与する。
蓮花「相変わらず、腰の入ってない拳ですね。明日道場に来なさい、久しぶりに稽古つけてあげましょう」
銀二「げっ!そ、それは勘弁・・・・」
全く緊張感の無い3人、完全に舐められていた。鬼は怒り狂い、金棒を再び振り下ろす。銀二は前に出て、拳を握りしめる。手甲が再び磁気を纏い、今度は異なる磁気を纏う事で引力が生じ凄まじい速さで殴りつけた。
速度の乗った拳は金棒を押し負かせて再び鬼を押し戻した。
銀二「鬼灯の頭、なめんなよ!」
鬼は歯ぎしりをすると、奥の戸から大筒をいくつも取り出して一斉に撃ち放った。
蓮花「今度は私が」
蓮花は薙刀を回しながら前へ出る、薙刀の刃が紅く染まり蓮花の鋭い眼光が光った。
蓮花「柊流"血刀術"、推して参ります」
柊流には蓮花のみが使える武術がある、それが柊流"血刀術"、『血を操る程度の能力』を有する彼女だからこそ使えるこの武術は「振るえば紅き華が舞い踊る」とも言われている。
蓮花「華式『繚乱"紅桜"』!」
大筒の砲弾が一斉に切り裂かれた、薙刀から血色の刃が乱れ飛びそれは風に舞う桜の花びらの様にも見えた。
銀二「相変わらず鮮やかだな~蓮花姉の柊流"血刀術"!」
蓮花「この花の無い、地底で見る桜もまた風情があるでしょう?」
その時、今度は鬼が回転式自動機関銃を取り出して背後から蓮花を狙い撃った。蓮花はそれを横目で見て薙刀を構えた。
蓮花「本当に無粋な男ですね」
蓮花が向き直ると、銃弾はすぐそこまで迫っていた。しかし、蓮花の表情には焦りも恐怖も無かった。
蓮花「柊流"刀術"、粋式『鏡華粋月』!!」
蓮花の振るう薙刀は銃弾を斬るのではなく、弾いていた。刀身の腹や柄を巧みに回して全ての銃弾を鬼にはじき返した。
銀二「蓮花姉、一応ウチもケジメつけさせないといけねえから殺さないどいてくれよ~」
蓮花「わかっていますよ、今のは『北』で遊女にされかけた子達の分です。」
出雲「じゃあ、会ったことないけど『西』と『南』の人たちの分は俺が」
出雲は鬼哭を変形させずに前へ出る。鬼は余程滑稽に思えたのか笑い出した。
「半端者風情が!鬼の俺に勝てると思ってるのか!!」
鬼は落ちていた金棒を振り下ろす、出雲は鬼哭を逆手に持って金棒を受け止めた。
出雲「それで全力か?」
挑発する出雲に鬼は怒りを露わにして幾度となく金棒を振り回した。出雲はそれを弾いて、いなし、そして的確に一か所を集中攻撃する。
出雲「その程度か?勇儀さんの拳はこの何倍も重かったよ」
「だ、黙れ半端者ぉ!!」
鬼の一撃が振り下ろされる瞬間、出雲は集中的に攻撃していた箇所に突きを放つ。金棒は集中的に攻撃を受けて脆くなっている箇所にさらに強い衝撃を受けて粉々に砕け散った。すると銀二が鬼の懐に入って拳を構えていた。
銀二「こいつはウチのシマでてめえらに潰された奴らの分!」
銀二の連続打撃が鬼の全身に襲い掛かった。
銀二「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!」
ふっ飛ばされた鬼に出雲と銀二が同時に追撃を仕掛けた。
出雲「そしてこれが、俺の友達に手を出そうとした分と・・・・」
銀二「これは、俺の組のモンに手出した分だ!!」
出雲と銀二がスペルカードを取り出して、出雲は大槌を、銀二は磁気に引き寄せられた砂鉄を拳にして構えた。
砂鉄[黒金の巨腕鉄槌]
爆砕[驚天動地]
銀二が砂鉄を纏い巨大化した拳で鬼を殴りつけて鬼は勢いよく地面に叩きつけられる。そしてさらにそこに出雲の大槌が振り下ろされた。
出雲「潰れろ!!」
大槌は鬼の腹に打ちつけられ、口から吐血する。更に出雲が飛び退くと、鬼を中心に地面から無数の弾幕が撃ちあがり虫の息となった鬼が宙を舞った、そしてこの弾幕によって屋敷は完全に倒壊して跡形も残らなかった。
瓦礫の上に白目を向いて死ぬ一歩手前の鬼が落ちて来て、それと同時に勇儀と鬼灯組と柊組の混同部隊が最後に一人を片付けた。
こうして、極鬼会は今度こそ完全に壊滅して、旧都完全支配の目論見は未然に防がれた。
次回予告
ヤマメ「本当に完膚無きまでにやったね~」
パルスィ「これどうするのかしら?」
極鬼会壊滅から一夜明けて
銀二「俺たち鬼灯組一同!これからは"兄貴"と呼ばせていただきます!!」
出雲「なんでさ!!」
この一件で旧都で一目置かれる存在に
ヤマメ「だが、断る♪」
出雲「ちょ・・・まっ・・・・」
そして出雲は地上に戻り、季節は夏に変わる
次回、第38話「春過ぎて夏来る」