IS学園の入試内容はISの操作技術を見るために試験官‐即ちIS学園の教室の模擬戦を行う実技試験となっており、朔乃に当たる受験生と試験官は…。
『織斑千冬…でござるか…』
そう、原作主人公、織斑一夏の姉であり、ISの世界大会でもあるモンドグロッソ二大会覇者でもある織斑千冬だ。
千冬、朔乃、共に装着ISは試験用の打鉄、故にマニュアル上は黒鉄の搭載武装となっている纏雷は使えない。
『っとなれば頼りになるのは己の剣技のみでござるか…』
かなり不利な状況で有るにも関わらず、朔乃の顔には笑みが浮かんでいた。
秘伝忍法を使わずに己の力のみでどこまでやれるか…。
それをこの場で試すつもりだ。
既に千冬、朔乃共に試験用のIS‐打鉄の展開は終わっている。
後は、戦闘開始を待つのみである。
そして…アリーナ内に戦闘開始を告げるブザーが鳴り響く。
先に動いたのは…朔乃であった。
『ほぅ…』
縮地と呼べる程のスピードで距離を詰めてきた朔乃に千冬が心の中で驚嘆の声を漏らす。
それと同時に右薙に繰り出される太刀を自分のそれで受け止める。
太刀筋、体裁き共に申し分ない。
『だが…それだけだ』
体が小柄と言う事もあるが太刀に重さもスピードも無い。
それ故に簡単に受け止められる。
パワードスーツであるISの利点を生かせていない。
『亡国機構を退けたのはまぐれか?』
束からの報告でISを作動させ、無人機を破壊したらしいがそれも怪しく思える。
その考えが一瞬、判断を鈍らせハイパーセンサーが告げる警告に気付くのが遅れる。
『なっ!』
驚嘆に目を見開くと同時に下から上へと繰り出されるに斬撃をまともに受け、千冬は吹き飛ばされ
る。
それと同時にシールドエネルギーが三分の一近く削り取られたのであった。
「我流‐二ノ太刀…飛燕‐二式」
丹田から大きく息を吐きながら朔乃はその技の名を呟く。
我流‐二ノ太刀…地面から飛び立つ燕のように低い姿勢からに逆風に斬撃を繰り出す技を飛燕、左、又は右切上に斬撃を繰り出すのがこの飛燕二式だ。
この技は朔乃が転生前‐即ち忍時代に編み出した剣技の一つである。
無論、普段の千冬であれ簡単に受け流すことも出来た筈である。
にも関わらず直撃を許した理由は一つ。
初撃を受けた際に朔乃の力量がこの程度であると油断していたからである。
『くっ…』
姿勢を立て直しながら千冬は唇を噛む。
『なる程…流石はあの会長の関係者だな…』
一筋縄ではいかないな…っと思う。
『ならばここからは少し本気で行かせてもらおう!』
そう心の中で呟くと同時に今度は千冬から朔乃へと距離を詰めて唐竹に太刀を振り下ろした。
『つっ…』
太刀を真横に構えて繰り出された一撃を受けた止めた朔乃の顔が痛みに歪む。
それと同時にシールドエネルギーが一割程、削られる。
防御をしている状態でこれほど削られるのだまともに食らえば朔乃が先程千冬に繰り出した飛燕二式以上のダメージを喰らうのは必至。
『これ以上、喰らうのはマズいでござる…』
繰り出される突きを後方へ大きく飛んで回避。
それと同時に一つの策を思いつく。
『下手をすればあちらの攻撃を喰らうことになるでござるが…』
このままこちらから仕掛けなければジリ貧になる一方である。
朔乃は覚悟を決めると太刀を正眼に構えて意識を研ぎ澄ます。
『袈裟掛け!』
極限まで研ぎ澄ました神経と聴覚が千冬が次に繰り出す剣の軌道を予測する。
それと同時に右切上に斬撃を放つ。
金属同士がぶつかり合う音と同時に衝撃がアリーナに広がる。
『やっぱり体勢を崩すまでに至らぬでござるな…』
激しく剣同士を打ち合えばPICが働いているとはいえ少しは体勢が崩れたり剣先がぶれたりする。
それが無いのが千冬の剣の技術の高さを証明している。
『…それならそれでやりようがいくらでもあるでござる!』
千冬が繰り出したをで受け止める朔乃。
それを合図に激しい剣撃が開始さるたのであった。
「凄い…」
モニター越しで繰り広げられる激しい剣撃に山田摩耶は息を呑み、絶句する。
小柄な少年が世界大会二連覇の力量を持つ、千冬と互角に打ち合ってっいるのである。
言葉を失うのも無理は無い。
唐竹に対して逆風、逆風逆に対して唐竹、袈裟切りに対して右切上、右切上に対して袈裟切り、逆袈裟に対して左切上、左切上に対して逆袈裟、右薙に対して左薙、左薙に対して右薙、刺突対して刺突…まるで千冬が次に繰り出す剣の軌道があらかじめわかっているかのような正確さで太刀に太刀をぶつけているのだ。
「本当に凄いです…」
っと朔乃の剣技に摩耶はただ圧倒され呟いたのであった。
『こんな小手先技で…』
こちらの技が思うように決まらない事に少し焦りを覚えながら唐竹に斬撃を繰り出すがで逆風で返される。
その際に僅かであるが千冬の体勢が崩れる。
『しまっ…!』
それが致命的な隙であることは言うまでもなかった。
『これで…終わりでござる!』
心の中で叫びを上げ、逆袈裟に太刀を斬り下ろす朔乃。
千冬も体勢を立て直し朔乃へ袈裟掛け斬撃を繰り出す。
両者の斬撃は寸分の違いなく機体へと直撃する。
それと同時に戦闘終了を告げるブザーが鳴り響いた。
「うわー、剣の腕が立つとは思ってたけど織斑先生と引き分けちゃったよあの娘」
『すばら』っと書かれた扇子を広げながらそう言ったのは言うまでも無く楯無だ。
彼女の現在いる場所はIS学園の生徒会室。
大型のモニターには試験とは言うには激しすぎる死闘を繰り広げていた二人が健闘を称え合ってガッチリと握手をしている。
「確かに…会長も彼にだけは武術で全く勝てませんでしたね…
あとあの『娘』っと言うのはやめてあげたらどうです?」
楯無の後ろでそう言ったのは虚だ。
「細かい事は良いじゃない…それはともかく」
「ともかく…何です?」
楯無は扇子の舌の唇に不適な笑みを浮かべる。
『あー、お嬢様のこの表情…ロクな事を考えてないなー』
等と考えながら楯無の言葉を待つ。
「いろいろと面白くなりそうねー」
楯無のその言葉に頭痛に似たものを感じる虚であった。
第五話ー。
何気に朔乃が劇中で使ってる技が斑鳩さんの愛刀と名前が被ってたりするので名前の案があれば感想で受け付けまーす。