ダンジョンをクリアーするのは間違っているだろうか? 作:中二ばっか
ダンジョン。
モンスターの巣窟。
奥に行けばいくほど強いモンスターがぞろぞろと現れてしまう魔窟。
そのモンスターを倒し金と名誉を手に入れる者。
冒険者。
ある1人の冒険者はいつも1人でダンジョンに挑み、クリアーし続けた。
今居るダンジョンの階層は666を超え、魔界へと続く階層。
何度も何度も訪れた場所。
「来たか」
尊厳な声を出すものが奥に佇んでいる。
冷徹でどんな猛者であっても震えあがってしまう殺気を含んだ声。
周りには何もない。ただ空間があるだけ。
黒い体に禍々しい翼を持つ人型のモンスター。
ダンジョンの最深部に居る王は、拳を目いっぱい強く握る。ここに来るものは強者以外には在り得ない。そして、その強者にダンジョンの主たる自分は何度も粉砕させられた。
「あっ、どうも」
その声に反応して間の抜けた声で返事する冒険者。
黄色の目立つジャージ姿で剣や鎧のような武具は一切身に付けていない。しいて言うなら首に掛けている物が、精々防具と呼べる怪しい物しかない。幾つもの指輪を紐を通して首から掛けているので、歩くたびにジャラジャラと金属音を鳴らしてしまう。
何十も指輪を繋げた首飾り。
その指輪の全てがステータスと呼ばれる自身の力を下げる、弱体化アイテム。
1つでも装備していればまともに歩くことすら出来ない呪いの装備。
「じゃ、はじめよっか」
「今日こそ貴様を討ち果たす!」
間の抜けた男とダンジョンの主が激突する。
だが、戦いは一瞬で終わってしまう。
黄色のジャージ姿の男の拳が、ダンジョンの主の拳とぶつかり合う。
その時、ダンジョンの主の拳は弾け飛ぶ。そして、ジャージ姿の男が放った拳の破壊の余波はまだ止まらない。余波は頭を胸を破壊し、たった一撃だけダンジョンの主を再起不能にした。残った体の部位は泥で作られたようにボトボトと崩れ出す。
「……えー」
驚きも歓喜もない声を上げる黄色のジャージを着た男は、己の拳を見つめながら退屈そうな声を出す。
もう彼はダンジョンに潜り始めて5年目。1年でダンジョンの最下層に到達。2年目は弱体装備を身に付けダンジョンの周回。2年と半年間ラスボスを1撃で粉砕していた。
「……帰ろ」
今日も最初のような、ドキドキワクワクの冒険章とは無縁のダンジョン攻略をして地上へ帰還する。
おもむろに自身の腹に手を当て、まるで腸を引きづり出すようにして一本の杖を取り出す。翼を持った馬の形をした杖。【セーレ】
「じゃ、お願い」
【我々を便利アイテムと勘違いしていないか貴様】
「……いや、実際便利だし」
【一番力を持つ者、下した相手に従うのが我々の宿命とはいえこれはあんまりだ】
「あーごめん」
そんな事を言いながらも、【セーレ】は力を発揮し、ジャージ姿の男を黒一色の球体で包み、一瞬にして地上の路地裏に転移しさせた。
用は済んだとばかりに意思を持った杖は、ジャージ姿の男の中に入る。
「はぁ、こんな時はリオンさんに慰めてもらおう」
「リオンさん、結婚し、ガッ」
「五月蠅い。他の客に迷惑なので黙りなさいヤマダ」
お盆を顔面に叩き付けられ、愛の告白を最後まで言わせてもらえない。また、黙れと言われたので視線だけリューリオンと言う女性に視線だけ向けて、ラブラブ光線を送ろうとしたが軽く無視され店の奥へと消えていく。
「……脈も無いのによくやるね。ヤマダ」
「うるへー」
何時ものように懲りずに振られ続けるヤマダに呆れの視線を向けるミア。
隣の白髪の男の子は苦笑して懐を痛くしながら、苦笑した。
豊穣の女主人と言う店のエルフにぞっこんなヤマダ。かれこれアプローチ回数の桁は1000回を超えたか超えないか。もう数えるのも億劫である。
そんな項垂れているヤマダを無視して、シル・フローヴァが白髪の男の子、ベル・クラネルと会話している。先程振られた男にとっては、微笑ましいが妬ましい会話であった。
そんな時、店の扉が開かれぞろぞろとどこかのファミリアが入店してくる。
どこかではなく、ヤマダの所属しているロキファミリアであった。
どうやら遠征の宴会らしく、到達したのは58層らしい。
その時の話で新種のモンスターが現れたらしいが、その階層だとヤマダより強いとは思えない。興味本位で行く気にもなれない相手である。何せLV5程度のアイズ・ヴァレインシュタインの力量からどうしても、ヤマダでは蠅を追い払うような攻撃でも終わってしまうだろう。
酒が回ってきたのかベート・ローガが笑い始めた。
「そうだ、アイズ。あのトマト野郎の話聞かせてやれよ! 帰る途中に何匹か逃したミノタウロス! 最後の一匹が倒した時に頭から血被った奴の話をよぉ」
その声は嫌なほどヤマダの耳に入る。
ベートの話声が大きいと言うのもあるが、何よりヤマダから見ればファミリアの不手際でモンスターを取り逃がしたのに、全員がどっと笑う事が不思議でたまらない。
マッチポンプで慌てふためく初心者を笑う。
オラリオ大手ファミリアも堕ちたものである。
まぁ、胸糞悪いだけでヤマダがそこに居たわけでもないから、批判することも出来ないが。
ベートたちの会話がエスカレートして行き、白髪の男の子が耐えられなくなったのか店から逃げ出す。
「……適当に流せばいいのに」
「アンタは悔しいって感じないのかい。あそこに居ないことに」
「別に。あっちはあっちで好きにやればいいんじゃねぇの?」
と、ミアとヤマダが先程出て行った白髪の男の子の背中を見ていた。
「ミアの所で食い逃げなんていい根性してるねぇ~……あれ? ヤマダ」
先ほどの食い逃げしたのが注目されたのか、ロキファミリアの1人とヤマダの目が会った。そしてゾロゾロとヤマダに視線が注がれる。
「ハッ! 雑魚同士仲良く傷の舐めあいかよ」
1人盛り上がったら、次々と笑い出す。
「ベート、いい加減にしろ!」
「お堅いエルフの説教はいらないんだよ。ステータスの更新もせず、ダンジョンにも潜っているかも怪しい奴を擁護してどうなる? ってか、なんでお前ロキファミリアに居るんだよ。さっさと退会しろよな!」
流石にまとめ役から叱咤が飛び拘束されるベート。
ベートの発言のヤマダがステータス更新をしないのは単純にスキルの影響で、更新する必要がないだけである。
内心でヤマダは嘆息し、さっさと帰りたくなった。ロキファミリアのホームではなく、家賃出して借りた1部屋。だが、ファミリアのメンバーと関わらずに済む。
食事代をテーブルに置いて去ろうとしたが、リーダーのフィン・ディムナがヤマダに声を掛ける。
「同じファミリアなのに、そんなにみんなと居るのが嫌なのかい?」
「ああ、そうだけど」
そう言い残し、ロキファミリアから逃げるようにして店から出る。
本当なら先程馬鹿にした犬を八つ裂きにしたいが、そんな事してしまえば忌避されてしまう。下手をすれはギルドのブラックリストに載って、アイテムの換金に支障をきたしてしまう。
そして、忌々しげに舌打ちする。
「アンタらが雑魚すぎるんだろ……」
ラスボス「次こそ勝つ!」
ちなみにオリ主のステータス。
ヤマダ
Lv 測定不能
筋力 EX 規格外
耐久 EX 規格外
敏捷 EX 規格外
器用 EX 規格外
魔力 EX 規格外
魔力量 ∞ 無限大
スキル
『自動更新』
戦闘中であっても経験値を得た分、成長しステータスに反映される。
アビリティ
『内包』
悪魔を体内に住まわすことが出来、その入れた悪魔の力を引き出すことが可能。72体コンプリート。また、悪魔以外の存在もヤマダの中に保存したり住まわせることや封印することが可能。
凄い(小並感)ってかメアリー過ぎる。