ISカグラ‐雷光の担い手‐   作:灰音穂乃香

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第三十四話『時には古風に、奥ゆかしく』

「あー、ひどい目にあった」

 

咳き込みながら一夏は昨乃、簪と無限に続く鳥居をくぐっていた。

 

「ラウラ殿はとにかく、シャルロット殿が怒るって…何をしたでござるか一夏は」

 

「一夏はむっつり」

「あのなぁ、写真撮ってただけだぞ。

俺は被害者だ!」

 

そう告げる一夏は最高にかっこ悪かった。

 

「………………」

「………………」

「黙るなよ!よけい悲しいだろ」

 

そんな一夏には沈黙で返すのが一番だと黙る二人。

 

そんな三人がいるのは言わずと知れた伏見稲荷大社である。

 

「しかし、すごい景色だな」

 

無限に続くかのように思える鳥居に一夏は呟く。

 

「もともとは願いが通ったお礼の意味で奉納されたのが始まりとのことでござる」

 

そんな一夏にガイドブックを片手に答える昨乃。

 

「それにしても、二人がこういう観光スポット巡りってのも珍しいな」

 

「どういうことでござる?」

 

「いや、てっきりアニ○イトやら京○ニショップ巡りに興じてるもんかと…」

 

さらりと失礼なことを宣う一夏に苦笑する昨乃。

 

「でも、あながち間違いではないよね?」

そんな昨乃の横から簪が答える。

「ん?どういうことだ?」

 

首を傾げる一夏に簪は鞄から一冊の本を取り出す。

 

『いなりこんこん恋いろは』と題された漫画でかわいらしい女の子が表紙に描かれている。

 

「なるほど、聖地巡りか…」

 

納得したように頷く一夏。

 

聖地巡りとはアニメや漫画の舞台になった場所や作者と縁が深い場所を巡ることである。

 

「しかし…本当にすごいな…」

 

千本鳥居を見上げながら一夏はそう呟いたー。

 

 

 

その後、伏見稲荷大社でいくつか写真を何枚か撮った後、一夏と別れた昨乃と簪。

次の聖地へと向おうて移動をしていたところである。

 

「ぬ?」

 

「昨乃?」

 

昨乃がそれ見つけて目を細め、その様子に簪が怪訝そうに首を傾げる。

 

「一夏殿がオータムに追われてるでござる!簪殿は皆に連絡を頼むでござる!!」

 

「え!?あっ、わかった!?」

 

走り出す昨乃に一瞬だけ、目を円くする簪。

 

だが、直ぐに冷静さを取り戻すとスマホを取り出したー。

 

 

『くそっ!』

 

心の中で悪態をつきながら一夏は京都の街を走っていた。

 

つい数分前のことである。

昨乃達と別れたあと、他のメンバーの所へと向かう途中偶然にも亡国機業のオータムに遭遇したのだ。

素早く拳銃を抜くオータム。

まずいと思うより先に、ラウラ仕込みの回避術が体を動かしていた。

 銃弾から逃れ、路地裏に駆け込む一夏。

その頭には、一般人を巻き込むわけにはいかないという正義の心と、先ほど別れた昨乃達と何とか合流できないだろうかという思考があった。

 

『とにかく、人のいないところへ……!』

 

「おおっとぉ、そこは行き止まりだぜぇ?」

 

  古都の袋小路にはまってしまい、一夏は逃れるすべを失う。

 

 万事休す――そう思った瞬間、オータムの周りをブルー・ティアーズのビットが取り囲んだ。

 

「セシリア!」

 

「ごきげんよう、一夏さん♪」

 

 余裕たっぷりの笑みを浮かべるセシリア、その理由をオータムはすぐに知ることになった。

 

「動くな」

 

 振り向けば、箒に鈴にシャルロットにラウラに簪と昨乃、一年生の専用機持ちが勢ぞろいしていた。

 

 しかも、全員ISを展開済みである。 

 

これにはさすがのオータムも青ざめた。

「一緒に来てもらうでござるよ、オータム」

 

昨乃の言葉にオータムは降参とばかりに両手を上げた。

 

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