道元の乱入により代表戦が中止とってからひと月が経過しようと言う時期。
道元の『炎帝』の攻撃の攻撃はシールドエネルギーを貫通する程の威力だったにも関わらず三人共に軽い火傷で済んだのが幸いと言えた。
そして、そのひと月の間にISを取り巻く世界情勢が大きく変化していた。
フランスのデュノア社が原作では遅れていた筈の第三世代ISの開発に成功したのだ。
それに伴い、フランスの代表候補生がIS学園に編入事になったのだ。
無論、その代表候補生とは誰とは聞くまでもない。
「シャルロット・デュノアです。
フランスから来ました。
この国では不慣れな事も多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」
にこやかな笑みを浮かべてその転校生ことシャルロット・デュノアは一礼する。
「むぅ…」
っと朔乃は呻きながら困ったような表情を浮かべる。
原因となるのはシャルロットではなくその隣に立つ、銀髪の眼帯少女―即ちラウル・ボーディッヒである。
「………」
彼女が無言で朔乃を鷹が獲物に向けるような目つきで朔乃を見ていたからだ。
「…………挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、申し訳ありません、教官」
千冬に促されてラウラは視線を千冬に向け、敬礼をしながらそう答える。
「ここではそう呼ぶな。
もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。
私の事は織斑先生と呼べ」
「了解しました」
そう答えるとラウラは伸ばした手を体の真横につけ、足をかかとであわせて背筋を伸ばすと口を開く。
「ラウラ・ボーディッヒだ」
「………」
次の言葉を待っているのかクラスメート達は皆、口を閉ざしている。
だが、その当人は名前を口にしたまま口を閉ざしたままだ。
「あ、あの、以上………ですか?」
「以上だ」
そんな空気にいたたまれなくなったのか摩耶がラウラに問うが返ってきた返事に鳴きそうな顔を浮かべる。
『修羅場でござるなー』
などと朔乃が考えているとラウラが一夏の方へ向かって歩き始める。
次いで教室に響いたのは千冬が繰り出す出席簿アタックのような体を鞭打するような音だ。
ラウラが一夏の頬を平手打ちしたのだ。
「私は認めない。貴様があの人の弟であることなど、認めるものか」
「いきなり何しやがる!」
「ふん」
食ってかかる一夏をラウラは無視すると歩き去と空いている席に座り腕を組んで目を閉じる。
「あー………ゴホンゴホン!
ではHRを終わる。
各人は直ぐに着替えて第二グラウンドに集合。
今日は二組と合同でIS模擬戦を行う。
解散!」
千冬に促されて朔乃と一夏は共に教室から第二アリーナの更衣室へと向かった。
「しっかし…俺が一体何をしたんだっての…」
着替えを終えた一夏はアリーナへと向かいながら呟く。
「四年前のモンドグロッソが原因ではござらぬか?」
そんな一夏の呟きを聞きながら朔乃が答える。
「なんでその事であいつが俺に怒らなきゃならん?」
「ラウラ殿は千冬殿を教官っと呼んでおったでござろう?
則ち、千冬殿がIS学園の教諭になるまでに軍隊で教官をやっていたことは容易に想像できるでござる。
そして、第二回モンドグロッソ開催中に一夏殿が誘拐されたせいで千冬殿は棄権せざる得なくなった。
千冬殿を教官と仰ぐラウラ殿が怒るのも当然でござるよ」
「むう…」
未だにバツの悪そうな表情を浮かべる一夏に朔乃は苦笑を漏らしながら第二グラウンドへと到着する。
「遅い!」
それと同時に飛んできたのは千冬の叱責であった。
「「すいません!」」
二人して頭を下げながら列に加わる。
「今日はいつもより遅かったけど何かあったの?」
列に加わった簪は朔乃に小声で尋ねてくる。
「うぬ、少し一夏殿と長話をしすぎたのでござるよ…」
っとそこまで答えた所で“バシン”っと言う出席簿アタックの音が響き朔乃は音のした方を見るとセシリアと鈴が頭を抱えてうずくまっていた。
予告通り二巻突入&遅くなりましたが11話となりますー