ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

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プロローグ 『終わりの始まり』

かつて、大名に使え戦国の世を駆けた忍…。

戦国の世を過ぎた現代となってもその存在は必要とされ、二つに別れたていた。

即ち、善と悪に…。

善なる忍、善忍は国家に属し国益のために動く忍。

悪なる忍、悪人は闇企業や悪徳政治家などに雇われ、一部の利益の為に暗躍する忍。

この物語は忍を目指す少年朔乃が半蔵学園忍学科への転入から転生後を描いた軌跡である。

 

「…」

 

忍学科の教室前に少年‐朔乃は立っていた。

これから一人前の忍となるべく、精進していく事となる。

それに対して不思議と不安はなかった。

 

『そう…これまでと同じである』

 

そう自分に言い聞かせる。

幼い頃から家にあった文献や書物を読みあさり訓練を重ね、12歳で自然界から秘伝忍法(自然界から力を借りて発動する絶大な力を持つ忍法)を習得した自分にとって半蔵学園はあくまでも通過点に過ぎない。

 

「さて、前向きが長くなったが今日からお前達と共に過ごす仲間を紹介する。

朔乃、入ってこい」

 

忍クラスの担任であり朔乃の叔父の霧夜に促されて朔乃は忍クラスに足を踏み入れる。

 

「朔乃でござる、皆さんよろしく…」

 

黒板の前に立ち、自己紹介を行おうとしたそのとき、背後に気配を感じ構えようとした瞬間。

 

「ふにゃぁ!」

 

後ろから思い切り胸を揉まれた。

 

「霧夜先生から14とか聞いてたし、やっぱり身長も小さいから…」

 

「葛城…」

 

胸を揉まれあたふたする朔乃。

ため息をつく霧夜に葛城と呼ばれたのは恐らく、朔乃の胸を揉んでいる忍学生の事だろう。

 

「うっ…うにゃぁぁぁぁー!!」

 

「がはっ!!」

 

葛城に胸を揉まれて放心状態であった朔乃は我に返ると葛城な腕を取り、投げ飛ばす。

見事な一本背負いに葛城は受け身をとる暇すら無く床に叩きつけられ、クルクルと目を回す。

 

「せっ…拙者は男でござるよ!!

なっ、なんて破廉恥な事を!」

 

それと同時に胸を庇いながらそう叫ぶ。

 

「「「「男!?」」」」

 

朔乃の叫びに霧夜と葛城以外の面々が目を丸くする。

どうやら身長が低い上に童顔の朔乃の事を女だと思いこんでいたらしい。

 

『こんなので拙者…やっていけるのでござろうか…』

 

等と一抹の不安を覚える朔乃であった。

 

 

余談ではあるが床に投げつけられて目を回していた葛城は『可愛いならば男でも問題ない~』等とのたまっていた。

 

 

朔乃が半蔵学園へ転入してから三カ月が経過し、忍びクラスのメンバーともある程度打ち解けたある日の事。

 

 

『どうか…間に合ってくれでござる!!』

 

朔乃は樹海を全力で走っていた。

任務の為に遠方へと出向いていた朔乃。

彼が戻った忍クラスには飛鳥達の姿は無かった。

全員が任務に向かったのかとも思ったが嫌な胸騒ぎがしたために霧夜に問いただしたのだ。

霧夜曰わく、悪人の養成機関である秘立蛇女子学園が半蔵学園の超秘伝忍法書を強奪、飛鳥達が奪還に向かったとの事である。

超秘伝忍法書は忍養成校の宝にも等しいもの。

だが飛鳥達なら蛇女の忍と戦っても無事に超秘伝忍法書を取り返してくれることを信じてはいる。

しかし、朔乃の脳裏に悪い予感が過ぎってばかりいる。

‐リン‐っと鈴の音が鳴るような音と共に結界の中に入る。

 それと同時に朔乃は自分の悪い予感が的中した事を悟る。

 

「全ての命に、し、し、死、シ、死を。

全ての魂を、ム、ム、ム、無、無に。」

 

蛇女子学園の校舎を倒壊させながら現れた異形を見て朔乃は息をのむ。

 

「まさか!!怨楼血!!でござるか!」

 

何体かの巨大な蛇が合わさったようなその異形の姿に朔乃は声を上げる。

怨楼血…忍びになる夢を持ち、志半ばで散った忍学生の怨念が寄り集まった異形…。

何かの本で読んだ記憶を引っ張り出しながら朔乃は足を早める。

異形の姿に竦みもせずに可憐に立ち回る飛鳥。

端から見れば飛鳥が怨楼血を押しているようにも見える。

それに反して、朔乃の不安はどんどん大きくなっていく。

 

「飛鳥殿!!」

 

飛鳥が怨楼血と激闘を広げていた広場に到着する朔乃。

見れば怨楼血の巨大が倒れていくところであった。

 

「あっ!!朔乃ちゃん!!」

 

飛鳥が朔乃の声に気付き、こちらを見る。

その瞬間である。

 

「コ、殺ス…」

 

倒れそうになった怨楼血が体勢を立て直し、飛鳥にその鋭い牙を突き立てようとしたのは…。

 

「秘伝忍法!!」

 

だがそれよりも早く朔乃が秘伝忍法を発動、雷獣の力を借りた朔乃は文字通り一陣の光となって飛鳥と怨楼血の間へと割り込む。

 

「くぁっ!!」

 

それと同時に怨楼血の牙が朔乃の体に突き刺さる。

想像を絶する痛みが全身を襲い、朔乃は思わず声を上げる。

 

「朔乃くん!!」

 

「朔乃さん!!」

 

「「朔乃!!」」

 

「朔乃ちゃん!!」

 

『ようやく男扱いしてくれたでござるか…』

 

飛鳥の自分への呼びかけに対して場違いにもそんな事を考えながら駆け寄る五つの足音に耳を傾け、朔乃は自分の意識が段々と薄れていく事を感じた…。

 

 

「ここは…どこでござるか?」

 

薄く立ち込める靄の中、朔乃は目覚める。

 

「死後の世界と言えば信じるぅ?」

 

声のする方を見ると朔乃より少し背の高い幼女が酒瓶片手にグラスを傾けていた。

 

「誰でござる?っと言うか未成年者の飲酒は駄目でござる!!」

 

「失礼な~、私は神様だから立派な大人なんだよ~」

 

神を名乗った幼女はそう言うとグラスに酒を注ぐとチビチビと飲み始める。

 

「拙者は…」

 

「死んだよ…」

 

頭を振りながら立ち上がる朔乃に神はサラリと言い放つ。

 

「そうでござるか…」

 

忍になろうと思った時点で既に覚悟は出来ていたつもりであるがいざ、自分が死んだとなると酷く落ち込む。

 

「さてさて!!そんなアナタに神様からのチャンスターイム!!」

 

「はいっ?」

 

いきなりハイテンションにのたまう神に目を丸くする朔乃。

 

「今から君には二つの権利が与えられます!!

一つは、生きていた時に出来なかった事を私にできる範囲で一つだけ、叶えてあげることー。

もう一つは自分が転生できる世界を指定できる権利をプレゼントー!!」

 

やたらとテンションが高い神の言葉を聞きながら朔乃は考える。

 

『願いは、あれで良いでござるが…転生先でござるか…』

 

悩みながら頭を捻る朔乃。

 

「別に漫画やらラノベの世界でも良いよー」

 

神のその言葉に朔乃は一つのラノベを思い浮かべる。

 

「それでは先ず、願いからでよろしいでござるか?」

 

「はいよー」

 

「前にいた世界での拙者が生きていた痕跡を一つ残らず消して欲しいでごさる」

 

「あいさ~」

 

理由も聴かずに快諾する神。

理由としては霧夜や飛鳥に自分が自分の死に対して責任を感じるかも知れないからだ。

特に霧夜は自分の教え子を彼の判断ミスで亡くしている。

出来ればこれ以上苦しんでほしくは無い。

 

「それで?転生先はどうするの?」

 

「IS‐インフィニット・ストラトス‐の世界で、もちろん男の拙者でもISを使えるようにして欲しいでござる」

 

「了解ー、他に意見があるなら聞いとくよ~」

 

「それでは、ISで前の世界で拙者が使ってた忍法を使えるようにして欲しいでごさる」

 

「了解ー、じゃあ君らしいISになるように現地協力員に伝えとくー」

 

『んっ?現地協力員?』

 

っと疑問になったが朔乃にはそれ以上問うことは出来なかった。

意識が遠のいてきたからだ。

こうして朔乃は暁朔乃としてIS世界へ転生することとなったのだ…。

 

 

 

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