ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

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第二十話『文化祭(前編)』

「私は更織楯無。

君たち生徒の長よ。

以後、よろしく」

 

九月、二学期に入り原作では文化祭に一夏を巡って争奪戦が起こる時期である。

現在、全校集会の真っ最中で講堂にて楯無がスピーチを行っている。

 

「さて、今月の一大イベントの学園祭だけど、今回限定で特別ルールを採用しようと思いますその内容はー」

 

楯無が扇子を取り出して横へとスライドさせる。

 

それと同時に浮かび上がるのは空間投影ディスプレイだ。

 

「名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」

 

小気味の良い音と共に扇子が開く。

 

それに合わせるようにディスプレイには一夏の写真が映し出される。

 

「え……」

 

「ええええええええ~~~~~~っ!?」

 

ぽかんと口を開ける一夏。

 

大して割れんばかりの叫び声を上げる女子勢。

 

「静かに。

今まで学園祭では毎年各部活動ごとに催しものを出し、それに対しての投票を行い、上位組には部費に特別助成金が出る仕組みでした。

しかし、今回はそれではつまらないと思い―――」

 

扇子で一夏を指す楯無。

 

「織斑一夏を、一位の部活動に強制入部させましょう!」

 

「ちょっ…」

 

何か言いたそうな一夏であったがその声も湧き上がった歓声に打ち消されて黙り込む。

ちなみに朔乃が争奪戦の景品とならなかったのは簪と共にアニメ研究会に所属していたからである。

 

そしてその日の放課後の特別HRにてクラスの出し物を決めるために盛り上がっていた。

「ふむ…」

 

朔乃にはクラス代表として意見をまとめる立場にある。

 

だが、あげられた内容が『織斑一夏と影宮朔乃のホストクラブ』やら『織斑一夏や影宮朔乃と王様ゲーム』などと朔乃や一夏から見ればろくでもない意見だったりするのだ。

 

「却下」

 

「却下でござる」

 

そしてそんな意見を了承する一夏や朔乃では無い。

 

当然の事ながら大ブーイングが巻き起こる。

 

「当たり前でござる、そのようなものは了承しかねるでござるよ。

もう少し普通の意見を練って出直してくるで―」

 

先ほどからこんな調子で意見は纏まらず、千冬は職員室へと戻っている。

 

「メイド喫茶はどうだ?」

 

 

なかなかまともな意見が出ない状態でそう案を出したのはラウラだった。

 

原作を知っている朔乃を除いた全員がぽかんと口を開けている中、ラウラはいつもの淡々とした口調で続ける。

 

「客受けはよいだろう。

それに、飲食店ならば経費の回収も行える。

確か、招待券制で外部からも入れるのだろう?

ならば休憩所としての需要も少なからずあるはずだ」

 

「っと言うことで皆はどうでござるか?」

 

多数決をとる前に女子の反応を見ようとする朔乃。

 

だが急に振られた一同は未だにポカンと口を開けたままでたある。

 

「いいんじゃないかな?

一夏には執事か厨房を担当してもらえばオーケーだよね?」

 

シャルのその言葉で一組女子達に火がつく。

「織斑君、執事!いい!」

 

「それでそれで!」

 

「メイド服はどうする!? 私、演劇部衣装係だから縫えるけど!」

 

「メイド服ならツテがある。

執事服も含めて貸してもラウルか聞いてみよう」

 

そう言ったラウラにまたしても朔乃以外の一同が目を丸くする。

 

「―――ごほん。

シャルロットが、な」

 

注目されたことで照れたのだろう、ラウラは顔を僅かに赤らめてシャルに話を振る。

 

「き、訊いてみるだけ訊いてみるけど、無理でも怒らないでね」

 

不安げに告げるシャルに、クラス女子は声を合わせて『怒りませんとも!』っと断言する。

 

こうして、一年一組の出し物はメイド喫茶改めて『ご奉仕喫茶』に決定したのであった。

 

 

 

 

「っと言うわけで一組はコスプレ喫茶になったでござる」

 

HR後、職員室にて朔乃は千冬の元でクラス会議の結果を報告する。

 

「ふむ、立案は誰だ?田島か、それともリアーデか?」

 

「いえ、ラウラ殿でござる」

 

ニヤニヤしながら問うた千冬は朔乃の答えを聞いてまばたきを二度して盛大に吹き出す。

 

「ぷっ…ははは! ボーディビィッヒか! それは意外だ。

しかし……くっ、ははっ! あいつがコスプレ喫茶とは? よくもまあ、そこまで変わったものだ」

 

「やはり意外でござるか?」

 

「それはそうだ。 私はあいつの過去を知っている分、おかしくて仕方ないぞ。

ふ、ふふっ、 あいつがコスプレ喫茶…ははっ!」

 

千冬はそれからひとしきり笑うと目尻の涙を拭う。

 

そんな彼女の反応は職員室の教員たちにとって意外なこうけいだったようで皆が目を丸くしていた。

 

「ん、んんっ。―――報告は以上だな?」

 

周囲の視線に気づいたのか千冬が咳払いをして語調を整える。

 

「以上でござる」

 

「ではこの申請書に必要な機材と使用する食材などを書いて一週間前には提出しろ」

 

「了解でござる」

 

千冬が出した書類を朔乃は受け取り職員室を出ようとしたときでだあった。

 

「影宮」

 

千冬に呼び止められて朔乃は振り向く。

 

「それで…お前は女装するのか?」

 

「織斑先生もそういう扱いでござるか!?」

 

ニヤニヤして言う千冬の言葉に朔乃は声を大にして叫んだ。

 




という事で⽂化祭編(前後編予定)の前編をお送りさせて頂きます。

早ければ数中にでも後編はupできるかもです
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