ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

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第十九話 『朔乃・イン・ワンダーランド』

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「ぬっ…」

 

朔乃が目を覚ますと土手のような場所で簪に膝枕されていた。

近くには沢が流れているらしく小川のせせらぎが聞こえてくる。

 

『これは…確か拙者は道元と戦って…』

 

混濁する記憶の中、朔乃は体を起こして周りを見回す。

 

簪の方は何やら漫画を読んでいて朔乃の方に気づいていない。

同時に着衣に違和感を覚えて首を下に巡らせる。

 

『なっ!?』

 

それと同時に朔乃は驚愕に目を見開く。

何故ならば朔乃の着衣はフリフリのロリータ系衣装となっていたのだ。

 

『これは…どういう事でござるか?』

 

混乱する頭で再度周りを見回しているとすぐ近くを束が走って行く。

 

束はスカートのポケットから懐中時計を出して「たいへんだ!遅刻しちゃう!!」と独り言を言いながら急いでいた。

 

『ぬ?…束殿あんなに急いで何処へ?』

 

衣装などについていろいろと気にはなっが、朔乃は束の後を追いかける。

すると束は何やら地面にできた大きな穴へと飛び込んでいく。

朔乃もまた、彼女の後を追いかけて穴へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

穴は深く朔乃は突起を足場にしながら底へとたどり着く。

そこには束の姿は無く一本道が続いていた。

束はその道を真っすぐ進んでいった可能性が高い。

朔乃はそのまま進み、束の後を追いかけて始めた。

 

それから暫く歩いていると森の入り口にたどり着く。

 

「朔ちゃーん」

 

それと同時に聞こえてきた声周りを見回すと頭上、木の上に猫の着ぐるみを着た本音の姿があった。

 

「ぬ? 本音殿?その格好はいった…」

 

「本音じゃないよ~、チェシャ猫だよ~」

 

「いやしかし…」

 

「チェシャ猫だよ~」

 

朔乃の言葉を途中で遮り本音は宣う。

 

このまま押し問答を続けていてもどうかと感じた朔乃は本音に別の質問を投げかける。

 

「拙者がここに来るまでに誰か来なかったでござるか?」

 

「うん、10分ほど前に白うさぎさんが慌てた様子で通っていったよ~。

多分、お城で開催される武踏会に行ったんだと思うよ~」

 

『舞踏会?』っと首を傾げる朔乃に本音が説明する。

 

「えっとね~、王子様が16歳になった誕生祝いとお嫁さん探しを兼ねたものらしいよ~」

 

そこまで話した所で本音がニヤリとそのかに笑みを浮かべる。

 

「そうだ!朔ちゃんも参加してみると良いよ」

木から降りて朔乃の手を握りながら宣う本音。

 

「いや…拙者は…って!?どこへ連れて行くつもりでござるか?」

 

「そんなのお城に決まってるよー」

 

「拙者は行くとは一言もいってごさらぬよ!?」

 

などと抗議する朔乃の声は当然のように無視され本音によってお城へと連行された。

 

 

 

「むー」

テーブルに並べられたら料理を摘みながら朔乃は眉間に皺を寄せていた。

 

その原因の最たるものが今彼の着る豪奢なドレスである。

 

自称チェシャ猫こと本音にお城へと連れてこられた朔乃は王子様の侍女を名乗る摩耶に拘束されてこの格好に着替えさせられたのだ。

 

『拙者…男なのに…』

 

「あの…」

 

思わず泣きそうになる朔乃は背後から聞こえる声に振り向く。

 

そこにいたのは王族っぽい衣装に身を包んだ一夏であった。

 

「よろしければ俺と一曲、踊ってくれないか?」

 

そう言って手を差し出す一夏。

 

『どうしようでござる…』

 

無碍に断っても、ダンスの誘いに乗ったとしてもややこしい事になるのは確実だ。

 

「「「「「ちょっと待ったー!!!」」」」」

 

どうやってお断りしようか考えていた朔乃であったが五人の少女の声がダンスホールに響く。

 

箒、鈴、セシリア、シャル、ラウラの五人だ。

 

「一夏!幼なじみの私を差し置いてそのような素性のわからぬ者をダンスに誘うとは何事だ!」

 

「一夏、一度痛い目に合わないとわからないらしいわね」

 

「一夏さん!ヒドいです…この私を差し置いて」

 

「一夏、少し頭…冷やそうか?」

 

「貴様は私の嫁としての自覚が足りぬ!」

 

等と五人が口々に言いながら一夏へとにじり寄る。

 

「えっと…頼む」

 

「ちょっ!一夏殿!!」

 

対する一夏はイグニッション・ブーストを発動させたかのようなスピードで会場を脱出する。

 

それと同時に五人の視線が朔乃へと集まる。

 

「貴様さえいなければ一夏は!」

 

「私を選んだはずなのに!」

 

「そうですわ!責任取って下さりまし!」

 

「いっぺん…死んでみる?」

 

「貴様は万死に値する」

 

などと言いながら五人は殺気立った目つきで朔乃へと詰め寄る。

 

「かっ、堪忍してつかてつかぁさい…」

 

っと言いながら朔乃は目を覚ます。

同時に視界へ入ってきたのはIS学園の天井と朔乃を膝枕した状態で眠っている簪だ。

 

 

 

「夢…でござるか?」

一人呟く朔乃は自分が眠る前のことを思い出す。

 

臨海学校から学園に戻った朔乃は簪に自分の前世について話したのだ。

 

少しばかり暗い雰囲気となったために朔乃がアニメや同人誌の事へと話題を転換。

 

話に盛り上がっていると急激に眠気と疲労が襲ってきた所までは何とか思い出せた。

 

そのまま眠ってしまった朔乃を簪が膝枕してくれてたのだろう。

 

『それならばもう少し良い夢でも見れれば良かったのでござったが…あー』

 

それと同時に朔乃はもう一つ思い出す。

 

自分が眠る前に簪と話していた同人誌の内容だ。

 

臨海学校に行く前に朔乃と簪が水着を買いに行ったついでに寄ったま●だらけ。

そかで簪が不思議の国のアリスを元ネタとした同人誌を買ったのだ。

その内容は不思議の国に迷い込んだアリスがその国の王子様に見惚れられてしまう物語だった筈だ…。

『それが一体どう転んだらあんな夢になるのでござろう』

 

苦笑しながら朔乃は気持ちよさそうに眠る簪を見る。

 

『簪殿は一体、どんな夢を見ているのでござれうな…』

 

その楽しそうな寝顔を見てそんな事を思うのであった。

 

 

 

 

 




二次創作であろうともプロットは必要なんだよ!

前回よりかなり遅れました灰音です。

不思議の国のアリスを元に短編を作ろうとしたらいつの間にか別の話になっていたりします。
キチンと筋道を立てて物語を作るのはやはり重要ですねー。
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