ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

25 / 38
第二十二話 『弾丸のように早く』

「はい、それでは皆さーん。

今日は高速機動についての授業をしますよー」

一組副担任である山田真耶の声が第六アリーナに響き渡る。

 

「この第六アリーナでは中央タワーと繋がっていて、高速機動実習が可能であることは先に言いましたね?

それじゃあ、まずは専用機持ちの皆さんに実演してもらいましょうー」

山田先生がそう言って手を向ける先には、ISを展開したセシリアと一夏がいた。

 

「まずは高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー」を装備したオルコットさん」

通常時はサイド・バインダーに装備している四基の射撃ビット、それに腰部に運結したミサイルビット、それら計六基を全て椎進力に回しているのがこのパッケージの特徴である。

それぞれの砲口を封印して腰部に連結することでハイスピード&ハイモビりティを実現しているのだ。

「それと、通常装備ですが、スラスターに全出力を調整して仮想高速機動装備にした織斑くん。

この二人に一周してきてもらいましょう」

山田先生の言葉で一夏とセシリアは機体を空中へと進ませる。

 

「では、………3・2・1・ゴー!」

 

山田先生のフラッグで一夏とセシリアは一気に飛翔、加速すると同時に音速を突破した。

 

『おおー、すごいスピードでござるなー』

『纏雷』による加速で亜光速飛行が可能な黒鉄なであるがこうして高速飛行するISを見るだけで何というか血湧き肉踊るようなものがあった。

 

昨乃の目には学園のモニュメントである中央タワー外周を折り返し、アリーナへと戻ってきて地表へと戻る。

「はいっ。お疲れ様でした! ふたりともすっごく優秀でしたよ~」

 

教え子が優秀であるのが嬉しいのか子供のようにはしゃぎながら一夏とセシリアを誉める山田先生。

同時に、豊満なバストが揺れるために昨乃は目のやり場に困り赤くなる昨乃。

 

「昨乃のエッチ…」

 

そんな昨乃の隣でポツリと簪が呟く。

 

「いやいや、簪殿…これは完全に不可抗力で…」

 

簪の言葉にしどろもどろになって弁解する昨乃。

 

だが、そんな昨乃の言葉を遮るように千冬が手を叩き全員を注目させる。

 

「いいか。今年は異例の一年生参加だが、やる以上は各自結果残すように。

キャノンボール・ファストでの経験は必ず生きてくるだろう。

それでは訓練機組の選出を行うので、各自割り振られた機体に乗り込め。

ぼやぼやするな。開始!」

 

毎年の垣例行事であるキャノンポール・ファストは本来、整備課が登場する二年生からのイベントだ。

しかし、今年は予期せぬ出来事に加えて専用機持ちが多いことから、一年生時点で参加することになったのだ。

 

訓練機部門は完全なクラス対抗戦になるため、例によって景品がでるとのこだ。

 

「よーし、勝つぞ~」

「お姉様にいいとこ見せなきゃー」

 

「勝ったらデザート無料券I これは本気にならざるを得ないわねー」

 

そんなこんなで燃えている女子一同に触発されてか、教師一同も指導に余念がない。

 

 

ちなみに各専用機の機体のレース時の仕様は高速機動パッケージ組がセシリア、鈴。

機体出力調整組が朔乃、一夏、箒。

増設スラスター組がアリア、シャル、ラウラとなっている。

 

 

「影宮くん、どうでした?」

 

「ぬ? 山田先生。

やはり、音速飛行というものは何というか胸が熱くなるでござるよー」

「そうですかー。影宮君はハンデがありますが頑張ってくださいね」

 

スペック上は亜光速飛行が可能な黒鉄は他の専用機から遅れてスタートしたり、纏雷の出力を5%から10%までと制限されれていたりするのだ。

 

「多少は厳しいでござるが…やれるだけやるでござるよ」

 

「そうだー せっかくだから私と模擬戦してみますか?

キャノンポール・ファスト想定

の高速機動戦闘です」

「よいのでござるか?」

 

山田先生の意外な申し出に驚く昨乃。

前世から『纏雷』を用いた加速しながらの戦闘に慣れている昨乃ではあるがこういったレース形式で使用するのは初めての経験である。

それ故に山田の申し出は非常にありがたいものであった。

 

「はい!私の機体はすでに高速機動戦闘用に調整してあるので、すぐにはじめられますよ」

 

「では、お願いするでござる」

 

「はいっ♪」

 

満面の笑みでうなずいた山田先生は、IS「ラフアール・リヴァイヴ』を展開する。

 

こちらはシャルのカスタム機とは違い、標準仕様に近い。一対の物理シールドが特徴的だ。

「ちなみにこれはシールドをサイド・スラスターとして使用しています。

増設スラスターは背部に三基ですね」

 

言いながらながら、機体をお披雷目する山田先生。

彼女の言葉通りラファールの両サイドにサイドにシールドが装着されており、背中に増設された巨大なスラスターが強烈な存在感を出している。

「結構ごついでござるなー」

 

「この増設スラスター、元々は大気圏離脱用のものを転用しているんです。なので、ロケット燃料を使う分、全体が大きくなってます」

 

「ロケット燃料でござるか?」

 

誘爆とかの心配をする昨乃に山田先生は言葉を続ける。

 

「一応、安全対策は万全なので大丈夫ですよ。

ほら、こうやって調整で絶対防御の範囲圏を広げるんです」

 

「なるほど…」

 

山田先生の解説に頷く昨乃。

 

「さて…そろそろ始めますよ。

影宮くんの準備は大丈夫ですか?」

 

「いつでも大丈夫でござるよ」

 

黒鉄を展開しながら昨乃は答え、スタートラインに並ぶ。

 

「では…影宮君は十五秒後に発進してくださいね」

 

そう言いながらに山田先生はスラスターを吹かして加速、あっと言う間に肉眼では見えなくなる。

 

 山田先生がスタートすると同時に右目に昨乃がスタートするまでのカウントが投影される。

 

その数字がゼロになると同時に昨乃は纏雷を使い加速、数秒して山田先生へと追いつく。

 

「やっぱり速いですね~」

 

昨乃が山田先生に追いつくと既に展開済みだったサブマシンガンを昨乃に向けて発砲する。

 

だが昨乃は予測済みとばかりに減速、銃弾を避け、小太刀を展開する。

 

それと同時に昨乃の目の前にピンの抜けたグレネードが投げ込まれる。

 

「それも予測済みでござる!!」

 

昨乃がそう言うとグレネードが爆発するより早く、先ほど展開した小太刀の峰でグレネードを山田先生の方へと弾き返す。

 

「はわわわわわ!!!」

 

グレネードは山田先生の直ぐ近くで爆発、爆風でバランスを崩した所で小太刀を叩き込み山田先生をコースアウトさせる。

 

「あいたたたたた…」

 

地面に落ちた山田先生はそう言いながらお尻をさすりながら立ち上がろうとする。

 

「大丈夫でござるか?」

 

心配した表情で昨乃は地面に降り山田先生に手を貸しながら尋ねる。

 

「はい、大丈夫です。

それにしても…流石影宮くんです。

やっぱり私では全く歯が舘ません」

 

『原作読んで山田先生の戦い方を知らなければ地面に落ちていたのは拙者でござろうな…』

 

感心した表情で宣う山田先生を立ち上がらせながらそんな事を考える昨乃であった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。