ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

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第十話  『炎帝』

「織斑一夏ー!」

 

クラス代表を決める戦闘を終えた翌日の事である。

そんな声と共に一組と廊下を隔てる戸が開かれ、その少女が姿を現す。

一夏のセカンド幼なじみであるところの鳳鈴だ。

これもまた悪忍達が転生してきた影響からか鈴が一夏達と同じ時期にIS学園へと入学していたのだ。

 

「鈴?どうした?」

 

そんな鈴に一夏は首を傾げて尋ねる。

 

「どうしたもこうしたも無い!このスカタン!」

 

などと言いながら一夏の元へと鈴は歩み寄りと胸倉を掴んで一夏の体を揺すり始める。

 

「私の計画がまさかこんなところで頓挫するなんてー!」

 

「ちょっと、鈴、落ち着けー」

 

「鈴!落ち着くのだ!!」

 

「鈴さん!落ち着いてくださいまし!!」

既に顔なじみっという程では無いがある程度、一夏からは紹介を受けてた箒とセシリアが鈴を止めに入る。

 

「一夏を代表戦でボコボコにして私の舎弟にする計画がー」

 

 

「なにその計画!?」

一夏から引きはがされた鈴は床に膝をつき、嘆き始める。

 

既に彼女の中で一夏と代表戦を戦うのは決定事項となっていたようだ。

 

『うわぁ…なんかいろいろとややこしい事になってきたでござる』

 

などと心の中で呟く朔乃。

 

そんな朔乃を鈴は立ち上がり、睨みつける。

それと同時に指差して口を開く。

 

「私の計画をぶち壊したあんた!

覚悟しなさいよ!!」

そんな捨てゼリフを吐いて鈴は去っていった。

 

『本当に面倒くさい事になったでござるなー』

 

などと思う朔乃であった。

 

それから更に数日経って代表戦の組み合わせが発表された…。

第一試合…やっぱりと言うべきか朔乃の対戦相手は鈴であった。

 

 

クラス対抗戦当日、第二アリーナ第一試合。

組み合わせは朔乃と鈴。

噂の新入生同士のたたかいということもあってかアリーナは全席満員。

それどころか通路にまで立ち見をしている生徒までいる始末だ。

会場入り出来なかった生徒や関係者は、リアルタイムモニターで鑑賞するとのことであった。

 

『さて…相手の大体の戦闘法はわかってるでござるからな…問題はどうやって攻略するかでござる』

 

などと心の中で呟きながら鈴の方を見る。

 

「私にボコられる覚悟は出来た?」

 

甲龍を展開した鈴が巨大な青竜刀を手にそんな事を言って来る。

 

「完全に八つ当たりでござるなー」

 

その言葉に朔乃は小太刀を展開していして苦笑を浮かべて呟く。

頭の中では既に策は練られている。

 

『問題はこの後に出てくる敵でござるな…』

 

などと考えていると試合開始を告げるブザーが鳴る。

 

瞬間、朔乃は纏雷を発動して甲龍との距離を詰め、小太刀を振り下ろす。

 

「残念だけどそれを喰らうわけにはいかないわね」

 

朔乃の小太刀を青竜刀で受け止めながら鈴はそう言うと蹴りを放ち朔乃を吹き飛ばす。

 

「つっ…」

 

衝撃に顔を歪める朔乃は甲龍を見る。

 

肩の装甲が開き、それが発射態勢に入っていた。

 

『っ!?』

 

原作の知識が甲龍の持つ第三世代型兵器の存在を告げる。

 

吹っ飛ばされた現在の体勢では避けるのは難しく、纏雷を展開しているとしても喰らえば大ダメージは必至だ。

だが、そんな事で諦める朔乃ではない。

 

『可能性は低いがやる価値はあるでござるな…』

 

心の中でそう呟きながら朔乃は小太刀を構え直す。

 

それと同じくして甲龍がそれを発射する。

 

「はっ!」

 

気合いの声と共に朔乃は小太刀を振り下ろす。

 

同時に朔乃の後方で見えない爆弾が爆発したような衝撃が起こった。

 

 

 

「なんだあれは…?」

 

ビットからリアルタイムモニターを見て箒が呟く。

それに答えたのは隣どモニターを見ていたセシリアだ。

 

「『衝撃砲』ですわね…。

空間自信に圧力をかけて砲身を作り、余剰で生まれる衝撃を砲弾化して撃ち出すものですけど…」

 

そこまで言ってセシリアは息を呑む。

砲弾である故に斬ることは不可能では無い。

…それでも不可視の砲弾を斬るのは困難だ。

改めて朔乃と言う人間の非常識な実力に目を見張るセシリアと箒。

だが、この場で一番驚いているのは鈴だろう。

そして、それの隙を逃がすほど朔乃は甘くは無い。

 

「はぁぁ!」

 

裂帛の声と共に朔乃は甲龍へと距離を積めようとする。

 

その瞬間…。

 

突如、アリーナから大きな衝撃が走る。

 

鈴の衝撃砲では無い、範囲も威力も段違いである。

朔乃はステージ中央に着地しているそれを見る。

朔乃が原作で知るそれと姿は大きく姿は異なっていた。

炎のように赤いよろい鎧武者の姿をしたフルスキンタイプのISだ。

 

『久しいな…霧夜朔乃…いや…今は影宮朔乃だったかな…』

 

鎧武者型のISから黒鋼へとプライベートチャンネルで通信が入る。

その聞き覚えある声に朔乃は眉根を寄せる。

 

『道元…っ』

 

そう、その声の主は悪忍養成機関である、蛇女子学園スポンサーである道元だ。

 

『何故!貴様がISに乗っているでござるか!?』

 

そうコアネットワークを越しに朔乃は叫ぶと道元へと雷を纏わせた小太刀で切りかかる。

 

『我々悪忍は某国機業と手を組んでいるからな。

私がISを持っている事に何ら問題は無かろう』

 

朔乃の小太刀を受け止めながら道元が答える。

現在も纏雷を展開しているにも関わらずそれ以上は押すことも引くことも出来ずにいた。

 

『今回はこの『炎帝』の試運転を兼ねて貴様との一騎打ちに来たわけ…ぬっ?』

 

尊大な態度で言う道元はそこまで言ったとところで後ろへと大きく飛ぶ。

甲龍が衝撃砲を道元に向けて放ったからだ。

 

「何勝手に人の喧嘩に突っ込んで滅茶苦茶にしてくれるわけ!」

 

「全く…五月蝿い娘だ…」

 

頭に青筋を浮かべる鈴に向けて右腕を向けて静かに呟く。

 

「煉獄…」

 

「きゃぁぁぉぁぁぁ!!」

 

道元の言葉と共に右腕から撃ち出された火球が鈴を襲い、闘技場に炎が広がる。

 

「鈴殿!!」

 

燃え盛る炎の中で横たわる鈴の姿があった。

 

シールドエネルギーが一撃でゼロになり絶対防御が働ていることを黒鋼のハイパーセンサーから告げている。

 

だが、今も甲龍を包んでおり、危険な状態には変わりない。

 

「てめぇー!よくも鈴を!!」

 

「許しませんの!」

 

声を上げて一夏が白式を展開させ零落白夜でアリーナに張られているシールドを切り裂き、ブルーティアーズを展開したセシリアと共にアリーナへと割り込んでくる。

 

「雑兵が…!」

 

「ぐっ…」

 

「きゃぁ!!!」

 

そう言いながら道元が腕を振るうと爆発 が起こり、一夏達が苦悶の声を上げて吹き飛ぶ。

 

『道元ー!』

 

叫びながら朔乃は道元の炎帝を押し始める。

 

「ふふふ…仲間がやられたのて力を出すか。

面白い!実に面白い!!だが…」

 

「つっ!」

 

炎帝が黒鉄の腹部に蹴りを放ち吹き飛ばす。

 

「今日はいささか興が削げた。

またいずれ相対しようではないか!」

 

そう言いながら炎帝から白い煙が噴出する。

煙幕である。

 

『道元ー!』

 

直ぐにその煙幕は晴れたがそこには道元の姿は無くただ、朔乃の叫びだけがアリーナに木霊した。




っと言うわけでISカグラ第十話となります。
最初は普通にゴーレムを出そうかと考えたのですがせっかく道元を転生させたので有効活用させていただきました(笑)
次回から原作二巻へと入るのでお楽しみですー。
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