「はぁ…」
結局のところ、簪が気を操る事が出来ずに迎えた専用機持ちのタッグマッチ当日。
あろうことか初戦にぶち当たったのが楯無とアリアのペアであった。
「大丈夫でござる、打鉄ニ式の武装はミサイルポッド以外にもあるのでござろう?」
「うん…」
ピットへと移動しながら昨乃の言葉に力無く頷く簪。
『さて…どう声をかければ良いでござろう…』
などと昨乃が考えているとー
突然、地霧が起きたかのように大きな揺れが襲う。
「きゃあっ!?」
「危ない!」
連統して続く振動に、簪が姿勢を崩す。
壁に体をぶつけそうになる簪を、昨乃は反射的に腕を引いて抱き寄せた。
「大丈夫でござるか?」
「う、うん。それより なにが起きているの ?」
簪が言った瞬間、派手な音を立てて、廊下の電灯がすべて赤に変わる。
続けて、あちこちに浮かんだディスプレイが『非常事態瞥徹発令』の文字を告げていた。
『全生徒は地下シェルターへ避雛ー・繰り返す、全生徒はーきゃあああう!』
緊急放送をしていた先生の声が突然途切れる。
続けて、また大きな衝撃が校舎を揺らした。
「な、何が起きてるの!?」
突然の事態におどおどとする簪。
だが、原作知識がある昨乃は何が起こっているかは十分に理解できた。
亡国機構が仕掛けてきたのだ。
「!簪殿!!」
何かを感じた昨乃は次の瞬間に簪の体を抱えてその場から跳躍する。
次の瞬間、先ほど二人のいた場所の壁が吹き飛びそれが姿を現す。
それは一言で言い表すならば黒いマネキンのような見た目をしていた。
以前に昨乃が対峙したゴーレムの改造版であるゴーレムⅡだ。
だが以前に対峙したものと比べてその見た目は大きく異なるものとなっている真っ黒な装甲板はスマートに整形され、女性的なシルエットを描き出している。
複眼レンズだった頭部は、より視野を広く取るためにバイザー型ライン・アイに置き換えられ、羊の巻き角のようなハイパーセンサーが大きく前に突き出していた。
そしてもっとも大きく変更されているところは、その両腕だった右腕は肘から先が巨大プレードになっており、高い格闘性能を有している。
反対に左腕は、そこだけがゴーレムⅠの意匠のままで、巨大な腕になっている。しかし、改良を施したその腕には、掌に超高密匿圧縮熱線を放つ砲口が四つ、まるで地獄の穴のようにぽっかりと空いていた。
ゴーレムⅡが砲口を昨乃達に向けるがそれよりも纏雷を発動させた昨乃が両断それと同時に昨乃は簪を連れて走り出す。
「さっ昨乃!?」
そんな昨乃の様子に目驚く簪。
「何か胸騒ぎがするでござる!」
ゴーレムⅡと対峙してから昨乃は何か嫌な予感を感じていたのだ―。