ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

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遅くなりましたが八話目です。



第八話 『クラス代表決定戦』

IS学園、第一アリーナ、そこにある控え室に朔乃と簪の姿があった。

簪が今ここにいる理由はクラス代表を決める試合に出る朔乃を激励するためなのだが…。

 

『声をかけづらい…』

 

張り詰めた空気の中、朔乃はインナースーツ姿で座禅を組んでいる。

10分程前に控え室に簪が来てからずっとこの調子なのである。

朔乃の集中を乱すまいと簪には朔乃をじっと見ているしか出来ない。

 

「簪殿?おられるのでござろう?」

 

「ごめん…」

 

薄く目を開ける朔乃に謝る簪。

 

「何故謝るのでござるか?」

 

「だって…精神統一の邪魔しちゃったみたいだから…」

 

申し訳なさそうに言う簪に首を振る朔乃。

 

「別にどうという事はござらぬよ…それで何か拙者に用でござるか?」

 

「うん…実は…」

 

小さく頷き、激励の言葉を伝えようとしたその時であった。

 

「影宮くん、そろそろ試合が始まるから準備をお願いできる?」

 

控え室の扉越しからそう言葉を発したのは副担任の真耶だ。

 

「心得たでござる

すまぬ…簪殿、話は後ほどに…」

 

「私は朔乃に頑張って伝えにきただけだから…」

 

摩耶の言葉に立ち上がる朔乃に自分が控え室に来た目的を伝える簪。

 

「勝てるかどうかは別として、良い戦いになるように心がけるでござる」

 

そう言うながら控え室を後にしてへと歩き出した。

 

「大丈夫、朔乃は勝つよ…」

 

そんな朔乃の背中に向けて簪はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

「あら、アナタも逃げずに来たのですね?」

 

先にアリーナへと出ていたセシリアがそう言いながら腰に手を当てる。

既に一夏は白式を、セシリアはブルー・ティアーズを、朔乃は黒鉄を展開しており試合開始も告げられている。

誰かがトリガーを引けば直ぐに戦闘は開始されるだろう。

 

「試合の前にお二人にチャンスをあげますわ」

 

腰に手を当てたままセシリアは高慢な態度で言葉を紡ぐ。

右手の大口径レーザーライフル〈スターライトMkⅢ〉の銃口は余裕からか下げられている。

 

「いらぬ気遣いでござるな…

大方、ボロ負けして恥をかく前に負けを認めろとでも言う気でござろう?」

 

「あら?朔乃さんは私の案に乗って下さりませんのね?

ならば一夏さんはどうですの?」

 

『何で私の言いたい事が解ったんですの?』とでも言いたげな様子のセシリアは一夏にも話を振る。

 

「俺も遠慮をしとくぜー」

 

「そう、それは残念ですのー」

 

ー警告!敵IS二機の特殊兵装ね展開を確認!

黒鉄のハイパーセンサーがそう警告音を発すると同時にセシリアが『ブルーティアーズ』を展開、一夏も『零落白夜』を発動させて朔乃へと向かって来る。

 

「やはり二人共拙者を倒しに来たでござるか!」

 

あらかじめ、その事を予想していたのか朔乃は叫ぶ。

本気を出していないとは言え、千冬を退けた朔乃。

その朔乃を倒すために一時的に二人が共闘する可能性を朔乃は考えていたのであった。

 

「ならばこちらも出し惜しみなしで行かせてもらうでごさる!」

 

そう言うと同時に朔乃は秘伝忍法を発動。

黒鉄は雷をその身に纏う。

その直撃、ビットが放ったレーザーが朔乃がいる場所へと突き刺ささり爆発が起こった。

 

「案外、大した事がありませんのね」

 

セシリアはそう言いながら追撃を行う為に爆煙に飛び込む一夏を見つめる。

その時である。

ー警告!後方に反応あり!

 

「なっ!」

 

ハイパーセンサーが告げる警告音にセシリアは驚愕し、後ろを振り向く。

それと同時に小太刀を構えた朔乃に切りつけられていた。

 

オートガードによって直撃は避けられたがそれでもセシリアに驚愕の色は隠せなかった。

 

―バリア貫通、ダメージ150。 シールドエネルギー残量、417。

ダメージレベル低。

更に表示される情報にセシリアは青ざめる。

かすっただけでシールドエネルギーの1/4を持っていかれたのだ、直撃していたらと考えるとゾッとする。

 

『っと言うか何ですの!?あのISは!!』

 

心の中で叫びながら今し方、大ダメージを与えた機体を―即ち、黒鉄を見る。

バチバチと音を立てる雷撃に包まれた黒鉄にセシリアは恐怖にも似た感覚を覚えていた。

 

 

 

 

「何なんです?あれ?」

 

「山田先生…黒鉄のマニュアルは御覧になられたでしょう…」

 

雷撃を纏う黒鉄を見て真耶は千冬へと尋ねる。

 

「じゃあ…あれが篠ノ乃博士が無理やり突っ込んだって言う…」

 

「展開装甲だろうな…」

 

千冬の言葉に真耶はゴクリと息を呑む。

 

「それにしてもどうゆう原理であんな高速移動を…」

 

「恐らく…レーザーが機体に当たる前に爆薬を投げ。

 

相手がその爆発に気を取られている隙に、機体に雷を纏って自身をレールガンの弾丸として撃ち出したんでしょうね…。

しかもオルコットの後方に回り込む為にと自身を真っ直ぐ撃ち出した後、急制動。

再び機体を撃ち出したんでだろうな…」

 

「普通!考えてもやりませんよ!!!

っと言うかもし、コントロールを誤って壁にぶつかりでもしたら…」

 

ISが大破、怪我で済まない可能性すらある。

 

「全くだ…馬鹿者め!」

 

憤慨しながらも千冬は朔乃の戦いぶりに目が離せないでいた…。

 

 

 

 

「なっ!いない!?」

 

ブルーティアーズが放ったレーザー。

それによって生じた爆煙に突っ込んだ一夏は驚愕する。

先ほどまで朔乃の姿があった場所、そこに彼の姿は無い。

 

「どこへいった?」

 

疑問に思う一夏、それと同時に上空で爆発音。

それと同時にハイパーセンサーが情報を告げる。

―直上に反応!黒鉄がブルーティアーズと戦闘中!!

 

「いつの間に!」

 

ハイパーセンサーの報告に一夏はセシリアの援護に向かおうとする。

たが、それを行おうとした瞬間にハイパーセンサーが新たな情報を告げた為に一夏はそれを断念せざる…セシリアを見捨てる決断を強いられる事となった。

―超高エネルギー反応を黒鉄周囲に検知! っと言う一言に…。

 

 

 

 

 

朔乃から一撃を受け、更にはビットを二つ撃墜されたセシリアはは近距離でミサイルを放ち、黒鉄と距離を取る。

その矢先に先ほどの警告を受けたのである。

見れば朔乃は刀身の無い大剣の柄のようなものを構えている。

 

『何をするつもりかわかりませんが!』

 

朔乃が足を止めている為にこれを好機と見たセシリアは残ったビットとスターライトMkⅢからレーザーを一斉に放つ。

どう考えても直撃コースだ…だが。

バチンっと雷の弾ける音と共にレーザーは黒鉄を大きく反れる。

 

『なっ!電磁フィールド!?』

 

驚くセシリアはあることに気づく。

大剣の柄にから一直線に伸びた黄金色の刀身が形作られているからだ。

バチバチと刀身が音を立てているところから雷撃で形作られている事は一目でわかる。

問題はその刀身の長さだ。

その長さ、数十メートル。

当然の事ながらセシリアを十分に射程圏内に納めている。

 

「プラズマザンバー…」

 

「まっ、参りましたの!私の負けですの!!」

 

「ブレイカー!!!」

 

「キャアアアアアアアア!!」

 

負けを認めるが既に遅い。

セシリアは朔乃の大剣に切り裂かれ感電、気を失った。

 

 

 

 

 

「セシリアー!」

 

目をグルグルと回して気を失って墜落するセシリアを空中でキャッチすると一夏は彼女を地上へと下ろす。

 

「さて…お主はどうするでござるか?」

 

そう言いながら朔乃は腰を低くして構える。

今、展開している武器は刀だ。

先程展開していた柄は熱で溶けたか蒸発したのだろう。

 

『居合いか…』

 

最近、箒に剣の稽古はつけてもらっているが腕はあまり上がってない。

ましてや相手は剣技で千冬と引き分ける程の相手だ。

だが…

 

『このまま負けを認めるのも格好悪いっての!』

 

一夏にも一夏の意地がある。

故に彼も刀に零落白夜を展開させて正眼に構える。

恐らく、勝負は一瞬。

故に…集中力を極限まで高める。

そして…。

 

「「参る!!」」

 

互いに走り出し。

 

「天翔龍閃!!

 

「がぁ!!!」

 

朔乃の繰り出した神速の一撃に一夏は空中へと舞い上がった。

 

 

 




本編には書いてませんが危険行為をした朔乃には千冬さんから出席簿アタックとキツ~イお説教が待っていたりしますw
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