ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

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第十七話 『銀の福音』

原作同様に真耶が慌てていた理由はアメリカとイスラエルが共同開発した軍用IS『銀の福音』が暴走した為であった。

現在、音速飛行中の福音を撃墜するためには一撃でしとめねばならぬ為に白式の零落白夜を用いる事となり、また、その運搬の為にパッケージのインストール無しに超音速飛行が可能な紅椿を用いることが決まったのだ。

 

万が一、 一夏と箒が失敗した場合に備えて昨乃も二人に同行する事になった。

黒鉄もまた纏雷を用いる事によって超音速飛行を行う事が可能だからだ。

 

そして時刻は作戦開始時刻である十一時半。

「来い、白式」

 

「行くぞ、紅椿」

 

「黒鉄、展開」

 

僅かに距離を起きながら並び立った三人はISを展開させる。

 

「じゃあ、箒。よろしく頼む」

 

「本来なら女の上に男が乗るなど私のプライドが許さないが、今回だけは特別だぞ」

 

作戦の性質上、移動は完全に箒任せとなっているために白式が紅椿の背に乗るような形になるのだ。

 

やはりと言うか、昨乃自身も多少は危惧をしていたのだが箒の方は自分専用の機体が手に入って少しばかり浮かれているように思えた。

 

『織斑、篠ノ之、影宮、聞こえるか?』

 

ISのオープンチャンネルを通じて千冬の声が耳に入る。

 

『今回の作戦の要は一撃必殺だ。短時間での決着を心掛けろ』

 

「了解」

 

「織斑先生、私は状況に応じて一夏のサポートをすればよろしいですか?」

 

『そうだな。だが、無理はするな。

お前はその専用機を使い始めてからの実戦経験は皆無だ。

突然、何かしらの問題が出るとも限らない』

「わかりました。できる範囲で支援します」

 

箒の口調は一見落ち着いているような返事だが昨乃にはどこか浮ついているように聞こえてならなかった。

 

『―織斑、影宮』

 

 

「は、はい」

「はい」

 

オープンチャンネルではなく、プライベートチャンネルで入った千冬からの通信に昨乃と一夏も回線を切り替えて返事をする。

 

『どうも篠ノ之はうかれているようだな。

あんな状態ではなにかをし損じるやもしれん。

いざと言うときにはサポートをしてやれ』

 

「わかりました」

 

「了解でござる」

 

『頼むぞ』

 

それからまた回線はオープンへと切り替わり、千冬が号令をかけた。

 

「では、はじめ!」

 

その声と同時に箒が背中に一夏を乗せたままで一気に上昇、加速する。

 

昨乃も同様に纏雷を発動させて二機を追いかけ始めた。

 

 

 

「見えたぞ、一夏、昨乃!」

 

出撃して数分後、頬の声に昨乃は気を引き締めて映し出された視覚情報として映し出される。

 

『銀の福音』の名の通り銀色の装甲、頭部から生えた一対の巨大な翼が特徴的であった。

 

朔乃の目前でスラスターと展開装甲の出力を上げて箒が福音との距離をつめる。

 

恐らく接触まで数秒とかからないであろう。

 

「うおおおっ!」

 

一夏が零落白夜を発動、同時に瞬時加速で間合いをつめる。

そのまま光刃が福音に触れようとした瞬間、速度を維持したまま反転、後退しながら身構える。

一方の一夏は既に攻撃のモーションを取っているために引くのは遅すぎる。

 

反撃が来る前に攻撃を仕掛ける。

 

だが…

 

「敵機確認。迎撃モードへ移行。《銀の鐘》、稼働開始」

 

オープンチャンネルら機械的な音声が聞こえると同時に福音が体を一回転させて零落白夜を回避する。

 

「箒!朔乃!援護を頼む!」

 

「任せろ!」

 

「了解にござる!!」

焦りながらも一夏は福音に切りかかる。

零落白夜の残り時間が少ないせいもあり大振りの一太刀を浴びせようとする。

 

だが、その隙を見逃す福音では無い。

 

スラスターの役割も担う銀色の翼、その一部が開き光弾が撃ち出されたのである。

 

「ぐうっ」

 

羽型のエネルギー弾を喰らい呻き一夏は後退する。

 

「箒と左右から同時に攻める。

朔乃、援護を頼むぞ」

 

「了解でござる!」

 

一夏と箒は複雑な回避運動を行いながらも連射を行う福音へと攻撃を回避、同時に反撃を行う。

 

対する箒も二刀流を駆使して福音を追いつめている。

 

福音に箒が距離を詰めて斬撃を放とうとする。

 

「La………♪」

 

だが甲高いマシンボイスと共にウィングスラスターがその砲門を開く。

総数は八十、データよりも多い。

 

その砲門から一斉に光の羽根が撃ち出される。

 

「しまっ!」

 

圧倒的な光弾の量に箒が声を上げる。

距離を詰めすぎた為に回避は間に合わない。

 

「箒!」

 

「フォトンランサー!」

 

一夏が叫ぶと同時に朔乃は展開を終えたそれを撃ち出して光弾を迎合、誘爆させる。

 

朔乃が撃ち出したのはに総数二十の誘導性の小型のプラズマスフィアだ。

 

フォトンランサー…フォトンブラスターの弾数を減らすことで誘導性を持たせた技だ。

 

「どういう事だ…データ上のものと武装が異なるだと!」

 

『福音を暴走させた何者かが新たにパッケージをインストールしたのでござろうな…。

っとなれば他に武装があったとしても不思議は無いでござる…』

 

叫ぶ箒に朔乃は疲弊した頭で考える。

誘導システムはほぼ思念操作に近いものであり、初めて用いたということもあり数瞬ほど反応が遅れる。

 

「朔乃!」

 

一夏の声に朔乃はハッとなる。

 

福音が右腕に展開したプラズマライフルを朔乃へと向けていたからだ。

 

既に指は引き金にかけられており今から纏雷を発動させたとしても回避は間に合わない。

 

「くっ…」

 

自分らしくないミスに呻く朔乃。

 

それと同時に福音が引き金を引き、ビームが発射される。

 

「ぐあああああっ!!」

 

「一夏っ!!」

 

「一夏殿!」

 

黒鉄にビームが当たる寸前、瞬時加速で朔乃と福音の間に割り込んだにビームが直撃した。




前回より一週間以上間が空きましたが福音編第四話をアップしますー
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